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私は30点の弱者男性だと判明しました

採点したところ……

以前から、巷でよく言われる「弱者男性」がわからないと思っていた。私は弱者男性なのだろうか。なにがどうなると、弱者男性として認定されるのだろうか。調べてみると、世間には「日本弱者男性センター」なるNPO団体も存在しており、ある種の社会問題となっているらしいのだ。そこでまずは言葉の定義を確認してみたが、これも諸説ある。いくつかの定義があったが、個人的には、関連した著書もある杉田俊介氏が提唱している5項目「労働の非正規性」「収入」「容姿」「コミュニケーション能力」「パートナーの有無」が妥当な条件であるように思えた。この5項目をどれだけ満たしているかで、男性の強者/弱者が決まるらしいのである。そこで、杉田氏の条件に基づいて、私自身の弱者男性度をチェックしてみた(各項目に20点ずつ割り振って採点)。よし、がんばる。以下がその結果である。

  1. 労働の非正規性:正規雇用(20点)

  2. 収入:同年代と比較すると結構低い(0点)

  3. 容姿:ぱっとしない(0点)

  4. コミュニケーション能力:性格的にはおしゃべり好き。ただし、他人から好感を抱かれるレベルの能力があるかは不明(希望的観測で10点)

  5. パートナーの有無:無(0点)

いくつか客観的な評価が難しい項目はあるものの、わりとすぐに結果が出た。私の男性としてのスコアは、よくて30点。くっ。リアルに点数出されると悲しい。何点からが強者なのかは意見が分かれるところだが、さすがに30点で強者は名乗れないはずである。ああっ、私は30点の弱者男性。もしかしたらそうかな~とは思っていたけれど、数字ってやつは残酷である。もう少し遠回しに、お年玉のポチ袋にそっと入れるような感じで伝えてはもらえなかっただろうか。しかし、自分が弱者だとして、今後の人生にどういった影響があるのか。たしかに私は弱者男性の条件にあてはまっているかもしれないが、そのことが理由で困っていないし、助けなどは特に要らないのである。恥ずかしいとも思っていない。かかる状態をどう解釈すればいいのだろうか。

ルールを疑う

これは決して強がりではなく、私は、男性の価値を計る5項目の合計スコアのような「強い/弱い」の競技ルールで生きていないという気持ちがある。私はそのルールで試合してない。そのため、強者や勝者になっても嬉しくないし、悩むことがないというか……。もちろん、このルールで勝ちたい男性がいるのはわかるし、その気持ちは否定しないが、結果として勝ち負けを気に病み、鬱々とした日々を送っているのは苦しいだろう。強者になれない劣等感にさいなまれつつ生きていると、当然ながら内面に憎悪がたまっていくはずだ。これは実によくない。日々の暮らしが憎しみや恨み、怨嗟の感情に支配されている状態では、たぶんなにも手につかなくなると思う。自分が弱者だとなれば、あとはネガティブな感情を人にぶつけるしか方法がなくなってしまう。

一方で「弱者かもしれないけど楽しくやってます」タイプの人は、わりといると思う。お金がなかったり、パートナーがいないことを何とも思わないタイプのポジティブ鈍感な男性には、弱者のカテゴリーが無効化するのだ。これは私もそうなのだが、世間の目を気にしてとりつくろうのが面倒だし、下手なので、生きるのがとにかくマイペースになる。勝とうとする努力がダルいというか、別に勝たなくてもよくないか? と思ってしまうのだ。すると、弱者男性の真の条件とは、弱さより、むしろ「憎悪の感情に支配されているか」ではないかという気がしてくる。呼び名も、弱者男性ではなく、憎悪男性に変えた方がいいかもしれない。憎悪でいっぱいになっている男性、SNSとかでもよく見かける気がする。誹謗中傷などのやっかいごとを起こすのも、たいてい憎悪男性だ。

弱者男性というと、なにか弱いことが問題(あるいは恥ずべきこと)のように聞こえるが、弱さには何の問題もない。他方で、こうした怨嗟をこじらせて女性を憎むようになる男性も多いが、その人生は虚しいし、楽しくないだろうなと思う。男性の憎悪が攻撃性に転じると、なんかもう、目も当てられない状態になる。駅で女性にわざとぶつかったりだとか。弱いのはいいが、憎悪は怖いし、迷惑だからよくない。仮にあなたが15点の弱者男性でも、別に普通に生きていけるし、当然だが誰にも笑う権利はないのである。人を憎みながら生きるのは、疲れるしダルい。だからこそ憎悪男性であることをやめて、自分は弱いんですと認めた上で好きな漫画を読んだり、料理をしたり、セガサターンの中古ゲームソフトで遊んだりして、陽気に生きる方法を見つけてほしい。できれば友だちもいた方がいいと思う。弱くても友だちは作れるので、がんばってほしい。

【30点おじさんの書いた美容本です】


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