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3分で分かる日本酒の基礎:種類と味わい(後編)

日本酒を楽しむのに知っておくと役に立つ要点を分かりやすくまとめるこのシリーズ。

前編では日本酒の全体像と味わいのポイントについて説明しました。後編では、「王道の日本酒」の種類と味わいについてみていきます。
少し専門用語が多いですが、覚える必要はないので、一度読んでポイントを把握することをゴールに、「あれ何だっけ?」と思ったタイミングでこのページを見返してください。私の場合もそうでしたが、そうやって繰り返しているうちに自分に必要な言葉は自然と覚えられると思います。

「王道の日本酒」の味わいに影響するポイント

日本酒を味わう際に大切なポイントとは何でしょうか?
それは「商品」と「飲み方」だと思います。

飲み方(酒器、温度、保存の仕方、ペアリング、環境、体調など)は味わいに大きく影響します。いくら良い商品であっても、泥酔していては味が分からなくなったり、苦手な人と一緒だとあまり美味しさを感じられなくなってしまいます。

何が言いたいかというと、これからご説明する「商品」の分類も、お酒を楽しむという要素の一部なので固執しすぎる必要はなく、「飲み方」を工夫すればどんな商品でも楽しむことはできるということです。

と前置きをしたところで、商品の味わいを決める要素についてみていきますが、これは大きく原料造りに分けることができます。そして日本酒においては、ものづくりの国、日本らしく職人が造りにより味の向上を目指した結果、造りの違いが細かく定義されています。
これは、ぶどう造りに重きを置くワインとは対照的で、日本酒の造り手の多くは原料である米作りをせず、酒造りのみに特化した職人であるという点も抑えておいて欲しいポイントです。また最近では酒蔵が米作りをする動きもあります。

原料による分類とポイント

日本酒は、米を麹菌で糖化したものに酵母が加わりアルコール発酵したものに水を加えてできます。ですので、使われる原料としては、米、麹菌、酵母、水となりますので、それぞれについて簡単にみていきます。


前述の通り酒蔵の多くは農家からお米を買いますが、そのお米の多くは、酒米といわれる我々が一般的に食べる飯米とは違った酒造りに適した粒が大きいお米です。「山田錦」、「五百万石」や「雄町」などが有名です。

麹菌
麹菌はカビの一種で、日本酒には一般的には黄麹が使われます。お米をどれだけ糖化するかに影響し、酒蔵は「もやし屋」と言われる種麹屋から調達します。

酵母
酵母は糖分をアルコール発酵させる働きがあり、その際に香り成分を生み出すので香りに大きな影響を与えます。酵母にはいろんな種類があり、多くの造り手はきょうかい酵母などを外部から調達しますが、蔵にある酵母を自ら育てて使う造り手もいます。


良い水がないと酒造りはできないと言われ、基本的には蔵の地下水など地元の水を使います。硬水は力強いイメージの「男酒」、軟水は軽やかでやわらかいイメージの「女酒」になるとされています。

お酒を買う際にラベルなどから知ることができるのは、お米の種類ぐらいなので、初心者は原料に関しては、お米の銘柄を意識してみましょう。

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造りによる分類とポイント

国税庁による特定名称酒の定義はあるのですが、ここでは日本酒のラベルによく見られる専門用語を、その味わいの特徴と共に説明します。

吟醸・大吟醸
精米具合(お米をどれぐらい削っているか)の割合を示しており、大吟醸の方が吟醸よりお米を削っています。お米を削れば削るほど使える部分は少なくなり、より多くのお米が必要になるので値段は高くなる傾向にあります。より雑味のないクリアな味わいになります。

生酛(きもと)・山廃(やまはい)
手間と時間をかけた昔ながらの製法で、生酛の方が山廃よりより時間がかかります。これが表示されていないものは「速醸」といわれる現代的な製法と考えていいです。しっかりとしたコクのある味わいになります。

あらばしり・中取り・責め
醪(もろみ)を搾って酒粕と日本酒に分ける工程において、搾りの最初に出てくるものをあらばしり、中盤のものを中取り、終盤のものを責めといいます。あらばしりはフレッシュな味わい、中取りはきれいな味わい、責めは複雑な味わいになると言われます。

無濾過
上記の絞りのあとの濾過という工程を経ていないので、黄色っぽい色や雑味があり独特な濃厚な味わいになります。

原酒
搾りたての日本酒はワインと比較してアルコール度数が高いので、原酒と表記していないもの、つまりほとんどの日本酒は水を加えて飲みやすいようにアルコール度数を低くしています。原酒はこのように水で薄めていないので、しっかりした重めの味わいになります。

純米酒
醸造アルコールを添加していない日本酒のことで、米の旨味やコクをしっかり味わえます。

生酒・生貯蔵・生詰
日本酒は貯蔵前と出荷前に2回加熱処理(火入れ)をするのですが、この回数とタイミングによる分類のことです。火入れ0回=生酒。火入れ1回=生貯蔵(出荷時)、生詰(貯蔵前)。それぞれに独特なフレッシュさやコクがあります。

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このような専門用語が書かれていれば、こだわった造り方をしています!、と造り手さんがアピールしているポイントですので、一度各々について、どんな味わいがするのかぜひお試しください!

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