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ヒーリングとは何か 『霊訓 第三回(※長文注意)

第三章 ヒーリングとは

 キプロス共和国という国を御存じでしょうか。
 地中海の東に浮かぶ、日本の四国の半分程の面積を持った島国です。第二次世界大戦後イギリスに併合されましたが1960年に独立。北には海を隔ててトルコがあり、トルコ軍は1974年キプロス国内のクーデターに乗じて侵攻。現在のキプロスはトルコ系住民の暮らす北部とギリシャ系住民の暮らす南部とに分断されました。立地的に地中海の海上交通の要衝で、古くから多くの民族が行き交い、様々な国からの支配と独立を繰り返していました。
 ダスカロスこと、スティリアノス・アテシュリス博士が住んでいたのは、そのような歴史を持つキプロス南部のストロヴォロスという所です。
 「ダスカロス」とはギリシャ語で「先生」を意味します。しかしご本人は先生と呼ばれるよりも、兄弟としてみてもらった方が良いと仰っていたそうです。
 過去より、世界中の至るところで預言者と呼ばれる人々が存在しました。預言者とは神からの言葉を伝えるメッセンジャーのことです。その言葉から受けるイメージはどこか重々しく感じますが、決して厳めしい魔法使いではありません。私たち人類をインスパイアする役割を持っておられる方々のことで、マスター、大師などとも呼ばれます。私たちを正しい方向へ導いてくれる進化の進んだ兄弟です。ダスカロスは様々な転生を通じて人類の進化の促進に貢献しました。
 輪廻転生は絵空事ではなく事実です。私たちは何度も輪廻転生を繰り返しながら成長するのです。
 ダスカロスはその転生のすべてを記憶しており、キリストが地上にいた時代には、その最年少の弟子として生活されていました。
 ダスカロスについて、ここでは詳しくは述べませんが、メイン大学社会学教授のキリアコス.C.マルキデス氏が著したルポルタージュ『メッセンジャー〜ストロヴォロスの賢者への道〜』(鈴木真佐子訳 太陽出版刊)にその人柄や教えが詳しく紹介されています。
 二十世紀最高のヒーラーと呼ばれ、様々な病気を抱えた人を無償で癒しました。生まれつき足の長さが違う人や、海綿状になった背骨を完全に健康な状態に戻したり、まさにキリストが行ったのと同様の癒しを体現されていました。
 また、キリストが秘かに弟子たちに教えていた秘技を私たちに伝えてくれました。人類の進歩がようやく教えを受け入れる段階にまで達したのです。先に紹介した『放蕩息子のたとえ話』など、キリストのたとえ話の解説もダスカロスが遺してくれています(『キリストのたとえ話』須々木光誦訳 EDCOM刊)。
 ヒーリングというと、どのようなイメージを持たれるでしょうか?
 手をかざせば魔法のように病気が治ってしまう? 確かにその通りです。
 イギリスのヒーラー、ハリー・エドワーズはロイヤル・アルバートホールで多くの観衆が見守るなかヒーリングを行いました。ほんの数分前までひとりで起き上がることもできなかった人が誰の助けもなしに歩くのを見て、観衆は度肝を抜かれました。ヒーリングを世界中に知らしめた方です。
 ですが、本当の意味でのヒーリングとは「病気を治すこと」ではないのです。
 目の前で不治の病を宣告された人が完治すれば、否が応でも事実としてヒーリングを認めざるを得なくなります。ひいては目に見えない、私たちにとっては未知の力が存在することを信じざるを得なくなります。
 そのことこそ、ヒーリングの真の目的なのです。
 目の前で机が浮かび上がったりするよりも、病気で苦しんできた本人にとってはどれほど深く感動する体験となるでしょうか。トリックを疑うよりも、どれほどありがたく感じることでしょうか。
 神に立ち返るきっかけとなるために、ヒーリングはあるのです。
 ダスカロスは生涯を通じて多くの人を癒しました。しかし、病気を治しても数年もするとまた同じ病気になってしまう人が少なからずいたそうです。
 ハリー・エドワーズも病気が回復してもヒーリングを続ける必要を訴えていました。またもとの状態に戻ってしまうからです。
 なぜでしょうか?
 もしもあなたが、腰の痛みに悩んでいるとしましょう。病院で検査してもらった結果、椎間板ヘルニアだとわかりました。では、なぜ椎間板ヘルニアになったのかを医師に尋ねてみた所、自分の座る姿勢に問題があることに気がつきました。
 さて、あなたは座り方を改めますか? それとも鎮痛薬を処方してもらったから平気だと、今まで通りの座り方を続けますか?
 病気の原因は、肉体から来るものと精神から来るもの、そしてカルマによるものがあります。先に述べた椎間板ヘルニアは肉体を痛めつけることが原因ですから、肉体をケアして座り方を改める事で改善されます。
 では、精神から来る病とはどのようなものでしょうか。
 怒り、恨み、妬み、嫉み、これら負の感情は身体の中に毒を生じます。敵意や悪意は他人に向けたそれ以上のものを向けた本人に向ける両刃の剣だからです。
