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『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』『ハロウィン THE END』

『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』

ハズブロのゲームの映画化。「テーブルトークRPG」というジャンルだそうだが、私は未経験。しかし、見終えた感想としては、事前情報は不要で楽しめる作品ではないか。ハズブロの映画というと、『トランスフォーマー』シリーズや『G.Iジョー』シリーズ、『バトルシップ』(2012)などが連想されるが、言われてみればどの作品にも独特の「オモチャ感」がある。本作は、娘を悪人にさらわれた盗賊の主人公(クリス・パイン)が、奪還のために仲間を募って戦う、というシンプルなあらすじ。これが実に楽しい。旅を通して、仲間が友情を育んでいく展開も爽快だ。悪役フォージを演じるヒュー・グラントの、徹底した軽薄さもユーモラスで印象に残った。

戦士、魔法使いなど、RPGにおける「職業」ごとのキャラクターが出てくるが、なかでもよかったのがドルイド(どういう職業かは不明。ホームページには「自然の化身」と解説あり)のドリック(ソフィア・リリス)。若い女性なのだが、さまざまな動物に変身できるという特技を持っているのだ。この人物が、敵のアジトに忍び込んで情報を入手し、そこからネズミやハエ、鹿、タカなどにめまぐるしく変身しながら逃亡するくだりをワンカットでとらえた場面など、意外性に富んでいて楽しかった。笑いどころが多く、愛らしい登場人物がたくさん出てくる、いい映画。

『ハロウィン THE END』

これで『ハロウィン』シリーズは終わり、という話だが、それすらも怪しい「THE END」。劇中、マーク・マイヤーズ(登場する殺人鬼の名前)は完全に死んだと説明されるが、今後、実は生きていたという展開になっても誰も怒らないであろう、わりとユルめのホラー映画フランチャイズが『ハロウィン』シリーズである。なお本作が13作め。劇中、過去作のフッテージが出てきたが、「これは見た」と思い出すような映像が多くて、別にそこまで『ハロウィン』シリーズに思い入れはないものの、意外によく見ているものだと知った。平日の昼間にもかかわらず、映画館はそれなりに人が来ていた。

今回おもしろかったのは「やられたらやり返す」という攻撃的な発想が人を破滅へ導く展開であった。誰かに侮辱されたとき、それをやり過ごせず、仕返しをしてしまった登場人物は闇の世界へ落ち込んでしまう。男のプライド、メンツにこだわり、「俺をナメた野郎は許さない」というマスキュリンな考え方にとりつかれた主人公コーリン(ローハン・キャンベル。どことなく「寝不足のジョセフ・ゴードン・レヴィット」みたいな顔つきだ)の心に、マーク・マイヤーズは忍び込んでいくのだ。この憑依の感覚がおもしろい。物語全体が「男らしさ」や「男のメンツ」に対する批判になっていたのが好印象だった。主人公の恋人役アリソン(アンディ・マティチャック)が魅力的に映る。あと、マーク・マイヤーズは人の殺し方にそこまでバリエーションがないのが逆にプラスになっていて、執拗に何回も刃物で刺すのがイイと思った。たぶん続編ある。

それはそうと、私の本が出ていますので、読んでください

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