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うつと兄と私と
※うつ病に対して無理解な言葉があり、うつ病当事者や周辺の方々を傷つける可能性があります。ご注意ください。
兄が母に連絡し、私の通っていた心療内科を教えてほしいと言っているらしい。
社交的な兄と内向的な私はソリが合わず、昔から仲が悪かったように思う。
私がうつ病と診断され傷病手当をもらいながら、長期療養していた時、
うつなんて薬を飲めばすぐに治る
友達はすぐうつが治ったのに、お前はズル休みしている
ニートは楽でいいな
などと散々な言葉を投げかけられたものだ。
その直後から、私のうつ病は急激に悪化した。
(足元がおぼつかず、自力で歩けない時期もあったが、それも兄にしてみれば大袈裟な演技らしかった)
数年前、激しく口論して以来、兄と私は没交渉である。
現在、同じ食卓を囲んでいても、兄は私の言葉には反応しない。
私も、兄をできるだけ視界に入れないようにしている。
そんな兄が今、職場での軋轢に限界を感じ、食事が喉を通らなくなっているらしい。
フラフラと激しいめまいで、動けなくなっているらしい。
ストレスを感じると食べられなくなるのは、私と同じなのだなと思う。
5人家族の我が家。
ストレスで食べられなくなるのは、兄と私だけ。
動けないほどのめまいを経験したのも、兄と私だけ。
今、つらい兄の気持ちがわかるのは、たぶん私だけ。
心配だと思いつつも、あの時、散々痛めつけたのに、いざとなれば私を利用するのかと、少し複雑な気持ちになる。
私を寛解まで導いてくれた医師は、紹介状が必要な大学病院にいる。
予約を取るのも大変なので、兄の心が軽くなるのはずいぶん先のことなのかもしれない。
今日は、かつて地域中の精神科・心療内科を受診して回った私の経験を経験を生かし、兄に合いそうな病院をいくつかピックアップした。
できるだけ細かく、ゆっくり話を聞いてくれる
すぐに薬を増やさず、様子を見てくれる
何か科学的根拠に基づいた検査をしてくれる
おそらく、兄が納得できるのはこのあたりだろう。
私と兄は直接つながっていないので、母に病院名をいくつか伝えておいた。
私のことで慣れたのか、母は兄にひたすらやさしい。
以前はうつ病に対し、兄と同じようなことを言っていた父。今回はあたたかく見守る体制に入った。
弟は、普段と接し方を変えないことにしたらしい。
私は、たぶん、声をかけられない。
数年たった今でも、兄とかかわることが怖いのだ。
自分のときにうれしかったこと、少しでも食べられたもののリスト化。
家族から兄へ送るLINEの添削。
自分の影を消しながら、少しでも兄が楽になる方法を考える。
人はだれでも、病む可能性がある。
私自身、うつに倒れた時は、「自分はなんてだらしない人間なんだ」自分に失望したし、世間の目が怖かった。
自分の人間性を否定されるのがつらくて、兄の気配を感じると動けなくなった。
正直に言えば、兄にはあの時の言葉を一言でもいい、謝ってほしい。
本当につらいこともあるってこと。薬で簡単に治るものではないってこと。
認めてほしい。
しかし、それを今求めるのは酷なのだろう。
お兄ちゃん、今あなたが家族に理解してもらえるのは、あの時いっぱい傷ついた私がいるからなんだよ。
損な役回りをしているな、とぼんやり考えながら、兄の回復を祈っている。
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