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「解像度」って言葉は1つだけれど意味は3つぐらいはあるような

 はてさて、先日柄にもなくラジオでクラシックなんぞを聞いておりましたら、演奏が終わった後にアナウンサーの方曰く「解像度を高い演奏でしたね」とおっしゃって。

 「解像度の高い演奏? 音は像じゃないだろ〜」と思ったのでありますが、もう、あれです、流行ってるんですね、「解像度」って言葉が。だから、いくら僕が口を酸っぱくして、カレーを辛くして、卵焼きを甘くして「解像度を上げるって言葉は変でございますぞえ!」と書いたところで、もうこの流れは止まらない様な気がしてきて・・・。

 あらよっとのちょいなちょいなとネットで「解像度」を検索してみると「解像度が低い人」とか「食の解像度を高める」だとか「人生の解像度を上げる習慣」だとか・・・「君たちはいったい何を言っておるのだ?」みたいな慣用句がいろいろ出てきて。なんでもかんでも解像度。流行ってますね解像度。

 ・・・あのー「ヤバい」って言葉みたいな感じですかね。今の人は、なんでも「ヤバい」って言いますけど・・・「このヒヨコ、ぴよぴよ鳴いてヤバい」みたいに使えば「かわいい」って意味の「ヤバい」。「このマグロのブツ、脂のっててヤバい」みたいに使えば「おいしい」って意味の「ヤバい」。ってことは、そのうち「このピザのチーズの解像度が高い!」とか若者は言い出しますかね。・・・ちなみに、正しい「ヤバい」の使い方は「戸籍を売ってタイで掛け子やらされそうでヤバい」です。「ヤバい」は正しく使いましょう!

 が、行く川の流れは絶えずして万物流転にパンタレイってことで、全ての物事はは変わっていきますので、言葉の意味も変わってしまうのも仕方がないこと・・・なのですけれど、ニースサラダは大事です! ・・・読んでいる方は今「いったいこの人は何を書いておるのだ?」って思われたでしょうが、書いている僕も思いました。僕はいったい何を書いているのだ? ・・・えーと、説明をしますと、あのー・・・「ニース風サラダ」というのが流行ったのでした。流行りましたら、コーンが入ったり、マヨネーズをかけたりしたニース風サラダが登場して・・・。で、そのニース風のサラダを見た、本家ニースの人々が怒りまして「そんなのニースのサラダじゃない!」って。で、「これが正しいニースのサラダだ! 純潔を守れ!!」ってことでニースのサラダの正解というか正統を提示したのでありました。


 正統と言いますか、基本って大事ですよね。基本は押さえておきたい。元の元は知っておきたい。型があるから型破りができる・・・あ、ちなみに「ニース風」とかの「風」って意味は「それらしい」って意味で、ガサツに、ざっかけなく言っちゃうと「偽物」って意味なんですよね。「ニース風サラダ」って言うと「偽物」って気が付きませんけど、例えば・・・「サラダ風緑色の紙」だと「それサラダじゃないじゃん!」ってわかりますよね。「紙じゃん!」って。それから「キムタク風ホスト」だと、その方はキムタクさんじゃないですよね。ホストの方です。それから「賞味期限切れ風マグロの刺身」だと、賞味期限は切れてないから食べられるんでしょうけど、食べたくないなぁ・・・あと「藤井風藤井風」だと、藤井風さんが自分のモノマネしてるってことになるのかなぁ・・・あれ? 僕はいったい何を書いていたんだっけ? 僕って文章の方向音痴なんですよね・・・文脈の帰巣本能が麻痺していて・・・。

 え〜、ということでございまして、世の中「解像度」という言葉が流行っている様でして、先日、柄にもなくラジオでクラシックを聞いておりましたら・・・え? あ、もう、このくだり書いてました? すいませんすいません、最近、物忘れがひどくって。こないだも、車を運転していたらブレーキと間違えて助手席のワイフの顔を踏んでしまったよ。HAHAHA! ということでございまして、またまた解像度の話です! ここまではまだ前振りです! 前振りが長い!! もう、今回は前振りだけで、この記事はいいんじゃないのかい?

