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30、猛獣使い 坂本健さんの巻

ニューヨークから帰国した僕は、この先のキャリアをどうするか考えていた。

このまま独立してアメリカと日本を繋ぐエンタテインメントの仕事を続けていくのか、日本に戻ってリクルートの情報誌ビジネスに居場所を見つけるのか、はたまた、にわかにアメリカで騒がしくなってきたインターネットビジネスのベンチャーを起業するのか。

そんな時に、「まぁ、一度戻ってこいよ」と声をかけてくれたのが
メディアファクトリー社長の坂本健さん。
後に、ローソンHMVエンタテインメントや葉加瀬太郎さんのマネジメント会社の社長を歴任された方だ。

リクルートの出版子会社だったメディアファクトリーは、出版以外にも事業拡大し、ポケモンカードを大ヒットさせて飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長していた。

エンタテインメントビジネスのおもしろさにハマりつつあった僕は、あらためて日本のエンタメ業界のネットワークを構築するために帰国する意味を感じていた。

そこで、健さんと小沢くん(当時のメディアファクトリーの取締役)の温かいお誘いに乗らせてもらうことにする。

当時の僕は、30代半ばで生意気盛り。
しかも、リクルートの本業とはかけ離れた仕事をしている亜流中の亜流(笑)。
社会人スタートは人材開発部というど真ん中だったはずなのに、
いつの間にか、興行ビジネスという色気たっぷりの世界にいる。

こんなに扱いがめんどくさい奴はいないだろう。

ところが、坂本建さんの周りには、僕以上に一癖も二癖もある面倒くさそうな人がいっぱいいる(笑)。

前述の藤原和博さんしかり、東正任さんしかり、香山哲さんしかり。

要するに坂本建さんは猛獣使いなのだ。
いや、猛獣使いというような厳しい躾も、管理もなくて、
みんな自由奔放にやっている。

それぞれの個性を殺さないように、できるだけ居心地よく仕事できるように
「猛獣を飼育している」感じなのかもしれない。

健さんが持っている「絶対曲げないガンコな部分」と
こだわらない部分に関しては「オマエの好きなようにやっていいよ」という緩さ。

その表情にトッピングされている
いじられやすい雰囲気と何事もおもしろくしようとするマインド。

あえて?かどうかわからないが、隙を作るのもとても上手い。

健さんもまた「チャーミングの神様」のような人。
その影響を受けながら僕は映画ビジネスに突入していくことになる。


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