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通勤路

白んでいく空は頭まで白くして
ぼんやりした意識で電車に乗れば
どこまでも飛んでいけるから落ちるのが怖くて夢だと思い込んだ
翼を置き去りにしたまま雲に乗って
終点を分からずに視点をも定めずに
渡る踏み切りで警告音まわるランプ
瞬く星のひとみに見つめられ
落下するグラスの海へ投げ出され
真っ赤に笑う手足
花束にして差し出す闇へ
影の裾を翻し涙をアクセサリーにして
踊り出した素足は雲間を漂い歩く
眠りの手をとってふりまく夢は百味ビーンズ
カラフルな感情を食んで食んでお腹が膨れ
生まれた色をキャンパスに描いて描いて
つくられた空を跳んで跳ねる魔法少女
キスの味を知らなかったころ
オトナになりたくなかったころ
白いドレスはショーウィンドウの向こうで知らない顔してた
約束は永遠だと無邪気に
死んだあとの通学路を歩いていた
幽霊は今も生きているか
死んでいればびっくり箱だね
閉じちゃった鍵を握りしめてどこへ行こうか
朝、目が覚めると人間だった

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