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ウマ娘(ゲーム)のトレーナーが魅力的なシナリオとすごいセリフについて

はじめに

ウマ娘、今更説明するまでもない大人気コンテンツですが、このウマ娘世界には「トレーナー」という職業が登場します。ウマ娘をアスリートとすれば、彼女たちを指導し勝利に導くコーチのような存在、実際の競馬に当てはめてみれば調教師のような存在、それがウマ娘におけるトレーナーでしょう。このトレーナーはアニメや漫画においてはキャラ付けがされていますが(沖トレーナーなど)、ゲーム版においてはプレイヤーキャラクターとなっています。つまりゲームをプレイする我々がトレーナーとなって担当ウマ娘と共に目標に向けて進んでいくわけです。

各ウマ娘シナリオの中でトレーナーが果たす役目は様々ですが、プレイしているとトレーナー=プレイしている自分自身であるにも関わらず「このトレーナーすげえ……好き!」となってしまうシナリオが結構あったりします。プレイヤーが没入できていて、かつ好感を抱けるようなキャラとストーリーができている時点で、こういったシナリオは良シナリオといえるでしょう。
また、シナリオ中におけるトレーナー君は結構キマッている(覚悟とかがね)ことが多いので、たまにわりとすごいセリフを言ったりします。

というわけで本記事ではこのトレーナーが魅力的な3人のウマ娘シナリオについて、トレーナー名セリフも紹介しつつ語っていきたいと思います。

※本記事はネタバレに配慮せず書いているので気をつけてください!!


ケイエスミラクル

まず紹介したいのはケイエスミラクルシナリオ。
単純に推しでもあるんですけど、このシナリオほど「トレーナーの意味」を感じるシナリオはありません。
そもそもこのケイエスミラクルシナリオは担当するまで(いわゆるウマ娘ストーリー4話まで)にも相当紆余曲折があるのですが、その末に発せられるセリフがこれです。

すごいセリフ

すごい、特にこのスクショだけ見ると本当にすごいことを言っている。大体このトレーナーは新人トレーナーという設定なのでヤバいですね(思わず語彙力が飛ぶくらい)。
しかしこのケイエスミラクルシナリオを読んでいると、これくらいの重みがなければケイエスミラクルには釣り合えないとすら思えてきます。

ケイエスミラクルが走る理由は恩返しです。ただこれは文字通りの意味を超えて、恩返しのためならば自分を捨てることすら厭わない、自身の存在理由にまでなってしまっている。
ほっとけば限界なんてあっさりと超えてどこまでも行ってしまう、そんな危うさも持っているケイエスミラクルをどうやって”こちら側”にとどめるか。このシナリオでは他のシナリオと比べてもトレーナーに課せられるものが多いように感じます。ただ、このトレーナーは新米だけどセリフの通りバチクソ覚悟を持っているので、上記のような強い気持ちを持ったケイエスミラクルともちゃんと渡りあっていくことができます。

トレーナーと担当ウマ娘の二人三脚の成長譚、ケイエスミラクルシナリオはそんな観点でも楽しめます。

シナリオ自体もとても良く、スプリンターズSを境にしてケイエスミラクル自身が変わっていく流れは必見。史実ではスプリンターズSで終わってしまったところの続き、IFに分岐して描かれるライバル関係は非常に魅力的で、穏やかに見えるけれど激アツなのです。

特にスワンS前のイベントが本当に素晴らしい。史実上のケイエスミラクル号の存在そのもの、そしてケイエスミラクルがこのウマ娘でリバイバルされたことに言及するような内容になっており、私は毎回泣きます。
スワンSは史実では予後不良となってしまうスプリンターズSの前、生涯で唯一制覇した重賞になります。しかし現在の番組表は91年当時と変わってしまっており、レース順がスプリンターズSの後に入れ替わっています。史実上での唯一にして最後の栄冠を、ここではIFの物語の始まりの合図にしていく巧みな構成になっていて、内容も含め個人的にはウマ娘シナリオで一番好きかもしれないイベントですね。

ちなみに、ケイエスミラクル含むこの世代の短距離界のストーリーは舞台化されており、こちらはトレーナーの存在にフィーチャーしない、純粋にライバル関係を楽しめるものになっています。トレーナーなしver.(舞台)とありver.(ゲーム)として2度楽しめてお得ですね。舞台版も勿論面白いですし今は配信でも観れますので超おススメ。

