世界を旅して気がついた、日本の食文化の豊かさ
おばんざいと日本酒や インタビュー(2)
若手の夜明けMeetupで日本酒に合うおいしいおばんざいを提供してくれているフード&ドリンクユニット「おばんざいと日本酒や」。フードを担当する春那さんは、なぜおばんざいを作るようになったのでしょうか?食の原体験と、おばんざいに込める思いを伺いました。
春那 各地を食べ歩く旅が好きで、学生時代はよく一人旅をしていたんですが、イタリアに行ったときにすごく感動したのを覚えています。例えば、ある街はレモンの産地で一面レモン畑が広がっているし、かと思えばバスで10分行った街ではチーズを作っているし、その隣街では魚の醤油を作っていて、街々に全く違った名産品があるんです。
でもよく考えたら日本もそうなんですよね。岡山に行けば岡山らしい日本酒があって、食べ物も瀬戸内ならではの海産物や果物がある。京都に行けばまた違う風景と違う食べ物があるし、東北には塩を使った保存食もある。土地や風景が違うからこそ生まれる、オリジナリティのある味が日本各地に存在していて、面白いなと再発見しました。
ケニアにも行ったことがあるんですが、塩炒めのようなシンプルな料理が多く、味付けと調理方法のバリエーションが少ないなと思いました。水道が整備されていない地域で使える水が限られていたからだと思います。その一方で、煮物のように水をたっぷり使う料理は、水が豊富な日本ならではの料理だとハッと気づかされました。ケニアやイタリアなど違う国の料理を知ったことで、今では日本の食文化の豊かさが改めてよくわかります。
日本の食文化って本当にすごいと思います。和食は足し算ではなく引き算の料理で、素材の良さを活かしたものが多いですよね。それは水がきれいだったり、豊かな土壌があるからこそ素材の良さが出るんだと思います。お酒造りも水がきれいだからおいしいものができるわけで、とても環境に恵まれています。そして「いただきます」という言葉にも表れているように、季節を大切にして、自然に感謝する精神性が伴っているように思います。
文化の多様性も面白いですよね。私はルーツが関西にあるんですが、関西は出汁文化が本当にすごい!どのお店へ行っても出汁がおいしいですし、関西の出汁は特有のおいしさがあると感じている人も多いと思います。繊細な和食の味を整えるのも出汁ですし、健康にも良くて大好きです。
味噌などの発酵文化も豊かです。「味噌」と一口に言っても、北海道から沖縄まで、味も見た目も全く違った味噌があってすごく面白いです。そういう多様な食文化への興味とリスペクトから、私はおばんざいを作るようになりました。
おばんざいと日本酒やの活動は「食体験の面白さを伝える、感じてもらう」というのに加えて、自分自身がより考えを深める機会にもなっています。私の中には「より良い食事、豊かな食体験って何だろう」みたいな問いがずっと根本にあって、探求し続けているテーマの一つです。味のおいしさはもちろん、毎回豊かな食の形を探求するためにおばんざいを作っています。これからも皆さんと一緒に考えていきたいです。
インタビュー(3)へつづく
おばんざいと日本酒や
食とお酒が好きな春那と京香によるユニット。様々な店で不定期開催。季節や地域ごとのおばんざいと日本酒を出すスタイルをベースに、食事を楽しむ場づくりをしている。そのほか香りなど様々なコラボレーションも行っている。
Instagram: https://www.instagram.com/obanzaitosake/
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