君と異界の空に落つ2 第42話
開ききったつくしの芽、頭を丸めた蕨の芽、湿った場所には”こごみ”が集い、蕗の薹も薹が立つ。足元には丸い蕗の葉が広がり始めた様子であって、畠中の家で出された食事を思い出した耀だった。
水を飲みに整えられた水場へと降りていけば、清流のあちこちに芹が腕を伸ばすようだ。芹は寺の畑を通る小川に生えると知っているので、此処で採っては帰らぬけれど、此処にも食べられるものがある、と記憶した。
耀は清水で喉を潤しながら、帰りは”さえ”の足に合わせずに済む訳で、行きより早く戻れるだろうと考