 また、人は毎日睡眠中に同じ分量の生命エネルギーを神から貰って肉体を維持しているのですが、こうしたネガティブな感情はエネルギーを大量に浪費します。そのため、各臓器に必要なエネルギーまで消費してしまい、健康を害することになります。
 このエネルギーのことをエーテルバイタリティと言います。エーテルバイタリティは私たちが活動するすべての事柄に使用されます。私たちが思考したり、笑ったり泣いたり、人を癒すのもこのエーテルバイタリティがあるからこそ出来るのです。
 キリストが教えてくれた「主の祈り」の中で「私たちに日ごとの糧を与えてください」という言葉がありますが、この糧がエーテルバイタリティのことです。
 エーテルバイタリティの使い方を意識しないでいると、往々にして無駄遣いをしてしまうのです。
 エーテルバイタリティは食べ物や呼吸からでも摂取することができますが、使い方を身に付ける方が良いでしょう。このエーテルバイタリティについても、ダスカロスが詳しく教えてくれていますので興味のある方はダスカロスの著作『エソテリック・プラクティス』や日本にダスカロスの教えを紹介してくれたハリー・ランバート氏の『私は何のために生きているのか』を読まれると良いでしょう。
 最後に、カルマによる病についてお話しします。
 私たちが幾度も転生を繰り返しているということを前にお伝えしました。私たちは幾つもの時代と場所に生まれて、様々な経験を積んできました。
 人類の歴史を振り返ってみると、争いのなかった時代はありません。私たちはその時代の中で様々な行いをしてきました。残念ながら、他人の命を奪うようなこともしてきたでしょう。
 カルマとは原因と結果の法則の一部のことで、ある意味では負債のようなものです。私たちは前世において犯した罪の償いをするために、病を選択する方法があります。誰が選択するのかと言いますと私たち、自分自身が肉体を持って生まれる前に、カルマの返済方法として選ぶのです。
 こう聞くと、カルマとは何だか取り返しのつかない恐ろしいことのように聞こえますが、決してそうではありません。原因と結果の法則は愛の法則です。
 たとえば、あなたが職場で失敗ばかりしているとしましょう。そこには口うるさい上司がいます。あなたの失敗を事細かに指摘して、それでいて自分は完璧に仕事をこなしてしまうので文句の言いようもありません。今日も朝から晩まで叱られっぱなしです。もう少し優しく指導してくれれば良いのですが、上司はあなたのことを熟知しているのであなたが耐えられるぎりぎりの線まで厳しく指導します。
 さて、あなたならこんな状況に置かれたらどうしますか? さっさと転職をしてしまうでしょうか。それとも、叱られるのは自分に原因があるのだからきちんとした仕事ができるように頑張って叱責に耐える事を選びますか?
 10年後を見てみましょう。
 あなたは仕事をやめて、のんびり働ける理想的な職場に勤めています。毎日心配することもなく、家に帰ったらテレビを見て寝てしまいます。そうして日々は何事もなく過ぎていきます。
 それとは逆に、叱責を堪え忍んで頑張ったあなたはどうなっているでしょうか? 主任になれたでしょうか? もしかしたら、良く頑張ったので部長になれるかもしれません。それとも実力がついたので独立して会社を経営するかもしれません。
 どちらを選んでも良いのです。
 どちらが悪いという訳ではありません。原因と結果の法則に従って早く成長したいと思うのならば、苦しみを受け止めて乗り越えた方が良いでしょう。
 自分には耐えられないと思うのならば、逃げてしまっても良いのです。いつかは克服しなければいけない事には変わりはありませんが、回り道をした方が良い時もあります。そのために私たち人間には自由意思という宝物が与えられているのですから。
 原因と結果の法則は、私たちに足りないものを教えてくれています。それと同時に罪に対する償いもさせてくれます。辛いことや苦しいことがある度に、少しずつ負債を減らしていると思うと、苦難に対する見方も少し変わるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
 ダスカロスは多くの人を癒しました。しかしそれだけではなく、望む人たちには真理を教えることもしました。そして真理を記したテキストも遺してくれました。なぜなら、私たちはひとり残らず放蕩息子(娘)なのですから。
 私たちが本当の生きる意味に目覚めて、自分自身をコントロールし、摂理に沿った生き方ができるようになって初めて病気はなくなるのです。そして自らの生まれてきた本源へ立ち返るためには真理を学ぶ必要があるのです。
 ダスカロスはそのワークの中で、自分達の住む地域に愛を広げて包み込む方法を教えていました。きっとこのキプロスのような特に紛争が多い地域には、ダスカロスのように愛を届けるメッセンジャーとその教えに共感する兄弟たちがいて、平和を守っているのかもしれません。
 世界をヒーリングする、これもヒーラーのつとめなのです。
           第四回へ続く

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