かんたん看護の歴史編~日本における東洋医学の道~
看護や医療の歴史を学ぶことは、
現在の看護を知ることにもつながります。
看護学士レポートで何を書けばよいか迷っている方は、看護学校時代の課題や看護の歴史レポートを思い出してみましょう。
日常的な疑問点、あれ?これはなぜ?
と思うことの『歴史』や『背景』を調べてみましょう。
日本には西洋医学と東洋医学、がありますね。これの違いは何でしょう?
ここでは、まず日本における東洋医学の歴史的な概略を見てみましょう。
東洋医学とは、東洋に起源をもつ医学の総称です。
アラビアを起源とする医学はユナニ、インドを起源とする医学はアーユルベーダ―、
中国を起源とする医学は周辺諸国へ伝えられ、現在中医学として、
韓国では韓医学として、そして日本では漢方医学と称されています。
日本では江戸時代までの医療的環境はこのようなインドや中国伝来の漢方医療が中心で、
様々な民間療法が実施されてきました。
しかし、1895年、明治時代の医制改革において近代医学を修めなければ医師免許を与えないとされ、
このことにより漢方医学は一時衰退しますが、治療技術の優秀性に気づいた先駆者が表れ
昭和初期には復興運動がおこり、漢方医学の命脈は引き継がれるようになります。
つまり、日本では近代医学を学んだ者でないと医師免許がとれないため、
常に近代医学との接点を持ちながらも、
現在漢方薬を使用する医師は多く、
日常臨床の中に東洋医学が根付いています。
そしてそれは、看護の立場に立った時も同じです。
次は、看護をする上で大切な人間の捉え方の違いを西洋と東洋で考えていきます。
東洋医学の人間像について 人間とは?
【人の捉え方】
臓器別に細分化することで発展してきた、西洋医学の立場からみるとお互いに関連性のない症状でも、
東洋医学の側面みると、統一的に把握されることが少なくありません。
そしてこのような考え方は看護に上手く取り入れることによってケアの範囲を拡大させ、
より質の高い看護ケアの提供につながります。
↑これは難しく聞こえますが、漢字のとおり、心と体は切り離して考えない人間の捉え方です。
ちょっと怪しく聞こえますが、
身体論も含めた宇宙的生命即人間的宇宙という思想である、と言われます。
東洋医学で特徴的な概念は「気・血・水」の要素の存在を仮定しています。
ここではポイントをしぼり、看護をする上で重要な「気」の概念について書きます。
「気」は全宇宙を貫いて存在し、人間などの生命体はこの気が凝集したものととらえます。そしてその気が離散した状態が死である、と捉えます。人間を小宇宙、自然界を大宇宙ととらえ、宇宙の間で気を相互にやりとりしながら生命活動を営んでいると考えます。つまり、生き物は閉鎖系のように見えますが、外部に開放されている部分があります。
引用
下平唯子 看護師のための東洋医学入門 医歯薬出版株式会社 2012.
「気」の意味は生命エネルギー的なものや心、または精神を表すものとして使われ、
このような身体のとらえ方は看護に重要な要素となりえます。
↑気ってなんかエビデンス出すのは難しいですが、
「なんだか嫌な気がする」と思うと急変があったり、
看護をするうえでそういうことってよくあります。
科学的なエビデンスに基づく看護実践では、患者さんの反応を評価しますが、
そこには看護者自身の在り方は、あまり評価対象になりません。
西洋医学は二元的な人間観が中心ですが、それだけでは
極めて個別性の高い看護の本質を見失う危険性があります。
西洋医学を習ってきた私たちは、疾患を治療する看護中心になりがちですが、
人間はバランスが大事ですし、いつも全体的に患者さんを捉える視点が大切になります。
ここまで読んでもらいありがとうございました。
誰かの参考になれば幸いです。
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引用参考文献
大下 大圓 「癒し癒されるスピリチュアルケア―医療・福祉・教育に活かす仏教の心」2005.
下平唯子 「看護師のための東洋医学入門」 医歯薬出版株式会社 2012.
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