 で、えーと、解像度のことを調べていて僕が気がついていたのは、「皆さんが話している『解像度』の意味がそれぞれ違う」ということなのでした。皆さん別々の意味で「解像度」という言葉を使っている様な気が・・・。なので、それぞれの「解像度」という言葉の意味を整理したいなぁと思って。「解像度」ということばの前提と言いますか・・・。で、えーと、僕は印刷系のデザイナーをやっているので、僕が言うときの「解像度」の意味は「印刷が可能な画像の明瞭度」なのでした。

 ですが、カメラマンとかの撮影をされる方が話す解像度は、例えば4Kのカメラだとか、イメージセンサーが大きいカメラで撮って高解像度にするだとか・・・グラビア撮影なのかテレビなのか映画なのかによって変わる「表現するデバイスに適した解像度」で撮ることを考えておられるような気がします。・・・まぁ、当たり前っちゃあ、当たり前の話ですが。年賀状のハガキを買ってきて家庭用インクジェットプリンターで印刷する場合に、8Kのデジカメで撮る必要がないの如く・・・。

 でもって、テレビやディスプレイを作っている工学的な方・・・って言うのでしょうか? 液晶画面とかを作られている方々。そういう方は「画面の解像度」のことを考えていらっしゃる。画面の細かさ。液晶だけではなく、僕にはよくわからない有機ELだとか・・・ということで「解像度」って言葉は1つなのですが、意味は僕が思うに3つはあるような気がします。

 印刷のデザイナーが言っている解像度 = 印刷機で印刷するための解像度
 カメラマンが言っている解像度 = 写真や映像で見られるための解像度
 画面を作っている人が言っている解像度 = 画像を発色するための解像度

 ・・・もっとあるかもしれませんが、「解像度」という同じ言葉なのに違う意味がある。けれど、話している人は違う意味だと思って話していない。同じ意味だと思って話している。なので、話していると、みんなわけがわからなくなってくる・・・というような気がしまして・・・例えば、おじいちゃんに「煮卵、食べる?」って聞いたら「わしの宝に何をしたんじゃ!」と怒った。自分にそっくりな「煮た孫」だと思った・・・みたいな・・・なんだこの例え。

 ですので「解像度を上げる!」と言われたときには「それはどういう意味での解像度?」って確認することが大事かと思われ。解像度の前提を理解してから「解像度を上げる!」と言っていただければ・・・例えば「データの解像度を上げる!」でしたら「上げてもデータが重くなるだけだからやめておけ」と言えますし、「カメラの解像度を上げる!」ならば「イメージセンサーの大きいカメラを買うべし!」と言い、「ディスプレイの解像度を上げる!」ならば「ピクセルの細かいディスプレイを買うべし!」と言い、褒められもせず、苦にもされず、そういう者に私はなりたい。裏の畑にいます。お墓にはいません。

 はてさて、その3つの解像度を具体的に書いていきますと・・・えーと、例えば、まずデジカメで撮影をしますよね・・・僕が持っている13年前のコンデジ、Optio RZ18で撮った写真がこちらでございます。

Optio RZ18で撮影 1600万画素


 撮影したのはイカのゲソの唐揚げ。ゲソの写真で画素の勉強ができるというイマーシブな試みです。イマーシブの使い方、間違ってますけどね・・。画素数は1600万画素。これはデータの解像度でございます。でもって、今度は僕が持っている一眼レフ Canon EOS Kiss X7で撮った写真がこちら。


Canon EOS kiss X7で撮影 1800万画素



 こちらの画素数は1800画素です。一眼レフの写真の方が、ぱっと見でも「明瞭! 明晰!」って思いますよね。画素数もお高いし、イメージセンサーも大きいので。これはコンデジの写真よりも一眼レフの方が「解像度が高い!」と言ってよろしいかと思います。で、えーと、以上が印刷系デザイナーの僕が慣れ親しんでいる解像度のお話でした・・・。次からは、カメラマンの方が言っている解像度のお話になります・・・。

 カメラマンの方は撮像素子ことイメージセンサー、むかしでいうフィルムのことを気にしておられると思います。僕みたいなカメラ・ド・シロウトの人は「このカメラの解像度が高いんだ! これさえあれば、いい写真が撮れるぞ!」って思っちゃいますが、カメラマンの方は解像度よりも撮像素子の大きさを気にしておられる気がします。先ほどの写真ですと、コンデジが1600万画素で、一眼レフは1800万画素で、200万画素しか差がないのですが、撮像素子ことイメージセンサーの大きさがぜんぜん違うのですよ。なんと撮像素子の大きさが13倍もある!

