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ネオフィリア ネオフォビア ヤッカイやん

見上げる空に 揺れる あんパン 。

先日、起き抜けの頭にそんな残像が残っていたので、わたしの遅い初夢は、たぶん「パン食い競争」だったと思います。
こんにちは。イラストレーターの林です。お立ち寄りいただきありがとうございます。

さて、ヤムの〝食べそうなもの〟を目指してのトライアスロン。
前回の〝なんちゃってゴール〟からの再スタートだ。

中間地点だった〝鯛〟は、念のため常備。加えて、ぶり/サーモン/まぐろ/かつおと、その後もレースは迷走。

いかん、ヤムの体重も落ちてきた。

そりゃそうだ。ヤムは、そのどれをも小鳥のように〝ついばむ〟程度にしか食べていない。a/d缶はそこそこ食べるので、それをメインにした。P先生にも、もちろん様子は伝え[吐く][ぐったり][呼吸の乱れ][さらに体重減少]がなければ、ひき続き自宅で様子をみることになっていた。高齢のねこにとっては通院自体が負担になる。その理由から電話で様子を伝え、相談にのってもらうことがある。ありがたい。

さて、そんなこんなの数日間。年が明ける手前になってヤムは答えを出した。

ユミ・・・やっぱ これやな。


タメが多かったわりには、常食〈シーバDUO/15歳以上〉でゴールとなった。

・・・と思う。思いたい。今日もよく食べている。今のところ、わたしの元に〝風の便り〟は届いていない。

ねこと暮らす者の多くを、突如ドンヨリさせる〝ねこの食べない問題〟。もちろん病気やストレス原因を考えることが一等先なので、食べなくなったらまずは動物病院へご相談をなのだが、以前、調べた中で興味深かった記事がある。家ねこの〝食べムラ〟〝食べ飽き〟が、野生の肉食動物の本能と関係があるというのだ。

えっ?
食べな生きていかれへんやん?
野生の王国で、そんな食べムラってたり食べ飽きってたりしてる余裕ないんちゃう?

と素朴な疑問が湧いてくるが、どうやら、肉食動物特有の好奇心と警戒心のはざまで起こる本能なのだそうだ。くぅ〜っ、はざまって奴ぁ。

とはいえ、ここからはわたしなりの雑な解釈ということをご了承くださいませ。
正しく知るためには、お調べになることをお勧めします。

野性の王国で生きる肉食動物にとって、いろんなものを食せることは、生き延びる上で断然有利だ。

わたしはヌーしか喰わんっ!

となれば、ヌーが狩れなかった日はごはん抜きということになる。死活問題だ。

今日は魚にしとくか・・・
今日は鳥にしとくか・・・

と、あれやこれやと食せる方が明日へ命をつないでいける。
その本能から、いつもと違うものを突然食べたくなる習性があるとか。新しいものへの好奇心、これをネオフィリア。その逆で「これ、食べれるんか?ヤバない?体にワルない?」という新しいものに対しての警戒心、これがネオフォビア。ねこも肉食動物だ。このネオ×ネオ本能が、家ねこの〝食べムラ〟〝食べ飽き〟につながっているというのだ。興味深い。実に興味深い。

で・・・むっちゃ厄介やん。

ここで、ヤム含め我が家歴代のねこのごはん遍歴を雑に振り返ってみる。
彼らと暮らし始めたわたしは、オーガニックやらプレミアムフード、栄養成分のバランスはもちろんのこと、素材が厳選されているもの・・・

わたしが用意するもので、彼らの体はつくられる。

慎重にならざるを得ない。わたしは気張って頑張った。当時はウェットフードより、なるべくドライフードが良いという流れもあって、ドライオンリーの食事だった。昨今は食事からも水分補給がベターということで、ドライフードとウェットフードをバランスよくという流れになっているように思うが。

さて、このプレミアムなドライフード生活すべてが悪かったとは思わない・・・が、困ることもでてきた。食欲不振になったとき、動物病院で「今は、なんでも好きなものを」のアドバイスに対して、頭の中の吹き出しに何も浮かばん。何も現れん。

・・・というか彼らの好物が、わからん。

だって、ドライフードしか食べさせてこえへんかったし。
健康は大切だ。そこに食生活はセットだ。けれど・・・

彼らに、好物のない猫生を送らせていたとは・・・!

これじゃあ、いかんっ。

わたしは、彼らがシニアをとうに過ぎてから、好物を探し始めた。およそ〝ねこの好物〟と考えられるもの(ウェットフードも含め)を定期的に試すことにした。

ボイルしたささみ
ねこが食べていい魚のお刺身
ちくわ
ハム
チーズ
etc

かつおぶし

かつおぶしを好むのは知っていたが、流石にこれだけで満腹にさせるわけにはいかず。フードの上にトッピング方式は彼らに通用せず。
ヤムはウェットフードに興味を示した。しかし、ボンはウェットフードどころか刻んだマグロをじーっと見つめた挙句、おもちゃのように床で転がし始める始末だった。

それからも折をみて新しいごはんの試食を続けた。ヤムはちゅ〜るのたった一種類が好物だとわかったり、以前は見向きもしなかった黒缶シリーズがブームになったこともある。ボンはシリンジで食べる a/d缶 を好んだが、その他の好物はみつからなかった。

友人のねこ先輩・むーちゃんとの〝ねこのごはんトーク〟は、今も昔も話が尽きない。当時は、ネオ×ネオ本能のことは知らなかったけれど

すきなたべものが、たくさんあるほうが、ええ。

と、いまさらながらの結論に達した。ひと昔前と違って、今はスーパーで買えるキャットフードのクオリティーも底上げされていると思う。そりゃあこだわりだしたらキリがないけれど、ヤムは高齢だ。心臓に疾患はあるものの、幸い療養食が必要な状態ではない。高価でも安価でも、ドライでもウェットでも

満足 ♡

と、食べてくれること。今は、それが何よりだ。
てなワケで、ここ数年来のヤムの常食は〈シーバDUO/15歳以上〉となっている。

年末年始、ヤムの〝食べない〟にてんやわんやだったけれど、齢21にして彼の新たな好物ができた。

ヤムは鯛が好き。

きょうは、これにて〜!


猫本専門店Cat's Meow Booksさんで予約した一冊
『ねこはなぜごはんに飽きるのか?〜猫ごはん博士が教える「おいしさ」の秘密〜