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『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』

期せずして、家系映画(と呼ばれる作品)2本を続けて見た。「GOG」と「ワイスピ」である。どちらも続きもののフランチャイズで「家族」をテーマにしている点が共通している。こういうシリーズの映画を、鑑賞前に予習するような勤勉さを持っていない私は、「えーっと、だいたいこんな感じだったかな?」とふんわり思い出しながら見に行くことになる。スイマセン。とはいえ、そこまで複雑なあらすじではない「GOG」、予習なしでも充分楽しめた。今回はアライグマのロケットに焦点があたる。ジェームズ・ガン曰く、「GOG」とはロケットの物語なのだという。

家族を持たず、孤独に生きてきたメンバーが、ついに仲間を見つけ、友情を育み、疑似家族を形成して、さらにはその疑似家族を卒業して真の意味で自立できるようになる。ロケットという孤独なキャラを通じて表現される、人と人とのつながり。ユーモラスな語り口ながら、こうした過程を描いた作品には胸を打たれた。映像的にも数多くの工夫があり、わけても狭い通路で敵と正面衝突する「GOG」チームの姿は、アクションとして魅力的でありつつ、お互いを助け合いながら生きていく疑似家族の様子をイメージとして再現している様子が描かれていた。ウィル・ポールターのとぼけた味わいも印象に残った。彼が加わった「GOG」も見てみたかった気がする。

『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』

そして「ワイスピ」である。どうやらストーリーにひと区切りつけようという集大成らしく、2部作の前編。本当に終わってしまうのかどうか、それすらもよくわからないが、仮に続いたとしても誰も文句を言わなそうな映画が「ワイスピ」である。別にそのまま継続しても全然いいです。こちらも特に予習などはせずに映画館へ。今回も、荒唐無稽なアクションがぎゅうぎゅうに詰め込まれており、ド派手な場面ばかりが続くものだから、途中からはこれがいい映画なのか、雑な映画なのかの判断すらつかなくなり、口をあんぐり開けて「てんこ盛りだな……」と思いながらストーリーを追ったのであった。この、感覚が麻痺していくような、メガ盛り牛丼って感じのカロリー過多が「ワイスピ」である。擬似家族としての吸引力が強すぎて、どんな悪役も結局仲間になってしまうという、超強力な磁石みたいな存在が主人公ドン(ヴィン・ディーゼル)だ。

自動車免許を持っておらず、車にまったく興味のない私は、「ワイスピ」の本質的な魅力をつかみそこねてしまっているのではないか、と思うことがある。車にそこまで惹かれないし、フェティッシュがないのである。もちろん「ドンが車に乗ると無敵であり、あらゆる物理法則を無視して移動できる」という「ワイスピ」の基本ルールを頭ではわかっているが、車に対する独特のこだわりと美学、ほとんど身体の延長であるかのようなワイスピ的感覚をあまり理解できていない可能性がある。映画を見るって難しいものだ。悪役のジェイソン・モモアはダンテという役柄で、「俺はダンテ。アンシャンテ」(フランス語で『初めまして』の意)などと韻を踏みながらごきげんに登場するのであって、かなりはっちゃけたキャラクターに仕上がっていた。モモアの印象が強すぎて、ステイサムやシャーリーズ・セロンなどの豪華キャラクターの影が薄くなってしまうようだった。後編、どんな感じになるのだろうか。

【私の本これなんですけど、読んでいただけますか?】

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