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[#4] 結婚記念パーティの謎解き公演をほぼ1人で作り上げた話 【シナリオ執筆 叩き台】

肩書きは謎制作者よりも謎作家のほうがかっこよくて好き。カナンです。

この記事は前回の記事の続きです。下記のマガジンにこれまでの記事が載っているので、ぜひ最初の記事から読んでみてください。

ミーティングが終わり、ここからはLINEで連絡を取りながらの個人作業。

Googleドキュメントを開いて、ひたすらストーリーや世界観を詰めていきます。

僕のような人は、謎解きコンテンツを作るのだから謎を作るんだ!と思われがちです。
しかし、体感で制作時間の半分ほどはどういうストーリーにするかに頭を悩ませている気がします。

別の案件で謎解きコンテンツを作ったときに「いきなり謎を作るのかと思ってたけど、ほとんどシナリオライターだよね」と言われるくらい、ストーリーや世界観というのは大切なのです。


ちなみに、シナリオをほぼ書いているためこれまでの記事に比べてクソ長いです。
お急ぎの方、引用部分は斜め読みしたほうが良いかもしれません。
(斜めに読むと何か文が出るとかいう謎ではないです。そのように思った謎クラのみなさんは反省してください。)

叩き台をぶっ叩く

前回のミーティングでタイムトラベル案が盛り上がっていた最中。

散らかった情報をまとめ、裕美さんがストーリー案を書き上げてくれていました。(とても助かる)

その日の深夜、LINEのノートに1つの投稿が。(めちゃめちゃ助かる)

【謎ストーリー案】

受付エリアに着いたゲストたち。パーティーの手紙を受け取り会場に行くとなんだか様子がおかしい。どうやら1年ちょっと前、2019年5月1日23時に、タイムスリップしてしまった!
(このあたりはタカタ先生にうまく説明してもらう)

平成から令和に元号が変わる今日はふたりの入籍記念日になる…はずが、なんとふたりは婚姻届を忘れてきてしまったらしい。
裕美はどうしても元号が変わる日に入籍したいらしく、今日じゃなければ入籍はしないと駄々をこねている。
(※「元号が変わる日じゃないと入籍しない!」と言っていたのは実話です。笑)

今から自宅に取りに戻っていては間に合わない!
新しい婚姻届を作って出さないと、このままではふたりが結婚しない未来が訪れてしまう…!
どうにかして婚姻届を完成させて、ふたりを入籍させるんだ!

最終ゴール:すべての箇所が記入された婚姻届をもって、しかるべき窓口に婚姻届を提出する

ゴール後のエンディング:時間がもどり、2020年5月22日。(きっとタカタ先生が元の時間に戻してくれる)
無事に婚姻届を出して夫婦になり、無事に1周年パーティーをむかえられたふたり。めでたしめでたし。
…という解説が終わったところで、ウエディングドレス姿のふたりが出てきてハッピーエンド。みんなでおいしいごはんを食べて歓談して解散。
(※解説をしてもらってる間に二人は中座して着替えられるなと思っています)
(※ちなみに、みんなをタイムスリップさせた黒幕がタカタ先生説が3人の中では濃厚です。笑)

僕「ありがてえ〜〜〜〜!!」

あんなに言いたい放題言い合って散らかっていたはずの情報が、一本のシナリオにまとまっています。

しかしまだまだ荒削り状態。

ありがたくまとめていただいたシナリオを叩き台とし、容赦なくぶっ叩いてより良いシナリオに仕上げていきます。

手始めに、このシナリオを読んで思い浮かんだ客観的な疑問点を全部書き出すことにしました。
(※ めちゃ長いです。読み飛ばし可)

