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NPOでなく株式会社という選択

私が現在提携している株式会社アドレス(以下、ADDress)という企業体についていろいろ考察してみたいと思う。

正直、地域優先ならNPOでしょ?と思っていた。
結論から言うと、あえて株式会社をいう選択を取ったことに感銘した。

私はこの提携をする以前から多拠点生活を自身でしている。
完全なる都会と完全なる地方で。

地方ではホテルの廃業が増え、商店はほぼ壊滅。
駅前一等地もシャッター街である。
私が住み始めた時からすでに街の明かりが薄く、
一時期、コロナでは完全に消え、ゴーストタウンのようだった。
当然、地方も黙っちゃいない。
NPOを立て、都会から学生や人を呼び、家屋を飲食店やイベントスペース、コワーキングスペースへ改装し、地方創成を謳う。

ADDressは家守と地域のコミュニティと”出会い”にとても重きを置いている。

これは非常に似ているが全く異なることが外部からではわからなかった。

NPOはハングリー精神が希薄になりやすい。
地方公共団体の後ろ盾があったり、非営利団体ということもあり、
『仕方がない』で終わってしまいがちになる。
利益を追求しない、ボランティアであることから、これらが『頑張る必要がない』に変わっていってしまうことがあるようだ。
すべてのNPOがこうだといっていない。
しかし、一定の成果が上がらなければ誰のせいにすることもなく、改装資金を回収できぬまま、徐々にフェードアウトしていくのが多いように見受ける。
私が同じ立場であればきっと同じことになるだろう。
頑張って飲食店を作ってお客さんが来なくなっては、ポジティブを続けることはとても苦痛であろう。
そうするとお客さんが来そうな日だけ店を開ける、または、予約があった時だけ店を開ける。
すると、店が開いていないときに初見のお客さんが来るとゴーストタウンに見えてしまう。これはかえってネガティブだ。
これでは、バブル崩壊期に作ったいわゆる”箱もの”と大きな差が無くなってしまう。
実は商売を中心に考えられた企画が多く、これはNPOと真逆であり、この屈曲に気付けない人も多い。

では、ADDressはどうだろうか。

ADDressは都心部から地方の家へ人を送り続けることで”出会い”を与え続けている。しかもその売上は会員からの家賃、つまり生活費だ。
会員の財布は痛まない。
利益追求する企業体であるべき株式会社が現地で商売をしていないのだ。
これが意味することは、継続可能であるということ。
こうした継続はやがて関係人口を増大させていく。
ADDressは企業体であるから継続、成長を止めない。

ADDressを例えるなら火種だ。
火種から関係人口という名の小枝が燃え、やがて薪という名の経済に火が付く。

地方から多くの火が上がることを私は心より切望している。


少し蛇足ではあるが経営者にも大きな違いがある。

地方の旅館の経営者は大切な顧客を車で駅まで迎えに行き、丁寧に頭を下げる。
これは非常に素晴らしいことではある。

ADDressの経営者は顧客である会員を迎えに行くどころか、迎えに来てもらっていた。
彼が会いに行っているのは家守、いうなれば取引先や従業員だ。
家守のところへ行くということは、一地方へ行くということ。
彼は全国の家を回ることで現地でしかわからない情報を収集し、それを皆に伝達している。そう、新しい情報のシェアリングだ。
このシェアリングは究極の広告媒体でもある。
地方の家で得た新しい情報は、会員というコアターゲット層へシェアリングされる。
シェアリングされた情報をもとに、会員が動き出す。
動き出した会員には家守をはじめとした新しい”出会い”がある。

実に素晴らしい。

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