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他はすごくいいのに、ひとつだけ惜しい

近所の定食屋さん。アジフライ定食が絶品でよく通っていた。店の内装や雰囲気もよい。ところが、厨房で調理を担当する男性がやけに気が短いのである。アルバイト店員の手際が悪いと、声を荒げて怒る。怖っ。調理担当に厳しく叱られ、半泣きで料理を運ぶ女性。こんな戦場みたいな店で食事できない、と不安がつのる私。だんだん行くのが苦痛になり、足が遠のいてしまった。アジフライそのものは最高なので、実にもったいないが、たくさんの客の前で叱責されるアルバイトを見るのが不憫で、耐えられなかったのである。店へ行かなくなって2年くらい経ち、アジフライが忘れられずに思い切って再訪したら、あの怖い調理担当がいなくなっていた。ラッキー! いま、店は平和そのものであり、アジフライ定食はあいかわらず美味で、また通い出した。嬉しい。

とある男性芸人さん(コンビ)のラジオ番組。好きでずっと聴いていた。ツッコミの男性は性格も温厚で、人を不快にする発言ゼロなのだが、よくよく聴くと、ボケの男性に不穏な発言が多い。女性蔑視もある。聴き終わると、ボケの男性の発言で気分が沈んでしまうのだ。基本的には楽しく笑えるラジオなのだが、どうにも乗り切れない。当初は習慣で聴き続けていたが、違和感が残ると気がついた。番組は、前半にツッコミの方のトーク、後半にボケの方のトークがあるのだが、次第に前半だけ聴いて止めるようになり、しばらくしてそれも億劫になって、結果的にはまったく聴かなくなった。ツッコミの男性は本当に好きで、日常会話でその人っぽいツッコミを真似しちゃうくらいファンなので惜しい。

某衣料メーカー。安くて質がいいし、近所に店があるので重宝していた。しかし10年ほど前、業績が伸びたのが嬉しかったのか、社長がインタビューなどでイキった発言をするようになり、そのメーカーの服を買うのが腹立たしくなった。その方曰く「仕事を通じて付加価値がつけられないと、低賃金で働く途上国の人の賃金にフラット化するので、年収100万円のほうになっていくのは仕方がない」らしく、日本も年収100万円時代がやってくるぞと煽ったのだ。100万円でどうやって生活するんじゃい、と怒った私だが、そのメーカーの服に依存しすぎていて、いまさら買うのをやめられない。悔しいので、洋服を買うと渡される「お客様の声カード」に、購入するたび「社長の発言はよくないのでやめてください」「100万円じゃ暮らせません」と書いて10回くらい送った。そのうち社長はイキリ発言をやめた。私のメッセージが功を奏したのではないかと、なんの根拠もなく思っている。そのメーカーの服は買い続けている。

カルチャー系のYouTube。内容が実におもしろく、ためになる解説が聞けてとても好きなのだが、解説の男性が、アシスタント役の若い女性の知識のなさをばかにする傾向があり、それだけが見ていてつらい。解説の男性は、知識も豊富、切り口も斬新、トークも巧みとすべてが揃い、誰も追いつけないレベルに達しているのだが、若い女性を横に従えると、なぜか「キミはこんなことも知らないのかね」とばかにする態度が出てしまう。他はほぼ完璧なのに! 無知を指摘されたアシスタント女性は、「ハハハ……」と苦笑いするくらいしかリアクションができないので胸が痛む。女性はアシスタントで、相手は歳上の男性だもの、立場的にもなかなか言い返せないよね。これさえやめてくれたら、安心してYouTubeが見られるのにといつも思っている。いまからでも女性と普通に接してほしい。

【私の書いた本、惜しいところもあるかとは思いますが、読んでね〜】

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