見出し画像

キャンプ用グローブ難民が最高のグローブに出会えたかもしれない話。

どうも、ソロキャンパーのYANG(やん)と申します。
冬の風の冷たさもなりをひそめ…どころか、卒業式も入学式も終わってGWの高揚感に包まれている昨今。個人的にキャンプシーズン=冬なので、今はシーズンオフのモードなわけですが、今年は暑くなってからもキャンプをしてみたいなぁなんて思っているわけでして、金もないのに物欲に塗れている次第でございます。

さて、一般的にはこれからがキャンプシーズン、アウトドアシーズンですよね。僕と同じように物欲に塗れ、熊が眠りから覚めるように家族に隠れて何をゲットしてやろうか、新たな獲物を狙って密林をパトロールしていることでしょう。

キャンプ道具は無数に存在するので、何が良くて何が良くないのか、本当にわかりません。人によって求める機能も違えば、質感やデザインの好みも様々。ブラウザを延々と眺め、悩み、予算と相談しながら「これがいい!」と思ってオーダーしても、届いてから気づくんです。「あれ?この子、オレのタイプじゃない」って。風俗みたいですよね。違いますね。

僕もその手の後悔は幾度も経験しておりまして、その最たる例がキャンプ用(焚き火)グローブです。後悔を重ねながら最適解に行き着いたかもしれない変遷を、ご紹介しようと思います。

どデカ耐熱グローブ


右も左もわからず、初めて購入したキャンプ用グローブはこういうやつ。溶接工か?と思うほどの、どデカ耐熱グローブです。素人であるが故、「おぉ、革製なんて本格的じゃないかぁ」とウキウキしていたわけですが、まぁ、使いづらいったらありゃしないわけです。ブカブカだからナイフなんて使えないし、脱着もわずらわしい。でも「こういうのじゃないとダメ」という思い込みが強かったんですよね、当時。情報も全然ないし、キャンプ玄人から怒られそうだし。
裏地があってしっかりしているし、熱もある程度は遮断してくれるので焚き火も安心して楽しめる…はずが、全然楽しくない。心が踊らない。このグローブをつけていると頭の中で映えていない自分を容易に想像できるのです。あぁ、今オレ、クソダサいかもしれない。炎天下の中、つくしを摘んでるおばちゃんみたい。その邪念が、焚き火を楽しむ心に水を刺してくるんですよ。腹立ちますね。
あ、でも、念の為書いておくと、こういうグローブをつけている人を見たとしても「ダサいな」なんて思いません。機能的だし、それを選ぶ利点は十分あります。あくまで自分による自分の評価。友達は全然気にしてないのに、「あれ?オレ、今日の服、最強にダサくない?いや大丈夫か…いやいや、やっぱヘンだ、オカシイよ!」と頭から離れなくなって一刻も早く帰って着替えたくなるみたいな、そういうやつです。そしてグローブ難民生活がスタートしたのです。

OYATSU GUNTE(軍手)

いや軍手かよ!って?そう、軍手。めっちゃカワイイじゃないですか。軍手に「OYATSU」って書いてあるんですよ。これは、とあるイベントに参加するために東京へ行った際に、これまたとある催し物に出くわしまして。コピーライターで有名な糸井重里さん率いる「ほぼ日刊イトイ新聞」のブースで販売されていたんです。もうね、一目惚れですよ。2枚を重ね付けできる仕様で、例えばオーブンに突っ込んだ皿を取り出したり、熱々の鍋をつかんだり、そういう事にも使える優れもの。何より、軍手を2枚使いっていう、ありそうでなかったアイデアがとっても魅力的で。「こりゃ焚き火グローブとして使えそうだ!」と導入したわけです。
結果、もう使わなくなりましたね。正確には、キャンプグローブとしては使ってないです。まず、そもそも綿素材なので、ナイフや斧を使うと滑ります。超危険。それから薪をつかむとガッツリ棘が刺さります。素材のせいもあると思うんですが、ちょっとしたササクレに引っかかって棘を拾いやすいんでしょうね。だから、「コスパ重視で軍手でいいっしょ」と考えている方は、少し慎重になったほうが良いです。というか、斧やナイフ作業の用途ではオススメしません。
でも、このデザイン、すごく可愛くて。当初の目的には使っていませんが、常にバックパックに忍ばせて、寒い冬の時期なんかは手袋として着用しております。「OYATSU」って。もうカワイイじゃん(しつこい)。

