方程式その4 くよくよ癖とポジティブシャワー〜細川泰史さんの巻〜
配属された人材開発部のひとつ年上の先輩の名は細川泰史さん。
京都大学工学部出身のヨットマンで、天真爛漫、超がつく前向き。
タイプでいうと長島一茂と松岡修造を足して2で割ったような 天然ポジティブ系の人。
その光は眩しかった。
社会人ってカッコいいな、あんな風にハツラツとしていたいな、 そんな憧れや尊敬の気持ちでいつも一緒に行動し、教えてもらっていた。
ところが数ヶ月経つと、その気持ちが曇ってきた。 あまりに強い光に当たりすぎて、その反作用で自分の中に陰が出きてしまったのだ。
素直に太陽の光を浴びておけばいいのに、 「楽天的すぎる」 「みんながみんな細川さんのようには考えられない」 というネガティブな気持ち。
僕は細川さんと同じようにはできない。 そうなれない自分に苛立ち、嫉妬したのだと思う。
僕も比較的ポジティブ系と見られがちだが、AB型はそんな簡単ではない。 もうひとりの自分が確かにいる。マイナス面が気になり、気持ちの切り替えがうまくできないし、失敗すると後悔がいつまでも尾を引く。
スポーツをするとそれが如実に顔を出す。 野球の試合でヒットを打った時はいつまでも良い残像が身体中を支配し、 何をやっても上手くいくオーラに包まれる。
「僕は天才じゃないか」と思うほどだ。
ところが、三振すると失敗が全身を覆い、 「また次もダメなんじゃないか」と気もそぞろ。
守備についている時でも、三振する自分の映像が頭の中を占拠し、 打球への集中が散漫になる。
それで何度エラーしたことか。
僕は元来「くよくよ」体質。
調子に波があり、好不調の差が激しい。 心の中でグチグチ考える自分がとても嫌いだし、プロフェッショナルになるためになんとかしなければいけないと思っている。
そのお手本のような細川さんが目の前にいるのに、心が素直に学ぼうとしない。本音ではどんな時も前向きに捉える気持ちを持ちたいと思っている。
でも、それを手に入れるのは簡単ではないのだ。
細川さんになれないなら違うタイプを目指そう。 自分にしかない強みを見つけて、自分らしくやっていこうと思い直したのが、社会人一年目のことである。
それから2年が経ち、細川さんは東京本社に栄転。
バトンを受け継いだ僕は神戸支社の三代目リーダーに就任した。
部下として配属されてきた新入社員が僕に向かって質問してくる。
「樫野さん、どうしていつもそんなに前向きなんですか?」
「さすがにそれは楽天的すぎませんか?」
3年間、細川さんのポジティブシャワーを浴び続けたおかげで、
どうやら僕も細川さんウィルスに感染したようだ。
こんなに大きな財産をいただいた恩返しとして、僕がやることはひとつ。
今度は僕がメンバーにポジティブシャワーを降り注ぎ、 細川さんウィルスの感染源になることだ。
楽しんでもらえる、ちょっとした生きるヒントになる、新しいスタイルを試してみる、そんな記事をこれからも書いていきたいと思っています。景色を楽しみながら歩くサポーターだい募集です!よろしくお願いします!