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田畑が生活のリズムをつくる

学校は休みになっても、農作業が主な産業である和合の動きは止まることがありません。春になったら田畑の季節。種まき、苗づくり、畑の準備、そして田んぼの仕事で大忙し。学校の田んぼも学校がお休みだといっても休んでいられません。子どもたちがいない分、今年は地域の方々と先生方、そして保護者が中心となって田んぼの準備を進めています。

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まずは籾まきから。地域の方々の共同作業に混ぜてもらい、学校田の苗も作ります。コロナが収束して田んぼの作業が滞りなく出来ますようにと願いを込めて。地域の方も「子どもがおらんで静かだな」とちょっと寂しそう。来年はみんなで一緒に賑やかに作業ができますように。

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休校が長引いてしまったので、予定していた田起こしも先生方と保護者でがんばりました。通りがかった子どもたちもお手伝い。晴天のもと、農作業で汗をかくのは気持ちいい。推奨すべき農耕接触です。土に触れ、太陽の光を浴びることは、免疫力を上げるには必須の項目。自然のエネルギーいっぱいチャージして、和合の子どもたちは元気いっぱいです。元気が有り余っているので、各家庭での農作業に子どもたちは引っ張りだこ。ほとんどが田畑を耕している家庭なので、子どもが家にいると畑に駆り出されます。我が家も今年から小さな田んぼを借りるので、このゴールデンウイークは田んぼの作業で終わりそうです。外出する暇がないのが、この和合地区です。

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田起こしの翌日は、卒業生の保護者の農家の方から指導いただき、有志で畔塗をしました。見ると簡単そうだけど、やってみると難しい。泥と格闘し、疲れたら交代。4年生はさすが高学年の入り口とあって良く働きました。

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見よう見まねで何とか形になってきた。なんでも初めてのことは難しいけれど、こうやって一つ一つ出来るようになる過程が嬉しい。大人の私もほぼ経験がない作業に戸惑いつつも、土と戯れる楽しさを知り、これでこそ山村留学だと醍醐味を感じています。休校になって学校の行事がなくなっても、地域の一員として関われる、支えられることに喜びを感じます。こちらに来て、より主体的に学校に関わるようになりました。田畑の授業はその一つ。田んぼの授業はほぼ一緒に参加しています。この年間の授業が学校生活の楽しみでもあります。

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仕事に疲れたら泥んこ遊び。田畑では子どもの遊び場には困らない。就学前の小さな子どもたちも一緒になって学校の田んぼに来る風景はとても牧歌的で大好きな光景の一つです。

5月の臨時登校日にも、学校では田んぼの作業を設定してくれました。教科の時間も足りないだろうに、子どもたちも楽しみにしている田んぼの授業がカットされなくてほっとしました。先生方に感謝です。みんなで無事に田植えの時を迎えられますように。

学校田んぼの一年は籾まきから始まって田植え、草取り、そして秋の収穫、脱穀、最後にみんなで作ったお米を炊いて地域の方々にふるまう収穫祭と年間を通して行われます。新型コロナの影響で休校が長引き、9月新学期の可能性も議論に上がってきているようです。でも田んぼや畑の作業が生活の中心になっている和合では、9月に新学期だと、いきなり稲刈り。そして年度途中で田植えして、卒業生は自分で植えた稲が収穫できない。となると、ぜんぜん9月新学期がピンときません。海外の基準に合わせるチャンスだとの見方ももちろん否定はしませんが、私はなんとなく、ここで田んぼの授業を2年間一緒に受けてきた感覚では、日本は農作業のリズムで、春があたらしい一年の始まりだったのじゃないかと思います。種を撒き、芽吹く季節から新学期が始まる。桜の下での卒業式、入学式。春夏秋冬。ここ北半球の農耕国家である日本では、春は始まりの季節というのが自然。どうなるか分かりませんが、私個人的には、自然のリズム、田畑のリズムで、子どもたちと一緒に生活を作っていきたいと思いました。

山村留学3年目に突入し、家庭でも畑の拡張、田んぼの開始と、田畑の作業が生活の一部になってきています。今年は鶏も飼おう!と今、子どもと一緒に鶏小屋を作り始めました。コロナの影響で生活は変わっても、自然のリズムは変わらない。変わらないものの中で、変えていくものを選びながら、これからを歩んでいきたいと思います。


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