Kincoグローブ 牛革

「ご存知の!」って感じですよね。このくらいになると僕もキャンプのことがわかってきまして。耐熱性・断熱性はあるに越したことはないけど、それよりもグリップと動きやすさだ!と。よくよく考えたら、別に炭をつかむわけでもあるまいし、熱々のスキレットを長時間つかむわけでもないんですよね。大事なのは安全に作業できることと、クッカーをちょいっと持ち上げる時、瞬間的に熱を遮断してくれることだと。
Kincoの良いところは、まず圧倒的な安さ。1万円オーバーの有名ブランドのグローブに比べ、Kincoは2000円あればお釣りが来るレベル。しかも作業用のグローブですから耐久性は申し分なし。S・M・L、他キッズ用と、複数のサイズ展開をしているので、自分の手の大きさにマッチしたグローブを選べるのも嬉しい。ナイフや斧も安全に使えますし、ピッタリなサイズで使用できるので、多少であれば着用したまま細かい作業もできます。もちろん、棘なんてへっちゃら!本革なので、使うほど、汚れるほど味わい深くなって愛着も深くなります。

Kincoグローブ 牛革(スエード)/ロゴがかわいい

ただ、使いはじめはかなり硬め。手袋の、内側で縫製されている生地部分が指に干渉して、かなり痛い。使っているうちに柔らかくはなるんですが、僕が購入した個体はハズレだったのか、左手の小指が毎回ちぎれそうな痛みが。どデカ耐熱グローブと軍手の弱点は克服したものの、新たな不満が出てきてしまいました。

ホームセンターのやつ

で、行き着いたのが、ワークマンとかホームセンターとかで売ってる1000円くらいの革手袋。これはもう、それこそ溶接工の方とかが使用している作業用の革手袋です。
コスパでいったら、これまで使ってきた革手袋の中でダントツ1位です。だって1000円ですからね。しかも着け心地は抜群。Kincoグローブで感じた硬さはなく、内側の縫製部分が指にキツく干渉してくることもありません。グリップも効くし、作業もしやすい。使っても使っても、購入当初のクオリティを保ったままヘタれることもない。うん、これがベストじゃん!最適解じゃん!

……あれ?おかしい。うーん、足りない。何かがたりない。いや、だって、価格、付け心地の良さ、動きやすさ、一定の耐熱性。全て揃ってるじゃない。何が足りないんや。何が僕の心をザワつかせているんだ。あぁ、そうだ、愛着だ…頑丈すぎて、優秀すぎて、弱点がないが故に愛着という体温を感じないんだ…あぁ、なんてこと!キャンプ道具選びで一番大切にしていたことをすっかり忘れていた!!!

Kincoグローブ  バッファロー革

またKincoかよテメェ!ってか。そうですよね。風俗で失敗したのに次こそはいい思いができるんじゃないかって繰り返し訪れる、みたいな。違いますね。違いますよ。ちゃんといい思いできましたし、風俗じゃないです。地雷店は一生地雷店らしいですから風俗は。知らんけど。風俗ってどういうところなん?を疑似体験できるオモロいチャンネルを貼っておきますね。僕もこれで勉強しました。

これは(グローブの話ですよ)、よく知られているKincoグローブでも、バッファロー(水牛)革を使用したモデルです。特徴は、質感。前述した牛革のKincoはスエード(起毛した革の裏面)でしたが、こちらは革の表面を使用。手にした瞬間から、その艶やかでソフトな手触りにやられます。一緒に寝たいくらいです。嘘です。装着した感じも、内側の縫製部分が指に干渉する様子もないし、グリップも申し分ありません。そしてそして、愛着。使うほどにシワが刻まれ、手の形に馴染む。拭いても取れない土や炭の汚れが、年齢を重ねた職人の手のように重厚な輝きを放つ。これが愛着ってやつだ。

Kincoグローブ バッファロー革/スエードとは異なる滑らかな着け心地

価格は少しお高め。3000円オーバー、4000円未満という感じ。ただ、そのくらいなら「出せなくはない」価格帯。色味は写真ではゴリゴリのオレンジに見えるけれど、実際は商品写真の真っ黄色とオレンジの間くらいの印象です。コスパはホームセンターの革手に大きく劣るけれど、必要な機能は全てそろえてくれている。ただ、サイズ展開がMとLしかないようで、手が小さい人は少し使いづらいかもしれない。僕の場合、前述したKincoではSサイズだったのでMだと少し大きい。けれど、不便を感じるほどではありません。

