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『酒屋大賞』を開催します

何でもしくみから考える

僕が日本酒の事業を推進する中で常日頃考えていることは、この世界に誇れる文化をどのようにすれば世界に広められるか、子どもたち次世代に継承できるか、ということです。その活動の一環として、映像や写真に残したり、イベントを開催していますが、一方でこれは日本酒業界が抱える問題への構造的なアプローチになっていないと感じてもいます。

日本酒業界が全体として盛り上がるには、健全な競争環境が必要だという想いがあります。それは、酒蔵、酒屋、飲食店など業界に関わる全てのプロフェッショナルが、お互いの知識、力量を磨きながら切磋琢磨していくことです。ただ現状は制度上も商慣習上も、必ずしもそうなっていないことが多いように見受けられ、どちらかといえば保守的で誰かに守られた側面があることで、いわゆる"ゆでガエル"の状態を作り出してはいないか、と考えています。

そんなとき、ふと「本屋大賞」のことを思い出しました。

本屋大賞は本を愛する書店員が選ぶ賞

その昔「本屋大賞」ができて、その受賞作品を読んだとき、「本屋の店員さんすごいな」と思った記憶があります。学者や作家によって選ばれる文学賞、それを後押しする出版社と広告代理店。そうしたしくみに対してのアンチテーゼが、日々来店する生活者の声をダイレクトに聞いている書店員によるセレクションでした。より多くの本を流通させるために、本屋に立ち寄ってもらい、そして本を手に取る。ふと目の端に入った本が気になり、そっと手を伸ばす。そうしたこれまでは当たり前だった風景が、今や失われつつあります。

全国の書店で書籍を愛する書店員だからこそ、その年の一番のオススメを読んでもらいたい。この「プロによる民主的なプロセスでのオススメの大賞」は、本を愛する人たちが業界を盛り上げるための素晴らしい取り組みだと感じました。

酒屋大賞は酒を愛する酒屋が選ぶ賞

翻って日本酒業界でも本屋大賞が立ち上がった背景と同様の業界構造があると感じています。そうであれば、飲食店や消費者の声を聞き、酒蔵の想いを伝え、販売し、日本酒の、ひいては業界の価値を上げていく役割を担っている流通 (問屋、酒屋 etc.)のスタッフ一人ひとりが選ぶ賞があってもいいのではないか、と。

酒販店のスタッフの皆さん、本当にお酒が好きな人が多いんです。きっと誰よりもお酒を呑んで、日々勉強しています。自分のお店に入れたり、飲食店に提案したり、個人に販売したり、それがお仕事とはいえ、そのために様々なお酒の勉強に日夜励んでいる人たちがいます。

そうした人たちが一人の酒好きとしてオススメしたいお酒、知りたくないですか?

業界全体が盛り上がる健全な競争環境を目指して

ただちょっと、今の時代に合った提案の仕方ができていない、と感じる酒販店が少なくないのもまた事実だと個人的には思います。例えば現金決済のみだったり、取引が電話とFAXだったり、SNSをやっていなかったりといった日々の実務的なこともあれば、日本酒に限って言えば業務用と一般消費者用の販売価格が同一であったり、小売価格が自由化されていなかったりと業界の商慣習上、利益を積むのが難しいような構造で苦しい思いをしている酒販店がいることも理解しています。

繰り返しになりますが、僕は業界全体が盛り上がる方法はないものか、ということを念頭に事業に取り組んでいます。もちろん健全な競争環境ができてくる中で淘汰される酒蔵・酒販店が出てくることは否めません。すべての人を幸せにする全体主義的な発想は持っていません。ただ、これまで業界の様々な方々とお付き合いをする中で、酒販店が盛り上がることが、消費者にとっても、飲食店にとっても、酒蔵にとっても、そして業界全体にとっても良いことだと思っています。

そんな想いで、酒屋大賞を立ち上げます。私自身は現在、酒屋としてお酒を仕入れ卸している立場ではありませんが、だからこそ中立的な立場でこの「酒屋大賞」を開催できると考えています。これからの流通市場を創っていくための取り組みとしての「酒屋大賞」、どうぞご期待ください。

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酒屋大賞は株式会社Clandが企画、運営を進めていきますが、酒屋大賞の成功には全国に日本酒を流通させているみなさんのご協力が必要です。最新情報や運営にご興味・ご感心のある方は、下記のフォームからメールアドレスをご登録ください (大賞の投票時には所属確認ができるようなフォームで改めてご登録いただきます)。

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