撮像素子の大きさが約13倍!


 ですので、計算すると画素1つの大きさが約1.5倍もあるんです。同じ1画素という単位なのですが、コンデジと一眼レフだと、一眼レフの方が1.5倍大きい・・・1.5倍って言ったら、ごはんで言うと大盛りです。「1.5倍のカツ丼」って言われちゃうと「食えるかなぁ・・・」って心配になっちゃいますよね。むかしは食えたけどなぇ。あぁ、青春は一度だけ・・・って、ぐらい画素が大きい。

 でもってですね、ここで流行り言葉の「解像度を上げる!」つって、コンデジの写真のデータの解像度を上げてみたとしても、一眼レフみたいな明瞭な画像にはならないのでした・・・なので、コンデジで撮った画像を見て「解像度を上げたい!」と思った場合は「もっと解像度の高いカメラを買う!」しかないですね・・・。それか、「ライティングの勉強をする!」「三脚を使う!」「F値を理解する!」などでも明瞭かつ明晰な写真になるかと思いますが・・・あ! また話が戻ってしまいました。これは、データの解像度の話ですね。今は、カメラの解像度の話でした。つまりは撮像素子ことイメージセンサーのお話。ということでございまして、恒例、一部を拡大してみますと・・・。


コンデジで撮った写真の一部を拡大!


一眼レフで撮った写真の一部を拡大!


 上がコンデジで撮影したゲソを拡大した画素。下の写真が一眼レフで撮影したゲソを拡大した画素。・・・ちょっとわかりづらいかもしれませんが、下の一眼レフの写真の方が、階調がキレイに出ていますよね。つまり、色の情報量が多い。これがイメージセンサーの差なのだと思われます。画素数の違いは1.1倍しかないんですけど、画素1つの大きさが、約1.5倍なので、情報が多く入っている。なので、階調の再現率が高いのだと思われます。

 このことはフィルムで想像をしていただくとわかりやすいかと思われます。小さいフィルムと大きいフィルムで同じ風景の写真を撮って、小さいフィルムで撮った写真を、大きいフィルムで撮った写真と同じ大きさに拡大しちゃうと、荒くなってしまう・・・そういう理屈なのだと思われます。・・・ちなみにデジタルデータ自体の画素数はそんなに変わりません。1.1倍なので、ほぼ一緒と言っても良いかと・・・。

 これはデジタルデータの画素のお話・・・


 以上、デジタルデータの画素と撮像素子の画素のお話でした。それはつまり、印刷のデザイナーが言っている解像度のお話で、印刷機で印刷できる解像度の話と、カメラマンが言っている解像度のお話で、写真や映像で見られる解像度のお話・・・ややこしいなぁ・・・。

 解像度の意味が2つでも、ややこしいのに・・・続いて、今度は、ディスプレイを作っている人が言っている解像度のお話。画面の解像度のことですね。これは例えば・・・あのー、僕が、コンデジで撮った写真がボケちゃっているのですよね・・・。それは、なぜならば、確認するための、液晶の画素数がコンデジの方が少ない! 撮影したものを確認できる液晶画面。これがコンデジと一眼レフだと細かさがぜんぜん違う。調べてみましたら一眼レフの方が約2.3倍も解像度が高い。

これは画面の解像度のお話

 コンデジは解像度が荒い液晶画面で撮った写真を見ますので、ピンボケに気がつきにくいのでした。まぁ、僕の撮影がヘタって言われたらそれまでですが・・・まぁ、ヘタなんですけど・・・あと、最近、僕の自前の目の解像度が低くなって来ているので(老眼って言え!)、見えづらいんです、世の中の何もかもが・・・。って、そんな老眼の人が「えらそうに解像度に関して語るんじゃない!」って気もしますけどね・・・失礼しました・・・。

 えーと、ということでございまして、3つの解像度のお話でありました・・・文章、今回も長かったなぁ、最後まで読んでくれた人って、いるのかなぁ? たぶん、検索エンジンでも「文章が長すぎる!」って言って、ここの最後の文章までサーチしていないと思われます。えーと、今回の結論はですね「解像度ってヤバい!」ということです! てなわけで、今回はここまで! ちょうど時間となりました〜♪ 次回を刮目相待!!

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