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がん手術は無事に終了、だけど・・・

前回記事で「食道がん」手術を受けた際のあれこれや、反省点などについて書きました。

今回は、手術の様子について書こうと思ったのですが、全身麻酔で寝てたので手術中の事は全く分かりません。麻酔で寝ているうちに手術が行われ、気が付いた時には終わっていました。

指定通り8:15に手術室に着くように妻と担当の病棟ナースと居室を出かけました。がん患者とは言っても熱もなければ痛みもありません。抗がん剤のおかげで食事も普通に摂れるようになり、日常生活に支障は全くありませんでしたから、端から見れば「普通のオッサン」です。

妻と軽口を叩きながら歩き、4Fの病室からエレベーターを使わずに階段で2Fまで降りて手術室に向かいました。手術室の入り口で妻とはお別れです。前室と言うのか、準備室と言うのか分かりませんがストレッチャーに載せられて手術室に向かいます。入り口では分かりませんでしたが、手術室は大小合わせて7、8部屋あるようでした。

生まれて初めて入った手術室は、医療ドラマで見たのと同じでした(こんな感じ↓↓↓)。無影灯が思ったよりも大きかったです。

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麻酔医が点滴のラインを作って、「鎮静剤を入れますね。だんだん、眠くなってきます」と言う言葉を最後に,、いつの間にか深い眠りに入っていました。

手術には12時間以上掛かったようです。その間、妻は病院の談話室で待機していました。僕は寝ているので何時間掛かろうが気になりませんが、妻は待ち遠しかったと思います。

ようやく手術室から出てきた僕は、意識がなく、人工呼吸器を付け、体中から何本もチューブが出ていて、それが訳の分からない機械に繋がれている状態だったらしく、「大丈夫なんだろうか?」と不安になったようです。手を握ったら、「握り返してきた」と言うのですが、全く覚えていません。

術後に偶発的に起こるリスクも多いです。

僕が目覚めたのは、ナースステーションの横にある術後の集中管理室で、翌日の14:00くらいでした。30時間くらい寝ていたようです。両手は拘束されていて動きません。稀に術後せん妄を起こすことがあるので、異常な興奮状態で不可解な言動をして、人工呼吸器やドレーンなどを引き抜いてしまわない為の処置です。

術中や術後、下肢の血流が悪くなって静脈中に血栓ができることがあるそうです。飛行機のエコノミー症候群と同じです。また、僕の手術は腹臥位で行われた長時間手術なので危険性が増すらしいです。もしも、血栓が出来ていた場合、術後に動いた時に血栓が剥がれて肺の血管に詰まると肺血栓塞栓症になるかも知れません。発生率は2000人に一人の割合ですが、死亡率は10~30%を超える危険な病態です。

暫くして主治医がやって来て人工呼吸器を取り外しました。声帯を傷つけないように、内視鏡を使いながら慎重に取り外していきます。僕の父親がそうでしたが、雑に人工呼吸器を取り外すと声帯を傷つけてしまう事があります。父は、それで嗄声(させい)になってしまいました。

僕の手術は腹臥位(うつぶせ)で行われましたが、この体位による視機能低下(失明を含む)の症例があるそうです。また、全身麻酔をかけて意識がない状態で筋弛緩剤を投入することで、意識下では苦痛を伴う無理な体位を取ることも可能になります。長時間、無理な体位を続けることで末梢神経に障害を起こすこともあるそうです。

僕の場合、胸腔鏡や腹腔鏡での低侵襲の手術だったため、出血量が少なかったので輸血はしなかったようですが、輸血によるリスクも多々あります。B型及びC型肝炎やAIDS等の疾病に罹患することや、極く稀にですが輸血した白血球が体組織を破壊するGVHD、溶結反応やアレルギー反応等々が挙げられます。

これらの術前・術中・術後に偶発的に起こる症状も特段なく、無事に手術は終わりましたが、僕が頑張らなくてはならないのはこれからでした。手術よりも辛いのがリハビリです。


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