見出し画像

周辺の小学校との交流授業

現在、娘が通っている和合小学校は1年生から6年生まで揃っていますが、全校生徒9人と長野県内で生徒数が一番少ない小学校です。小さな学校であることは、先生の目が行き届き、異年齢の子どもたちの関わりが自然と生じるなどの良いところもありますが、例えば少人数ゆえに大人数でやる球技やゲーム、多種多様な意見を交わす機会というものは、必然的に不可能になるというデメリットもあります。町では、少ない人数でのデメリットを回避する策として、周辺の小学校との交流授業を設けています。バスに乗って、2~30分かけて、違う小学校の授業におじゃまするのです。

昨年は一番近い小学校の同じ学年の授業に和合小の子どもたちが合流するという形の交流授業が主でした。いつもは同学年は自分だけかもう一人という状況が、数十人のクラスメートの中に入るということになります。普段から見知った間柄ならまだしも、知らない学校の子たちの中に混ざるのは、まるで転校生のようであり、ドキドキわくわくもあったけど、不安や居心地の悪さもあったようです。そりゃそうですよね。大人でも新しい集団に入るのは勇気がいることですから。たくさんの新しいお友達に囲まれての授業は、刺激ももらったけれども緊張が勝ったのか、次第に交流の日は沈んだ表情に。そんな姿を保護者も先生も認識し、私も交流の在り方について学校に意見をさせていただき、学校もすぐに考慮してくださいました。昨年度の経験を受けて、先生方も議論を重ねてくださったようで、今年度は交流授業に工夫を凝らしてくれました。今までは普通の授業に娘たちが混ざる形だったのが、通常の授業だけでなく、行事交流という形で音楽会やマラソン大会に参加させてもらったり、遠足を一緒に行ったりという活動が増えました。おかげで大人数で行事を楽しむという経験に、交流を渋っていた娘も喜んで行くようになり、先生方の工夫に感謝の思いが湧いています。

学校生活は子どもたちが主役です。大人が「こうしたほうがよい。こうあるべき。」という形は必ずしも子どもの望むものと一致しません。大人側からしたら、大人数の授業のほうが刺激が多いだろうと思っていても、子どもにとっては慣れない場所で通常の授業を受けるということは相当なストレスを感じていたように思います。落ち着いた環境で、子どもが安心しリラックスした状態が保証されて初めて、質の良い学習が可能だと、私自身は考えています。大人数の良さを子どもに感じてもらうためには「大人数って楽しいな」と思える経験がきっと有効。そのスタイルは必ずしもお勉強である必要はないのではないでしょうか。昨年度と大きく変わった交流授業で、また新たな交流の形を模索していただけたのだろうなと、学校側の取り組みに期待しています。

先日は隣村の小学校にスケート体験の交流授業に行ってきました。保護者も見学してもいいですか?と聞いたら快くOKがもらえたので、見に行ってきました。いつでも見学が可能なオープンさが本当に嬉しいです。先生方と保護者の方々が田んぼに水を張って凍らせた手作りスケートリンクでの授業です。今年は暖冬で日の当たる場所は氷が薄かったのですが、日がげ部分は大人が乗っても滑っても大丈夫な立派なリンクができていて、子どもたちは歓声を上げながらぐるぐる滑っていました。ほぼスケート経験がない娘も、もう滑れるようになっていて、子どもの力に驚きました。こんな体験をさせてもらえて本当に娘は楽しそう。昨年担任だった先生が交流先の小学校に赴任されていて、学年が違うのにスケート交流も見に来てくれ、娘はとっても嬉しそうでした。大好きな先生との再会、よかったね。ケーブルテレビや新聞の取材も来ていて、子どもたちの様子はほっこりニュースを賑わせたようです。

ここ南信州の地域はどこも少子化で、少人数化の波に児童数確保の課題を抱えている小中学校ばかりです。山村留学を募集しているのも南信州に多く集中しています。こうして少人数の学校がお互いに交流することで、少人数ならではの課題を乗り越えられる可能性も見ました。小さい学校が支えあって学習環境を整える、そんな取り組みも考えられるかもしれません。少人数の良さを活かしながら、学校生活を発展させていくことを望みます。

全国的には規模が小さくなったらすぐ統合!と大規模化することが主流となっていますが、学校が地域から遠く離れてしまうと、その地域と子どもとの関りが遠のいてしまい、結局は地域から子どもが消え地域が元気がなくなってしまうように危惧しています。子どものうちに地域から離れてしまうと地域愛も薄れ、すぐに都会に出て行ってしまい、もう帰ってこなくなってしまうかもしれません。効率化や経済的な理由が統合の理由ですが、それは子ども不在の考え方に思えてなりません。子どもが育つ環境のことを考えると、統合が答えのすべてではないと想像します。子どもは地域の宝、地域全体が学校のPTAというこの和合小学校は、少人数であっても子どもが育つ環境としてはトップクラスだと感じています。超小規模校であっても、この地域に学校を残してくださっていることに改めて感謝の思いが湧くとともに、どの地域にも学校は残っていってほしいなという想いも湧き上がります。ここ周辺の学校が行っている「交流授業」が統廃合を回避するひとつの答えになったらなぁと個人的に感じています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?