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鬼談百景とafter sun/アフターサン感想

鬼談百景とafter sun/アフターサンの感想です。
どちらもネタバレあり。after sun/アフターサンが気になっている人はネタバレも感想も調べずに見た方が良いと思います。

残穢が面白かったので、そのスピンオフである鬼談百景をみました。
残穢でも思ったけど、ホラーってギャグにもなりやすい。

残穢は100メートル世界新記録出るか!?ってくらいのスピードで面白かったのに、ラスト3メートルでずっこけてビリになってしまったようなズコー感があったし、作品内の「追い越し」は80キロ以上出して車で走ってるのに髪も服も乱れることなく追いついてくるあの女性の映像がコラのようでおかしかった。

「赤い女」はアグレッシブすぎるでしょう。高いところからシュッと飛び降りてくるの、特撮かと思った。
ふーん、そういう系ねと思っていたらなぜか元凶が襲われて「なんで私が!!」と言っていたのが良かった。赤い女はきっとパルクールができるし、なんならLUUPにも乗りそう。

「どこの子」は関西弁だったからコントのように見えてしまう場面がちらほら。
ちびまる子ちゃんのようなおかっぱ、ブラウス、赤いスカートの女の子が突然バレエを踊る意味は?「なんやそのバレエは!」というキレも重なっておかしい。

一番怖かったのが「続きをしよう」
これは色んな意味で怖かった。お墓で遊ぶな!!あのお墓は撮影のために作ったセットだろうけど、それでも思いっきりよそ様のお墓の上に登っているのがバチ当たりすぎてよろしくないーと思った。そして怪我の痛々しさよ。
パターンが見えてきてからは薄目にして怪我を見ないようにした。大人でも泣きそうな痛さなのに、「じゃあ…帰るね」と憑きものが落ちたように冷静に言って一人ずつ帰るあのシーン……親は「あんたどうしたの!!!」と叫ぶことでしょう。

「どろぼう」は意味がわからなくて怖いし、途中の子どものお面も意図がわからないし、じめーっと嫌な空気がずっと立ち込めていて良かった。
そして「密閉」は粗大ゴミを捨ててスッキリ!わたしもあの彼女の立場なら同じことをする。元カレなんてさっさと捨ててしまおう。

やっぱり脅威ってテンプレート化されているなと感じた。
髪の長い女性は必須。女の子ならおかっぱ。みんな色白、もしくは青白い。日に焼けたショートカットの女性の怪異は今のところ見ていない。あと、太った怪異もいないよね。
凶悪な顔をしたぬいぐるみが襲ってくるチャイルド・プレイってもしかしたら当時は斬新だったのかも。

そしてafter sun/アフターサンは「こんな話だったの!」と驚いた。
父とのいつかの夏休みの思い出を眺めてしてしみじみするだけの(だけが良い)映画かと思っていたら…ずっとわたしはソフィの心と体を傷つけるシーンが出てきたら速攻で見るのをやめようと思っていたから、すごく心が落ち着かなかった。お父さんも不穏だし…パラグライダーをやらない理由も後でわかって(本当に年齢が理由かもしれないけど)寂しくなった。

じぶんが父であるか、娘であるか、育ってきた環境や現在のメンタル、いろんなものによって受けるダメージが違う気がする。

キラキラした夏の数日間を得たくて見るものではない。
わたしは「どうにもならんことってあるよな…でも…」と言葉に詰まってしまう。否定も肯定もできない映画は初めてだ。こういう形の心の揺さぶられ方が初めてで、受け止めきれていない。

率直に言うなら「見たくなかった」
キラキラした旅行映画だと勘違いしたままでいたかった。でも、映画体験としては良かった。こういう表現方法があるんだと、言葉にしないでも伝わりすぎるほどに伝わるんだと。

after sun/アフターサンに引きずられそうだからコメディでも見るか、とアマプラでコメディと検索したらキャビンが一番上に出てきて笑った。

いや、好きだけれども。
そんな日曜日。


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