【レビュー】より手を出しやすくなったAmazon Music HDを早速使ってみた感想
#音楽 #Amazonmusic #レビュー
ハイレゾ音源、ロスレス音源を追加料金なく使用できるようになったAmazon Music。早速アップグレードしてレビューしてみました。
1.はじめに
2021年6月9日より日本国内でも月1000円が追加で必要だったAmazon Music UnlimitedからHDへのアップグレードが無料化※されました。
Apple MusicのALAC対応発表から1ヶ月弱遅れですが、ようやくこちらでもハイレゾ、ロスレス圧縮の曲が聴けるようになり同等の体制になりました。今回の記事ではその概要と早速聴いてみた音質等のレビューを実施してみました。
※Amazon Music Unlimitedのサブスク料金(780〜980円)は必要。
2.Amazon Music HDとは
Amazon Music HDにおける配信音源はCD相当のロスレス(Amazonでは HDと呼称)、ハイレゾ相当のロスレス(同じくUltra HDと呼称)で、いずれも一般的なロスレス圧縮であるFLAC形式を用いたものです。尚、ハイレゾ音源は最高192kHz、24bitまでのものが収録されています。但し、これらのファイルはダウンロード可能なもののAmazon独自の形式で分割されており専用ソフト以外での再生はできない事に注意が必要です。
3.Ultra HD音源のCDリッピングFLACとの比較試聴
早速CDを所持している最近の「音質が良い」とされる曲について、CDをリッピングしたFLAC音源とAmazon Music HDのハイレゾ音源を比較してみました。
【比較環境】
送り出し:iPad、DAC:Astell&Kern PEE51、イヤホン:STAX SRS−002
CDリッピングソフト:Exact Audio Copy
比較曲① ネオ東京唱歌(上坂すみれ) :24bit/48kHz
アルバム「NEO PROPAGANDA」のリード曲。ドレスコーズの志磨遼平が担当した「東京五輪音頭」を自由にオマージュしているかなりクセの強い曲です。一方で生楽器の多用と上坂すみれ自身の歌唱力の向上が相成って非常に完成度が高く、筆者をはじめとする「同志」には評価が高い曲でもあります。一聴してすぐにわかるのは生楽器の再現性が大幅に良くなっていること。多く使用されているパーカッションは響きと立体感がかなり心地良く、弦楽器は一音一音の繋がりがより滑らかになっておりより聴きやすくなっています。そしてボーカルはよりハッキリと前に出て来ています。ここ1〜2年の上坂すみれさんの歌唱力向上は目を見張るものがあるわけですが、それを強く感じることができます。もともと上坂さんの楽曲は音質が良いことで有名ですが、CDをリッピングしたFLACよりもさらに満足度が高くなったと感じました。
比較曲② 大河と共に泣いてくれ(フランシュシュ) :24bit/96kHz
今季アニメの中でも期待が高く、現在のところその期待を裏切っていない名作「ゾンビランドサガ リベンジ(第2期)」のオープニングテーマです。こちらは24bit/96kHzのサンプリング周波数であり、①と比較しても容量はデータ量は単純に2倍。それだけあってCDをリッピングしたFLAC音源との違いは分かりやすく、まず「声の伸び」が良くなります。この曲の始め、いずれもハスキーで特徴的な二階堂サキ(田野アサミさん)から水野愛(種田梨沙さん)に繋がっていく部分で早速ビブラートにハッとさせられるような心地よさを感じます。そしてフランシュシュの楽曲は紺野純子(河瀬茉希さん)の力強いボーカルが大きな魅力ですが、より滑らかなメリハリのついた生々しい声(ダイナミックレンジが広い声)で聴こえるようになっています。全体で見ても立体感と密度の向上はめざましいです。元のFLACでも十分な音質と感じていましたが、明らかな音質向上には満足です。
4.Amazon Music HDの注意点
①ハイレゾ(Ultra HD)音源はサブスクで公開されていないものも多い
実は、サブスクを解禁しているアーティストであってもUltra HD版は解禁されていないものも多かったりします。洋楽では概ね90〜2000年台以降、その中でも特にSACD等でリリースされたものであれば概ねUltra HD音源が公開されていますが、邦楽は筆者がざっと見た限りでビクター(フライングドッグ含む)、ソニー(ミュージックレイン含む)などは多くがCD音質のHD音源までの公開となっています。一方でキングレコード、AVEX、ユニバーサルなどは各アーティストともそこそこの割合でUltra HD音源が配信されています。
②音楽をダウンロードしている場合は一度消してやり直す必要がある
また、過去にダウンロードしたファイルはそちらが優先して再生されるため、対象曲をUnlimitedでダウンロードしていた場合、このキャッシュを一度消さないとHD、Ultra HDは再生されません(警告が表示されます)。「音が変わらないじゃないか?」と思ったらこの辺りの設定も確認してみましょう。
③機器が良くないと…ねえ…。そして大きなファイルサイズ
根本的な話になります…。CD音質のロスレスとUnlimitedの圧縮音源の違いは安価な機器でもわかりやすいですが、HDと Ultra HDの差はある程度の機器でないとはっきり言って差がわかりにくいです。少なくともDACがハイレゾに対応していること、ヘッドホンも有線の2〜3万以上のものを使わないと差は感じられないかもしれません。一方で再生環境をある程度整えると、CDからFLACにリッピングした音源と比較しても明らかな差を感じることができます。但し、HD音源もUltra HD音源もUnlimitedの音源と比較すると数十倍の容量となるため、特にモバイルで使用するときは状況を考えた方が良いと思います。
④同じサンプリングレートならCDリッピングや販売音源の方が高音質
こちらも全般的に言えることですが、同じサンプリングレートであればオーディオ専用ソフトでの再生音質>Amazon Music HD ソフトでの再生音質となっていると感じます。こちらは音源というより再生ソフトの質によるものもあるかもしれないので今後の進化に期待したいですね。
5.まとめ
ということで、Amazon Music Unlimitedで追加費用なく聴けるようになったハイレゾを含む高音質音源についてレビューしてみました。ある程度以上の機器を所持しているのであれば当然アップグレードして高音質なハイレゾ音源を楽しんだ方がよいと思います。しかしながら通信容量やCPU占有率も大きくなるので、完全ワイヤレスのイヤホンなどではその恩恵は薄いと考えます。ただ、いずれにしても選択肢が増えたことは歓迎で今後の競合サービスの出方なども気になるところ。今後も楽しみは尽きないと思います。 (了)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?