ストーリーの詰め
全部解消しなくても良いが、できるだけこれらが解消されたストーリーを書きたい

なぜ婚姻届が書けなくなる世界になってしまったか
タイムスリップの原因は何か

_ 誰かがタイムスリップさせたのか
__ その人の目的は何か
__ その目的と「婚姻届が書けなくなったこと」の関連は何か
___ もしくは無関係か
___ 登場人物との色恋沙汰みたいな人間関係だと婚姻届の件との整合性は取りやすいが、さすがに今回にはふさわしくない
___ しょうもない原因のほうがウケそう
_ もしくは自然現象(?)に巻き込まれてしまったのか
__ その場合はなぜ婚姻届が書けなくなったのか
__ プレイヤーのせいにする?
___ 「みなさんが〜〜してしまったので、なんと婚姻届が書き直しになってしまいました!どうしましょう!」
__ 自然現象の場合、現在に戻る方法はあるのか
タイムスリップをするのは、「場所」なのか「人」なのか
_ 場所がタイムスリップの場合、時空が歪んで会場だけ過去になる
__ 会場から外に出ると現代に帰れる
_ 人がタイムスリップの場合、タイムマシンみたいな感じ
__ 会場だけでなく、全世界が過去になる
__ 婚姻届を出すのは会場外なのでこちらのほうが良いのかもしれない
舞台はどこか
_ 会場は過去と現在で同じ場所か
なぜ2人だけでは婚姻届が書けないのか
_ なぜプレイヤーの力を借りる必要があるのか
なぜ謎を解く必要があるのか
_ 各謎の細かな内容まで世界に馴染ませなくてもよいが、「なぜ謎を解かなければならないのか」という理由付けは欲しい
完成した婚姻届は誰/どこに提出するのか
_ 提出先は京都なのに、その会場内にある提出先はどういうポジションなのか
ゲーム中(過去)の2人はどういう雰囲気か
_ 2019/5/1で婚姻届が提出できないかもしれない2人の様子
__ 慌てている or 落ち着いている
__ 仲が良い or 喧嘩している
__ プレイヤーに協力的 or 非協力的
__ 正装 or 普段着
_ 過去の2人から見たプレイヤーはどういう立ち位置か
__ 5/1に結婚パーティを開催しているわけではない
__ 2人はプレイヤーが未来から来たことを知っているか
司会はどのような立ち位置か
_ プレイヤーと同じ「過去に飛ばされてしまった人」なのか
_ 2人と同じ「婚姻届が書けないかもしれないことを知っている人」なのか
__ あたふたしてたら未来から大勢の人がやってきた!という反応なのか
_ タイムスリップをした張本人なのか
__ 自分のせいでこんな世界線になってしまった…という感じなのか
謎を解くとプレイヤーはどうなるのか/何が得られるのか
裕美,太郎の2人、タカタ先生、プレイヤー(あとはカナンや他スタッフ)はタイムトラベルに関してどのような立場なのか
_ 過去に元からいた人
__ 未来から誰かが来ることはしらない
_ 現在から過去に飛ばされた人
__ いつの間にか過去にいた
_ タイムトラベルの存在を知っている人
__ その人は過去の人か現在の人か
___ 過去の人なら「未来からやってきたんですか!?」となる
___ 現在の人なら「もしかして、ここは1年前!?」となる
プレイヤーを集めたのは誰なのか。それはなぜなのか。

改めて見るとものすごく長くてウケますね。
2000文字を超えたら記事を区切る目安にしていたのですが、コレのせいで既に2600文字です。

しかし、これだけぶっ叩いたことでこれからじわじわと締まりのあるシナリオになっていきます。

ひたすら膨れ上がらせる

翌日に僕が書いてみたシナリオがこちら。
数倍の文量になってます。

おおまかな流れ
舞台:新居

2人の新居お披露目パーティに招かれたプレイヤーたち。
しかし、会場こそ同じだが明らかに様子がおかしい。

プレイヤーは2019年5月1日に飛ばされてしまい、そこは2人が結婚できないかもしれない状態になっていた。
2019年5月1日(令和初日)に婚姻届を出したいというこだわりがあったが、なんとまだ婚姻届ができあがっていない

どうも、京都で提出したかったとのことだが寝坊をして新幹線に間に合わず、その後の席も満席。
速達で郵送をしようとしたが、郵便局へ向かう道中の十字路で誰かとぶつかってしまい(恋愛マンガでよくあるやつ)、その表紙に婚姻届が風に飛ばされてしまったようだ。
しかもその拍子に2人とも右手をついてしまい、上手に文字を書くことができなくなってしまった。

会場にはなぜか郵便屋さんがいるので、その人に渡せば爆速で郵送提出してくれるらしい
でも、どうやらあと45分以内に完成させないと今日中の提出はできないらしい。

なんとかして、婚姻届を完成させて結婚させないと!