ただこれ、柔らかいだけあって生地が薄め。いや、手にフィットしすぎて指と革に隙間ができず、熱を感じやすいのかもしれません。
付け心地も何もかも完璧なんですが、この薄さがしんどい瞬間があるんです。焚き火調理なんかをしていると、クッカーのハンドルまで熱くなるわけです。「ほんの数秒持てれば良い」のだけど、このグローブだと「ほんの数秒もキツイ」瞬間が多々ある。そういう意味では、軍手の重ね着よりも断熱性は低いかもしれません。ソッコーで熱いですからね。だから、本革の端切れを鍋つかみ代わりに持っていったり、OYATSU軍手をしてから革手を装着する、みたいな。なんだかなぁという。でも質感はいいんです。付け心地も良い。デザインもカッコいい。作業もしやすい。だけど、調理では使いづらい。どうしたもんか。

クイック焚き火グローブ(最適解/暫定)

ついに出会ってしまった(かもしれない)最適解。
Kincoのバッファロー革がとても気に入っていたので、調理で使いづらいとは言いつつも使い続けてきたのだけど、つい先日ふらっと立ち寄ったアウトドアショップで出会ってしまった。知る人ぞ知る、Bush craft inc. さんの「クイック焚き火グローブ」。個人的にネーミングが「売りに来てるな」感があって好きじゃないんですが(笑)、これマジでヤバい。

このグローブ、最大の特徴はマグネットが付いていること。磁石付きのグローブと、磁石付きのカラビナ2つがセットになっており、グローブとカラビナが磁石でくっつく仕組みになっているんです。
どうやって使うかというと、まず、それぞれのカラビナを左右の腰(ベルトループ等)に装着します。そのカラビナに、グローブをくっつける。すると、腰の左右からグローブが垂れ下がるようになるわけです。
グローブ使いたいなぁってなったら、ポッケに手を突っ込む要領でグローブに手を差し込めば、磁石が外れてグローブを使える。使い終わったら、左右のカラビナにくっつけておけば、次に使う際、グローブを探す手間が省ける。伝わりましたかね?わからなかったらググるか商品ページを見てください。

マグネット付き。これが最大の特徴だと思うんですけど、個人的に惚れ込んだのはそこじゃないんですよ。「手をポッケに突っ込むように装着できる」ようにするために生まれたであろう副産物、「手首部分がないデザイン」です。これ、実はかなり革命的だと思うんですよね。革手袋って、どれだけ着け心地が良いといっても脱着のわずらわしさって付きまとうんですよ。特に調理なんかするタイプの人だと、「あ、今つけたい!」ってなるシーンが多々訪れるんですが、そのたび、こう、手をグイグイっと捩じ込む感じというか、ストッキングを腰の上まで引っ張るような忙しなさがあるわけです。ほんの数秒でも、何度も繰り返すと案外面倒臭い。でもこの焚き火グローブって、手首部分がない。これまでの革手袋がストッキングやレギンスだとしたら、このグローブはくるぶしソックスなんですよ。超楽!まだ現場で使ってないんですけど、その楽さは試着の段階で確定しています。

素材はスエード。Kincoのバッファロー革には敵わないかもしれないけど、使うほどにヤレ感と汚れが増して味がでそう。というか、出る。これはKincoの牛革で経験しているから間違いない!
着け心地と耐熱・断熱性能はバッチリ。な、はず。というのも、フリースっぽい裏地がついているので単一の牛革じゃないんですよ。だから、瞬間的な断熱性能は明らかにKincoよりも上だと思います。生地が分厚くなる分、ゴワゴワ感が強くなってるけれど、許容範囲内。斧やナイフも安全に使用できそう。不安だったら、道具を持つ方は素手になれば良い。
「グローブ側のマグネットがジャラついてうざそう」と思ったら、マグネット自体外すことができるから問題なし。実際に使ってみてウザかったら僕も外しちゃおうと思ってます。

質感と愛着、デザイン、瞬間的な耐熱・断熱性、脱着のしやすさ。全部そろってる。ついに、キャンプ用グローブの最適解に出会ってしまったかもしれない。ちなみに価格は4000円未満。このアイデアを4000円で購入できるなら、僕は「アリ」だと思います。

おしまい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?