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成年後見制度と家族信託

 以前の記事にも書いたのですが、私の母は大阪の市営住宅に暮らしており、現在81歳になったばかりの一人暮らしです。私が親元から離れたのは少し遅く、28歳の時でした。大阪市内にマンションを購入したため、そちらに移りました(そこから2度程、住居を変更していますが)。
 そのため、28歳以降は時々休みの時期などに様子を見に帰る程度で済ませておりました。
 今の生活スタイル(セミリタイア状態)になってもそれは変わらずでした。しかし、今年の夏頃、母の様子を見に行った時に申請しなければならない書類が出せていない等々あったこともあり、その後、頻繁に様子を見に行くようにしました。
 やはりおかしい。出すべき市から書類が出せていない以外に、親戚からの結婚式の招待状にも、丸印は書いているものの最後の最後で出せていない、などおかしな点がいくつも見られ、色々と洗い出すことにしました。
 一応、家の中は綺麗にしているものの不要な書類があちこちから出てきます。口座引き落としの通知書類など、もう何年も前のものが大事に取られています。企業からのDM、何年も前に有効期限切れのクレジットカードの類い。

 まだ受け答えはハッキリしているうちに、介護のことを考えた方がいいだろうと思い、成年後見制度を考えて、幾つか調べたところ、色々と問題があることが見つかりました。

 上のテレビ番組のリンクは、調べたあとから見つけ、内容がわかりやすかったので紹介しますが、私が調べた多くは成年後見制度のうち、法定後見はあまりおすすめしないと言うものです。リンク先の記事にも書いていますが、「家族が本人のためと思っても自由にお金を使えないなどの制約も生まれ」とある通り、本人によかれと思うことであっても、介護に直接関係すること以外はお金を使用できないようにすることが多々あるようです。

 それではと思い、もう一つの成年後見制度である任意後見の方を検討しました。
 これも問題点として、必ず任意後見監督人を選任しなければならないことです。任意後見人に親族がなったとしても、それが本当に機能しているかを定期的にチェックするために任意後見監督人を家庭裁判所が判断して選任します。この場合、専門家である弁護士や司法書士などがなるケースが多いと聞きます(一応、家庭裁判所に配偶者、直系血族及び兄弟姉妹以外の親族を推薦することは出来ますが、それを忖度なしで家庭裁判所が選任するため多くは専門家が選ばれるようです)。専門家がなれば、必ずコストが発生し、1〜2万程度は毎月掛かることになります。専門家が監督人になるということは、こちらが本人のためによかれと思った事であっても、あとから監督人に不適切だと指摘されることもあるかもしれません。
 また、テレビ番組の記事にもあるとおり、任意後見制度ですと、取消権が行使できず、不用意に契約してしまったものを取り消しできないと言う問題もあり、任意後見制度でも不十分だなと思いました。

 そこで私が選択したのは、家族信託です。正直なところ、介護で真っ先に問題になるのは介護費用の問題です。在宅介護にしろ、施設の介護にしろ、お金がないと話になりません。自分ひとりでは到底介護することは出来ないため、専門の介護スタッフに頼るしかありません。
 そのために、まずは母の口座凍結を回避するための対策を考える必要がありました。母の口座にそこそこのお金があったとしても使えなくなるのは、問題なので、とりあえずそこの問題だけでもクリアにしておこうと思い、母に家族信託の話をしました。
 難しい話を言葉だけで話をしてもと思い、Googleスライドで3枚のスライドを作成し、何度も理解して貰えるまで説明し、何とか公正証書を作成するまでになり、ちょっとだけ一安心しています。

 その時のスライドはこれです。80歳を過ぎた母向けに作っているため、非常に簡単にしか書いていません。そのため家族信託をかなりご存じの方からすると、不十分とご指摘を受けるかもしれませんが、家族信託を親に説明したいと思われている方の参考になれば幸いです。

 もちろん、家族信託はあくまでも、母の資産にしかスポットを当てていない制度なので、これだけでは問題なのは理解しています。ただ、この家族信託のおかげでやっと「介護のスタート地点に立てた」という思いがあるため、あとはどう母の介護という課題に向き合うかと言うだけです。
 今のところは、まだ母ひとりだけで暮らせているので、安心していますが、足腰が不十分になったりしたらどうしようかとまだまだ心配することは次々に出てきそうです。どうなることやらと言うところです。

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