「渋谷」のコラージュ作品を制作する
おかげさまで、この2年ほどで催事をする機会が多くなりました。
9/28から2週間、渋谷のスクランブルスクエアで催事を開かせていただきます。
今回もお声がけくださった、アメリカ発のポップアートブランド
「ARTNWORDZ」さん。
ユニークで可愛いらしい、アメリカンポップ・テイストのアートブランドです。
カモコラージュとの相性もとても良く。
HPはこちら。
日本の総代理店の代表Oさんとのお付き合いは、かれこれ4.5年ほど。
camouCollageがまだ駆け出しの頃から、大変お世話になっています。
Oさんは、接客のプロフェッショナルであり、お客様目線を大事にされていらっしゃるので、ご意見がとても的確で、よく相談に乗って頂いています。
ここまで催事を展開できたのも、Oさんあってのこと。
緊張でガチガチだった接客も、大分慣れてきました。
そんな中、今回の催事にあたりOさんから
「渋谷にちなんだ作品を制作してみたらいかがでしょう?」
とご意見をいただきました。
私は世田谷生まれで、幼少期の頃から渋谷にはとてもお世話になっていました。
祖母も父も青山学院大学に通っていて、根っからの渋谷家系。
今はなき渋谷公会堂で工作をしたり、渋谷パンテオンでプラネタリウムや映画を鑑賞したり、こどもの城の遊具によじ登っていました。
また、桑沢デザイン研究所に3年間通っていたのもあり、パルコの地下にあった青山ブックセンターに入り浸ったり、ハッピーアワーのHubへ行ったり、代々木公園で宴会をしたり。青春時代を過ごしました。
さらには結婚前の5年ほど渋谷近辺に1人暮らしをしていたので、夜中にTSUTAYAへ行ったり、1人バーへ通ってみたり、クラブに行ったりと。仕事が終わってからの夜の渋谷を練り歩いていました。
近ければ近いほど盲目になるというのは本当です。
今回の制作のお題「渋谷」は、あまりにも自分のルーツすぎて、何を作れば良いのかまるで思い浮かばず。
悩みに悩んでいました。
カモコラージュで使用している素材は、海外のものが大多数を占めています。
なぜなら私自身、海外の特にヨーロッパのアンティークが大好きだから。
古い本の図版や挿絵、中世の宗教画をはじめ古典絵画を見ているだけで心が躍るのです。
普段鼻歌を歌いながら切り抜いている、イエス様の顔、天使の羽根、美女の目、王様の王冠、煉瓦作りの建物、風景画の雲、ボタニカルアート、、。
素材の真髄に踏み込むというのではなく、あくまでコラージュ素材として、見た目そのものを見ている。
自分のルーツと関係がない分、客観視ができる。
結果、コラージュそのものに特化した作品に仕上がるのです。
もし、私がヨーロッパ在住の熱烈なキリスト教信者で、素材の意味を一つずつ考えていたら、恐れ多くてイエス様の顔なんて切り抜けません。
今回は「渋谷」という住み慣れた都市にまつわる作品を制作するわけで。
題材があまりにも身近すぎて、何も出て来ず頭が真っ白になっていました。
よく、海外に留学した人が学校で、自国の紹介をしてください、と言われた時に、戸惑うと聞きます。
まさにそんな感じです。一体、どんな作品を作れば良いのか。
1.257億分の1の日本人である自分とは。
日本人としてのアイデンティティとは。
東京在住のコラージュアーティストが作る、渋谷を題材とした作品とは。
私は単純な人間なので、考えれば考えるほど頭がクラクラしてきました。
人生、悩んだ時はいつだって理性的に、且つシンプルに。
渋谷は昔から、新しい文化の伝播や、開発がされてきた街だったそうです。
遡ること、なんと平安時代から。
江戸時代の渋谷は、郊外のどかな田畑が広がりつつも、道中最初の茶屋街が形成されたり、ものづくりの場としても職人が活躍していたそうです。
地場がクリエイティブを育て、発信していく。
日本の文化発信の中心地、渋谷。
戦後の焼け落ちた原っぱに、日本の復興を担ってできた東京の街並み。
懸命な努力と、海外に追いつけ追い越せ精神が、今の都市を作りました。
古き良きをモットーとしたヨーロッパの街並みとはまるで違います。
渋谷は老朽化が進み、ここ10年ほどで多くの複合施設が取り壊され、高層ビルが立ち並び、目を見張るような近代都市になっています。
スクランブルスクエアをはじめ、ヒカリエ、東急プラザ渋谷、パルコなど、
建物のデザインがものすごく奇抜ですよね。
海外からの旅行者は、渋谷を見てなんて近代的な街なんだと感激するそうです。
確かに、今にもビル一つ一つが動き出しそうな、怪獣のような街ですよね。
また、ネオンや看板も日本・アジア特有のもの。
渋谷センター街のネオンは「ケミカルネオン」と言われるほど、カラフル。
ここまでガチャガチャしたネオンは、他国ではあまり見られず。
アメリカに友人が言っていたのですが、東京はネオンや広告看板が多すぎて、目に入ってくる量が桁違いに違うそうです。東京で生活していると正直疲れると言っていました。
私はもはやそれ自体が無感覚になっていて、何も気になっておらず。
1982年の「ブレードランナ」は、日本語中国語のネオン効果をよく効かせて、近未来感を出しています。
きっと英語圏の人たちが見ると、日本語や中国語は神秘的に映るものですよね。
この舞妓さんも秀逸、今観てもかなり近代的です。
そして、渋谷アイコンとも言える
スクランブル交差点。
日常駅に使用していると、なんでこんなにも?