↓ ゲームスタート

まずは、そもそもの婚姻届を手に入れなければならない
謎を解いて(?)婚姻届を手に入れる

2人の情報を整理し、代わりに婚姻届を埋める
謎を解いてわかるものもあれば、写真や日記などを整理してわかる情報もある

2人の情報は埋まったが、あとは証人を2人選んで署名してもらうことが必要だ
謎を解けば、誰が証人になるのか、そのようにすれば署名がもらえるのかがわかる
これで婚姻届が完成だ!婚姻届を封筒に入れて郵便屋さんに渡す
しかし郵便屋さんに渡すと「これだと不備があるようです」と言われ、受け取ってもらえない

提出先の役所は京都だった!(これも2人のこだわり)
本籍地と離れているところに提出しなければならないため、戸籍謄本も必要だった
謎を解いて(?)戸籍謄本を手に入れ、封筒に同封する

郵便屋さんに渡したら受理してくれた!
これで大丈夫だ!(ゲームクリア)
↓ 解説エンディング
(解説後)
実は、タイムスリップをさせたのはタカタ先生
今日(令和初日)に発売される令和チップスがどうしても欲しく、コンビニへダッシュしていたところで2人とぶつかってしまった。そのせいで、2人は結婚できなくなってしまった。(実際にローソンで発売された)

なんとかして2人を結婚させてあげたかったタカタ先生は2人のふりをして新居お披露目パーティの招待状を出し、プレイヤーたちを集めて過去の世界へ転送した。この人たちなら、2人のことをよく知っているし、きっと力になるに違いない、と。
そして全てがうまく行っていれば(成功チームがいれば)、現代に戻ったときに2人は結婚しており、ここでパーティを行うことができるだろう。
↓ 現代に戻す
現代に戻った途端に部屋の扉が開き、ウェディングドレス姿の2人が登場!

ここで成功者発表
「○○番チームのおかげで、2人は結婚することができました!ありがとう!!そしておめでとう〜〜〜!!!!!」

そのままパーティへ

なげえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!

最終的なシナリオはもっとシンプルになっていますが、羅列した疑問点を片っ端から解消するようなシナリオを書いた結果がこれです。

まずはタイムトラベルまわりの疑問点。

これは、タカタ先生のせいで1年前の二人は結婚ができておらず、タカタ先生が(二人を装って)現代の友人たちを強引に過去に連れて行き、歴史修正を図ろうとした、というシナリオでがっつり解消しました。

そして婚姻届まわりの疑問点。

部屋の中に何故か郵便屋さんがいて、京都まで爆速で届けてくれるというシナリオで半ば強引に解消しました。
舞台が東京で提出先が京都ということから考えついたものですが、なかなかに謎シチュエーションすぎますね。

あ、そもそも婚姻届や戸籍謄本はどうやって手に入れるんだって疑問が残っていますが、それは後から考えます。


ひとまず、疑問点を解消するアイデアをシナリオにモリモリ組み込んだ、肥大化したシナリオが完成しました。

このままだと確かにストーリーは詰まっているけど、初見の参加者は何が何だかわからないこと間違いなしです。
なのでこれから微調整を重ねて、整合性がありながらもスッと理解しやすいシナリオを目指していきます。

まとめ

今回は、ぼんやりとしていた世界観を文字に落とし込むシナリオの執筆について書きました。

最初に出来上がった叩き台をひたすら叩き、出てきた客観的な疑問点をとにかく解消するよう膨れ上がらせました
このままだと設定が煩雑すぎて整理しきれないので、これからじわじわ整えていく行程に入ります。

次回はシナリオ執筆の続きについて書きたいなと思います。

Photo by 角田大樹

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