Last Epochは本当に音がしょぼいのか問題と、ゲームクリエイターが同じ状況に陥らないための対策
美しいグラフィックと洗練されたゲームメカニクスで話題となったアクションRPG、Last Epoch。
2024年7月時点でレビュー総数8万7千件、やや好評となっています。サーバー問題や、競合タイトルと比べてのコンテンツ量など、正式リリースを迎えたとは言え、まだまだ課題はたくさんありそうです。
そんななか、ネットやSteamレビューでは、
という意見もあって、これも事実だと思います。
グラフィックは綺麗なのになぜ手ごたえがないのか?その原因のひとつとして考えられるのが…
やっぱりサウンドデザインなんですね。
正直な感想
まずこのゲームの個人的な感想を言うと、100点のグラフィックに70点くらいのサウンドがついてる状態だと思います。Grim Dawnみたいな硬派なアクションRPGだと、氷の塊をガシガシ殴っているような手ごたえがあるんですけど、Last Epochはかき氷をすくってる感じです。
あと話はサウンドからずれますが、良くも悪くもスケールしにくいゲームで、数字が大きく跳ねない設計になっています。メインキャンペーンからエンドコンテンツの入口までプレイしましたが、敵を倒すペースがずーーーっと同じなんですよね。
ゲームを作る側からすれば、これはバランスがとれていることになるのでしょう。でも、やる側からしたら自分のダメージ出力と敵の強さがずっと平行線になっているわけで、そこでかき氷しゃりしゃりを続けるのは…そりゃ「もっさり感」とか「単調である」と言われても仕方がないと思います。
自分で作ると軽めになるんだよな。
音そのものはハイクオリティだけど
Last Epochのサウンドデザインがしょぼいと言うつもりはありません。むしろ非常に洗練されたサウンドだと思ってます。いや、サウンドだけではなく、アートやUIなども含めてすべてハイクオリティなゲームです。
ただ、最高の映像に最高の音をつければすべて解決…とはならないのがゲームの難しいところ。
自分でプレイしていて感じたこと、またこのジャンルの競合タイトルと比較して思ったことは…
全体的にほそく、ピッチが高めの音が多い
音のバリエーションの少なさ
すべてが同じ音量で鳴っている
順番に説明します。
全体的にほそく、ピッチが高めの音が多い
音が太いかほそいかって感覚的な話しかできないけど、ピッチ(音程)が高いかどうかは比較対象になりやすいと思います。
映画やゲームの音を作るフォーリーアーティストと呼ばれる人たちは、単純にきれいな音を録るだけではなくて、録った音をものすごい加工していきます。
この工程で低音を足す人もいれば削る人もいて、Last Epochはどこかでシャリっとした、ピッチが高めな方向に偏ってしまって、ディレクションする立場の人がそれでOK出しちゃったんだと思います。
ヘッドフォンをつけたり音量を上げたりすれば、どっしりとしたサウンドデザインであることは聴きとれます。ただ、レベルアップや小さな素材を回収したときなど、非戦闘時の音も含めてシャリっとした音が多いので、どうしてもゲーム全体でほそい音という印象があります。
ルートフィルターの音は自分でカスタムしてる人が多いので、簡単に比較はできないですが、レアアイテムが落ちたときの演出も控えめになっていますね。Path of Exileだとジャキ―ンとかガシャーンってなるじゃないですか。
音のバリエーションの少なさ
誰が最初に言いだしたのかわかりませんが「マシンガン効果」という言葉があって…
同じ音が連続して鳴ると、人間の脳は違和感を感じるというあれです。
ゲーム制作ではこれを回避する方法としてランダムピッチが用いられることもあります。同じ音だけど毎回ちょっとずつピッチを変化させるわけです。これはひとつの音源を用意するだけで済むのでゲーム全体の容量削減にもつながります。
やりすぎると不自然になるので好きじゃないんですけど、Grim Dawnのアイテムを使う音がわかりやすいです。
やりすぎだろw
やはり理想はサウンドデザイナーにちょっとずつ違う音をたくさん作ってもらうことだと思います。それで確信はないですが、Last Epochの効果音はそもそもバリエーションが少ないんじゃないかと思っていて…
いや、バリエーションはちゃんと用意されているんだけど、連続して同じ音が鳴っている感が強いです。そしてこの原因は次の音量とも関係してきます。
すべてが同じ音量で鳴っている
いろんなプレイ動画を観て、一番問題なんじゃないかと思ったのがこれです。
キャラクターがしゃべるときはほかの音が小さくなっていますが、常に全部の音がでかくて、連続して、目の前で鳴っているように聞えます。
Path of Exileも混戦になれば何がどうなってるのかわからないけど、単純に全部の音がでかいわけじゃない。キャラクターが水平方向にしか動けないゲームとはいえ、サウンドに奥行きがありますね。
ひとつひとつの効果音のクオリティっていうよりも、バリエーションや鳴らし方で差が出てくると思うんですよね。
まとめ
サウンドの話はどうしても感覚的になってしまうし、音のバランスはオプションで変更できる部分もあるので、ここで紹介したのは公平な比較ではないと思います。
ただ、このジャンルの有名タイトルを複数比較すると、音の実装方法でもだいぶ差があることに気づくと思います。
ピッチが高い/低いどちらかに偏らない
連続して同じ音が鳴っているように感じさせない
すべてを同じ音量で鳴らさない
こんなところを意識すると、小規模なゲーム開発でもよいサウンドデザインを実現できるのではないでしょうか。
ちなみに今回の動画では、ほとんどを無料素材を組み合わせて音を作っています。ぜひダウンロードしてお気に入りのサウンドを作ってみてください。
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