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俳句マガジン 「ランタン」

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小生の処女句「ランタンはゆつくり灯る秋の雨」より。これから俳句を始める人や、句作に悩んでしまった人たちの、道を少しでも照らせたらと思う。
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2021年3月の記事一覧

【選は上手いものではなく、偉大なものを】俳句的を読んで(1章-4のまとめ)

 引き続き、「思考の整理学」の著者、外山滋比古先生の「俳句的」のまとめである。今回は1章4項「枯れ」についてまとめていきたい。この章も大変読みごたえがあった。 ・俳句や短歌は詩なのか(P19-20) すべての芸術活動のうちで、詩がもっとも早く完成に到達することも注目される。中でも叙情詩が早く成熟する。純粋なものほど結晶も早いということを意味するのであろうか。詩は青春の花である。老いたる詩人とは冬の花と言うのと同じくらい自然ではないことである。ところが、われわれには、元来、詩

俳句 雑詠5句

散髪を待つ親子いる遅日かな永遠はサインポールとして春暮春は曙鏡台の梳鋏新しき香水妻へ晶子忌花曇生家の方へ霊柩車亀山こうき

俳句 雑詠6句

水温む母の心音聴く胎児あの世でもこの世でもなく花筏少年のチョークで的を描く遅日風化せし墓の碑銘や暮の春春の雪終点までの切符買う不格好なネクタイ締めて卒業す亀山こうき

【句集紹介】九州男児 徳吉洋二郎句集を読んで

・紹介小生が参加している俳句同人「ペガサス」の同人、徳吉洋二郎氏の第一句集である。この度は小生のために、ご恵贈いただき誠にありがとうございました。 ペガサス同人誌創刊の際の一句。 春はあけぼの「ペガサス」の翔びたたん は、特に小生の心に残っている句である。自由自在な発想と、諧謔味にあふれた言葉遣いが氏の特徴である。並木邑人先生もそんな氏の世界観を「徳吉ワールド」と称している。 厳選十句からそんな世界の一端でも感じてもらえたら幸甚である。 販売については「文學の森」よ

【ストレートな表現が日本語に適さないわけ】俳句的を読んで(1章-3のまとめ)

引き続き、外山滋比古著「俳句的」のまとめである。今回は1章3項の「名実を忌む」についてまとめていきたい。 前回までの記事については下記をご参照いただけたらと思う。 参考文献 ・日本人の名前が読みにくいわけ(P16)すこし日本語を覚えた外国人が、日本人の名前が読めなくて困るという。当たり前のことだ。読めないようにしてある?とも言える。かけ出しの日本語知識などで読もうとするのが、そもそもの了見違いだ。日本人にだって見れども音には発せられないようになっている。漢字の名前とはそ