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World Cancer Week2024リポート 【CancerX 情報】〜科学的根拠ってなんだろう?〜

2024年1月28日〜2月4日まで行われた、World Cancer Week 2024
このリポートは【CancerX 情報】について報告します


■開催概要

【日時】2024年1月28日(日)11:45〜12:45
【形式】オンライン
【登壇者】
須田 桃子 氏 (科学ジャーナリスト / NewsPicks編集部 編集委員)
モデレーター:三嶋 雄太 氏 ( 筑波大学 医学医療系 助教 / 附属病院 再生医療推進室 副室長)
モデレーター:鈴木 美穂 氏(認定NPO法人マギーズ東京 共同代表理事)

登壇者の皆さん

■セッション概要

情報セッションは CancerXがこれまでの5年間、毎年必ず行ってきたセッションです。

がんと言われたときに、どのように情報に向き合うかは、生存率はもちろん治療選択やその後のがんとの付き合い方に大きく影響します。その際に、科学的根拠(エビデンス)のある治療を選択肢に入れることはとても大事です。

一方で、科学的根拠の”ある”という表現に惑わされ、実際は科学的根拠の乏しい治療法や検査、健康食品を選択することにより、大事な治療の機会を逃してしまうことがあります。また、それらを良かれと思い家族や友人が勧めてしまうこともあります。

それでは、何が科学的根拠のある選択肢とはなんでしょうか? どのようにすれば、個々人が科学的根拠について正しく捉え、後悔のない選択をできるようになるでしょうか。

今年のセッションでは、科学ジャーナリストの須田桃子さんをお迎えして、これまで情報のセッションを担当してきたメンバーと鼎談形式のセッションで共に考えました。

登壇の模様

■セッションサマリー

今回のセッションリーダーを務めたCancerXメンバーの ゆうたん(三嶋 雄太氏)に、セッションについて話を聞きました

セッションのねらいについて

情報を受け取る側には、科学的根拠のある情報とそうでない情報の区別を可能にする知識とスキルを習得するために大切なこと。一方、情報を発信する側においては、倫理観の重要性を理解する必要性。一方で、これらの習得や理解に向けた課題と、その解決策について話し合いました。

セッション内容は

セッションでは次の4つのポイントを話し合いました。

1つ目は「科学的根拠のある情報」とは何か。
科学的根拠のある情報は、科学的研究の結果に基づいており、客観性と再現性が担保されていることが必要です。同時に、誤解を生じやすい点として、実際には科学的根拠の高い情報から低い情報まで異なるレベルで存在しているにも関わらず、「ある」情報と「ない」情報があるといった、2極化したイメージをもってしまうことで判断を誤ったり、そのことが悪意を持って利用されたりしているのではないかという議論等がなされました。

2つ目に「情報の信頼性を評価する方法」について。
情報の信頼性を評価するには、まずは、情報源や著者、情報の更新日などを確認することが重要です。また誤解を受けやすいポイントとして、学術誌で論文報告されていることそれ自体では科学的根拠は低い状態であるということが紹介されました。大事なのは人を対象とした研究であるか?信頼できる研究デザインや統計上十分な例数のものであるか?そして複数の研究で評価されているか?などのポイントが重要であり、それによって科学的根拠(エビデンス)に高低が生じることが話し合われました。

3つ目に「情報発信における倫理観」について。
情報の発信者は、情報の正確性と透明性を意識する必要があると考えます。セッションの最後には、過去に起こった大きな論文不正と、それらを契機に起こったムーブメントなどを取り上げ、そこから学ぶべきことなどを議論しました。特に、倫理観だけでは対応できない事象があふれている現状には、第三者的・中立的な機関やシステムの設置の必要性にも議論が及びました。

今後の展望

今後、誰もがより良い情報の選択を進めるために、取り組むべきことについても話し合いました。

この中では「科学的根拠のある情報を見極めるためのガイドラインの作成」や「情報発信者向けの倫理ガイドラインの策定」など基準となるガイドラインを作成していくことや、科学的根拠のレベルを受け手が自ら判断できるようになるためには、教育プログラムの開発が重要であるなどが話し合われました。

また、社会的に大きな疑義や懸念点が出た事象が出た際には、社会が立ち止まって検証ができるシステムや環境の実現が喫緊に強く求められるということがセッションを通して認識されました。社会がそのような状況を作れるよう、CancerXも行動していきたいと思います。

全てのセッション内容はこちらへ


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