と、あまりにも普段当たり前すぎて、観光地になる理由がわからなかったのですが。
この記事を読んで納得
通るのがめんどくさくて、地下を使っていたのですが、これを機に楽しんで渡ってみようと思います。
外国人観光客になった気持ちで渋谷を見ていくと、大分イメージが膨らんできました。
今回の渋谷のテーマは
「ネオン」
「看板」
「スクランブル交差点」
です。
あまりにも身近すぎて全く意識していなかったのですが。
渋谷を初めて訪れた人の気持ちで見ると、やはりその辺りは欠かせなさそうです。
完成した作品がこちら。
タイトルは
「Shibuya street(渋谷街)」
一番力を入れたところは
日本語の看板
正直当たり前すぎて、歩いていても目に入って来なかったのですが。
これって実はすごいことなんですよね。
こんなにもカラフルで文字に溢れている街は、東京以外なかなかありません。
異国の地からはるばる来てくださった観光客の皆さんには、私たちが、エジプト文字を見てときめくテンションと同じが如く。
一つ一つ目をキラキラさせながら看板を見て写真に収めている姿を想像します。
デザイナー目線で書体の差を吟味。
ゴシック、明朝、勘亭流の書体を抑えつつ、109(いつの間にか書体が変わっている!)、UNIQLO、一風堂、鳥貴族の看板も。
そして、渋谷で外せない看板「三千里薬局」
私が生まれた時からありました。
創業1962年(昭和37年)、スクランブル交差点を見守る守護神ですね。
変わりゆく時代に残っている気宇なお店。
このグルグルとしたネオンは、昭和が放つ最も威厳のあるネオンなのではないでしょうか。
また、「カラオケ」も日本を象徴する上では外せないところ。
マンガ喫茶も、オタク文化を象徴するアイコンとして入れました。
メインキャラクターは、ブレードランナーの舞妓さんのイメージを彷彿とさせたく
喜多川歌麿の浮世絵「ビードロを吹く娘」を使わせていただきました。
当時人気の町娘を描いた爽やかな美人画です。
下部にある玩具や子供たちのイメージは
いまは亡き今敏監督の
名作アニメ「パプリカ」からオマージュを。
この作品を見るたびに、惜しい方が亡くなったなと思います。
作中、日本の玩具を引き連れて練り歩くという、ファンタジーな夢の行進が登場するのですが。
そこに登場する玩具の不気味さがあって。
日本の土着な感覚を醸し出しています。
昔の日本、いや、全世界はもっともっと土着感があったと思います。
玩具を見ても、感覚がもっと重かったんだと思います。
今回の作品もどこか、そんな日本の土着感を出せればなと思い、オマージュを込めて入れさせていただきました。
昔の日本の玩具って、今はもう気味の悪いアイコンになっていますよね。
特に日本人形。
祖母の部屋にあったのですが、日に日に髪の毛が長くなっていると言うのを聞いて、小さい頃ながら恐怖でした。(それは人毛を使用していたから)
小さい子の相棒だった日本人形は、もはや「呪い」の象徴となっている。
「パプリカ」でも、日本人形を「乗り移った人形」として描いていました。
開国から始まり重なる戦争、そして敗戦により、あまりにも削ぎ落とされすぎた日本本来の文化。
古き良き日本の文化を継承できなかったんだなと思うと、残念な気がします。
そんな、100%日本のモチーフを使用した作品
「Shibuya street(渋谷街)」
今回の渋谷スクランブルスクエアの催事で初お披露目とさせて頂きます。
渋谷の催事限定での販売となります。
催事の詳細はこちら
期間:9/28(木)~10/11(水)
場所:渋谷スクランブルスクエア5F
営業時間:10時~21時
ご興味がありましたら、是非現物を見にいらしていただければ嬉しいです。
皆様のお越しをお待ちしております!
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