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日本の素敵なバレエダンサー③福田圭吾さん(新国立劇場バレエ団)


舞踊評論家の桜井多佳子さんのインタビューを読んだことがきっかけで、海外で活躍する実力を持ちながらも日本で踊ってくれているバレエダンサーを紹介する「日本の素敵なバレエダンサー」シリーズを書き始めました。
第一弾は桜井さんがインタビューで言及していた新国立劇場団の福岡雄大さん、第二弾はムンタギロフのENB時代のコーチでもあったアントニー・ダウソンに師事していた新国立劇場バレエ団の清水裕三郎さんについて書きました。

今回は英国バーミンガム·ロイヤルバレエ団での研修を経て、新国立劇場バレエ団で活躍する福田圭吾さんについて、その凄さを大ファンである私が紹介します。

福田圭吾さんを知ったきっかけ

私が日本のバレエ団を見るようになったのはここ1年ほどですが、福田圭吾さんについてはローザンヌ国際バレエコンクールで入賞されていたため、小学校の頃から存在を知っていました。

日本人はローザンヌで上位入賞の常連ですが、2000年台はどんどん入賞者が減り、圭吾さんの出場された2003年は圭吾さんが唯一の日本人入賞者でした。確か当時のダンスマガジンには、もう少し下手寄りから取られたこのポーズの写真が掲載されていて、ゾンビのようなメイクと力強い眼差しに「なんか怖そうなお兄さん」と子供心に印象に残っていたことを覚えています。

https://youtu.be/c2rnPcWugRo?t=3498

1年ほど前から新国立劇場バレエ団の舞台をコンスタントに見に行くようになり、福田圭吾さんは上手で目立つので経歴を調べたところ、「あのローザンヌのゾンビメイクのお兄さんか!」と子供の頃の思い出とリンクして感慨深かったことを覚えています。
そう考えると私の圭吾さんファン歴は非常に長く、小学生の時から20年以上応援していることになりますね…。福田圭吾さんは2024年6月の公演を以て新国立劇場バレエ団を退団されることになりましたが、子どもの頃から応援しているバレエダンサーがキャリアの第1フェーズを終える瞬間を目撃するというのは、寂しくもあり、不思議な気分でもあります。

福田圭吾さんの舞台を見た感想

圭吾さんの踊りについては「素敵!」と常日頃からガンガン申しておりますが、一つ一つのポーズがクッキリ決まっていて、見せ場を絶対に外さないダンサーだと思っています。たくさんの素敵な踊りを見せてくださいましたが、個人的に特に印象深かった3選を挙げるなら、ドンキホーテのサンチョパンサ、くるみ割り人形の中国の踊り、ホフマン物語のスパランツァーニの召使だと思います(他も素晴らしいですよ!)

ドンキホーテのサンチョ・パンサはそのコミカルで憎めない踊りや演技がとても可愛くて、少年のように楽しそうな圭吾さんの様子を今でも覚えています。観客の笑いを誘うだけでなく、トランポリンで胴上げされるシーンでは、サンチョパンサは怖がっている設定なのに、空中で宙返りしたり、バックベンドしたり、楽器を吹いていたりなど、あまりにも動きが格好いいので観客も大拍手でした。(あれだけ身体能力抜群のサンチョパンサにキトリが惚れないのは目がおかしいですね😂)

くるみ割り人形ではトレパックと中国の踊りが印象に残っていて、トレパックでは圭吾さんしか出来ない側宙をして身体能力の高さで観客を驚かせていました。
ここで印象的だったのは圭吾さんの見せ方です。トレパックを最初から最後まで全力で踊ろうとした人はもれなく最後に息切れしていましたが、圭吾さんは見せ場とそうでない部分の力の込め方をきちんと計算して、観客に疲れや息切れを絶対に感じさせないようにしており、流石だと思いました。
中国の踊りでは、京劇風のポーズを決めるシーンが多いのですが、ポーズをする速さが違うのか、タイミングが良いのか、詳しい理由は何度見ても解明できなかったのですが、とにかく全てのポーズがクリアで鮮明で頭に焼き付くのです。格が違うというのはこういう事かと感じました。

最後に、「ホフマン物語」でのスパランツァーニの召使役は踊りも大きくて素敵だったのですが、とにかく芝居が細かく、圭吾さんの演劇的な部分を沢山見れたのが非常に嬉しかったです。
福田圭吾さんは観客が見逃してしまいそうな細かいシーンであっても気を抜かずにずっとお芝居を続けており、お酒を戻しに行けと命じられたのにこっそり飲んでいたせいで酔っ払っていたり、オリンピアに格好つけようとして何度も髪の毛を整えたり、ずっと役柄になりきっていました。お客さんが見ていないシーンであっても一切手を抜かずに細かな芝居をされ、きちんと物語の世界観を伝えてくれていると感動しました。

あともう一つ思い出しましたが、福田圭吾さんと二山治雄さんがゲスト出演された「机上の空論」という作品では、周りのダンサーが酷すぎて学芸会のような内容に客席が凍り始めていた中で圭吾さんと二山さんが踊り出したら場の空気が一気に変わったことを思い出しました。別格の存在感でした。

福田圭吾さんのオープンクラス感想

実は福田圭吾さんのオープンクラスに参加したことがありますが、とても楽しかったです。
まず第一印象ですが、圭吾さんはめっちゃ格好いいです!格好よく歳を重ねたイケてるお兄さんという感じで、私も圭吾さんのように若々しさをキープしたまま歳を取りたいなと思いました。若さと円熟みが混じったような素敵な雰囲気を持っており、授業参観などでこういうお父さんが来たらみんなに羨ましがられそうな、とにかく「カッコイイ」という印象でした。
このクラスには福田圭吾さんのファンの友達も参加しており、2人で「圭吾さん格好いいね💕圭吾さんめっちゃ格好いい🥰」などスタジオでキャーキャー言ってました。それくらい格好良かったです😂

圭吾さんといえばくるみのロシアや、白鳥のナポリなど、バンバン素早く動くイメージなので、クラスもアレグロメインかと思っていましたが、タンデュが多く、ゆっくりしっかり足を使うことを重視されてました。圭吾さんの綺麗な5番やタンデュが印象的だっただけでなく、音楽がまさかのディズニーメドレーで、ライオンキングの音楽でタンデュをやったのは一生忘れません🦁
お手本が綺麗なだけでなく、ピルエットを練習するときは韓国の大学で初心者向けに行われた、回転をマスターするための実験や論文に基づいた説を紹介してくださり、とても面白かったです。

今後の出演情報/振付活動について

さて、福田圭吾さんは新国立劇場バレエ団を退団されますが、ダンサーとしてはまだ現役を続けてくださると思います。同時に振付活動にも力を入れていくみたいで、今後が非常に楽しみです。
現時点での圭吾さんの今後の出演情報、振付情報はこちら(2024.06.14現在)

新国立劇場バレエ団「アラジン」 主役アラジン役
2024年6月16日(日)14:00 
2024年6月22日(土)18:30 ←アデュー

美倭'sBalletスタジオ/研究所 25th Anniversary 記念公演&発表会より
宝満直也振付 ホルスト「惑星」
2024年8月8日(木) 18:30  木下嘉人さん、森本亮介さんと共演

「机上の空論」(振付を担当、出演予定は無し)
2024年8月9日(金) 19時
2024年8月10日(土) 13時 / 17時

福田圭吾による新作<新国立劇場バレエ団委嘱作品・世界初演>
2025年7月12日(土)
2025年7月13日(日)

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