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環七

俳号が欲しいな、と急に思った。
俳号というのは俳人の雅号であるが、俳人じゃなくてもいつか俳人になったら使えばいいのだ。
少し考えてすぐに浮かんだ。

環七かんな

環七と書いてカンナと読む。
もともとカンナというSNS用の名前の中に、環七という意味も含まれている。

環七かんななとは、東京の環状道路のひとつである環状七号線の略称であり通称だ。

ちなみにユーミンの歌「カンナ8号線」は環八かんぱち(環状八号線)で、環七のひと周り外側を走っている。

結婚するまで、環七の近くに住んでいた。
多分、安達太良山の近くに住んでいた人が「安達太良山」という言葉に感じるのと同じものを、私は環七という言葉に感じるのである。

物流トラックと営業車とタクシーと乗用車が、騒音と排ガスを撒き散らしながら轟々と流れていく。

近くには、大原交差点という排気ガスのメッカがある。
小学生の頃、大原交差点で警察官が防毒マスクをして交通整理をしていると聞いて恐ろしく思ったことを覚えている。

小さい頃に通った環七沿いの小さな図書館、受験勉強で通った環七を渡った先の大きな図書館、夏の夜に轟く珍走団の爆音。ドライブデートの帰りはいつも環七に戻って来た。

環七は私にとって故郷の河なのだ。

そんな排ガス臭のする環七という文字だが、別の視点から見るとなんだかスピリチュアルな意味にも見えてこないだろうか。

環は宇宙や世界の理、七は七不思議、七つの海など、世界の構成要素。壮大すぎて笑ってしまうが、そんな意味も含むことにしよう。


濁流に静止している魚いて
内なる清き水抱きつつ         環七



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