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「人を動かす」を読んで

人を動かす/D•カーネギー

私が普段読むのは小説などの文芸書がメインで、自己啓発本やハウツー本の類いはほとんど読みません。
この本も、いかにもビジネス本といった風情で、今までだったら目に触れることも興味を持つこともなかったでしょう。
それが、たまたまnoteでどなたかのお勧めとして目に留まった時、何故か「これは読む本」とジャッジされたのです。

本屋に行ってみると、原書は1936年に初版発行という古い本でありながら改訂を重ね、今現在も在庫たっぷり面陳されているというロングセラーっぷりなのでした。

読んでみてまず思ったのは……

「こんなこと、誰も教えてくれなかったじゃーん」


書いてあることは、ごもっとも、その通り、でも、できてないんですねこれが。

目次から少し抜粋すると、

・人の立場に身を置く
・誠実な関心を寄せる
・誤りを指摘しない
・顔をつぶさない

目次30項目のうち、「ほめる」が3回も出てきます。

・心からほめる
・まずほめる
・わずかなことでもほめる

つまりほめておけば大抵の人間関係はうまくいくってことですよ。
そんな簡単なことがなんで私たちはできないんでしょう?
この本に書かれているように誰もができていれば、世の中全部円満に回って平和で紛争も無くなる?
結婚式で牧師が「健やかなるときも、病めるときも」とか言ってないでこの本を読み聞かせれば離婚が減る?
この本が、全世界でベストセラーになっても、いまだに売れ続けているという事実が、結局みんな実践できてないことを物語っています。

それは人間が自尊心モンスターだから。

この本を読むまで、それほどとは思っていませんでした。でも、人間てほとんど自尊心に支配されている生き物なんだなって、あらためて理解できました。
人は一人では生きていけないので、人間関係が必要で、それは自尊心対自尊心の関係になるわけで、そこが動物のようにただ生きるために生きるだけでは足りない、人間だけの生きる技術が必要になってくる部分なわけです。

ところが、このような生きるための技術がほとんど教育されていない。それで人間関係衝突しまくってストレスで傷つきあっている。

この本に書かれているような技術は、見ようによっては「人を操ろうとしている」とも見られるし、相手をほめるという行為が「太鼓持ち」「豚もおだてりゃ木に登る」など揶揄の対象になったりもします。人間関係を円滑にしようとする行為自体を低く見がちなところがあるような気がします。
そうではなく、人間が社会で生きていくための必須と言ってもいい、身につけるべき技術、あるいは美徳として、この本に書かれているような「生き方仕草」が万人の身に着けばいいと思いました。



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