エアシャカール

次にエアシャカールシナリオです。

エアシャカールシナリオはとてもメタ的で、「このウマ娘シナリオとは何なのか」をトレーナーを超えてプレイヤーに突きつけてきます。
このシナリオで特徴的なのは、ウマ娘内でのエアシャカールは史実上での結末(ダービーを7㎝差で逃し、結果的に三冠も逃す)を知っている、ということです。そしてこの7㎝は自らが計算し、論理的に導いた未来予想であるので信じざるをえない。自分の能力をもって導き出した結果を否定することはできないまま、しかしその結末を変えたいと願う、エアシャカールは自己矛盾の中で苦悩するキャラクターとして描かれます。

そしてこのシナリオにおけるトレーナーの立ち位置もなかなか特殊です。先に話していたケイエスミラクルシナリオにおいて、トレーナーは彼女を支え共に成長していく存在でしたが、このシナリオはほぼ正反対の内容になります。そもそもウマ娘におけるエアシャカールは非常に理知的であり、トレーニングも含め全てを自分自身の考えに基づいて行動するため、担当ウマ娘を教え導くような普通のトレーナーは求められていません。
実際、トレーナー自身も何ができるのか悩んでいる描写が見られるのですが、そんなトレーナーが運命のダービー前にかけるセリフがこれです。

俺の愛バが!

これこれこれ、まさにこれじゃないですか(と初見の時に叫んでしまった)。
史実上の」エアシャカール号が7㎝差で三冠を逃したことなんて、トレーナー(っていうか我々プレイヤー)はそりゃ知ってるわけですよ。今ここでググればJRAの公式結果にそう書いてある。でもウマ娘世界はそうじゃない、違う結果にすることができる。なぜなら違う「現実」だから。ここではおれの愛バが最強だから

私はこれこそがウマ娘シナリオの意味だと思うし、このセリフが言えるのはある意味トレーナーがプレイヤーキャラクター(我々)であるからこそなんですよね。ウマ娘をプレイすることは、史実の結果を知るトレーナーがウマ娘世界のキャラクターに介入して、違う結末を描くことでもある。このセリフは非常にストレートなセリフに見えて、トレーナーを飛び越えてプレイヤーが直接語りかけているようなメタ的なものになっている。

ちなみにこのダービーのイベント含め、エアシャカールシナリオには「」と「意地」という要素がちりばめられていますが、これは史実の99年日本ダービーの名実況「河内の夢か!豊の意地か!」に由来しているのでしょう。こういうネタ好きです。ウマ娘シナリオは全体的に史実ネタを上手く活かしていますが、その究極がエアシャカールシナリオだと思っています。

ナカヤマフェスタ

最後に紹介したいのがナカヤマフェスタシナリオです。これは正直トレーナー云々抜きにしても万人におススメしたいシナリオ。

いきなりですが、私はナカヤマフェスタシナリオは「希望について」の話だと思っています。
例えばレースを観るとき、誰かの応援をするとき、そこにあるのは希望です。カッコつけた言い方をすれば”賭ける”行為だって、それはその結果が起こる可能性に希望を抱いていることになるでしょう。レースの結果だってそうです。シナリオ中、ナカヤマフェスタは取り立てて名門でもない出身であるといわれます。これは史実のナカヤマフェスタ号が血統的には目立った部分がないに由来しているのでしょう。ただそんな一見地味な存在が大レースで勝利する、その姿にこそ我々は希望を抱くのではないでしょうか。

そして人間あるいはウマ娘が”生きて”いくためにはやっぱり希望が必要なのです。ナカヤマフェスタのシナリオはかなりシリアスで、それこそ人の生死も絡んでくるような内容です。しかしその重さに確かに応え、希望についてを描き切る本シナリオは、多くの人が名シナリオとして挙げるのも納得の良シナリオとなっています。L'Arcシナリオが実質完全トゥルーエンドとなっているのでこちらも是非プレイしてほしいところ。

で、このシナリオ、もうとにかくナカヤマフェスタがカッコイイんですよね。コイツにだったら夢を託せるし、夢をつかみに行くのを心底応援したい。だからトレーナーもこんな言葉をかけます。

地獄だって行く

このシナリオで語られるのは生きるとは勝負することであり、勝負するとは選択することであるという哲学です。この哲学に誠実であるからこそナカヤマフェスタは強く、カッコよく、その生き様は人々に希望を抱かせる。
そしてこの場面、究極の選択を迫られたナカヤマフェスタに対してトレーナーはこの言葉をかけます。
何を選ぶにせよ、きちんと選択することはそれ自体に価値がある。だからこそ選んだ結果が地獄へのルートだとしても構わないわけです。フェスタの哲学に寄り添いながらめちゃくちゃ覚悟が決まってるセリフで、このシナリオではフェスタに負けずトレーナーもちゃんとカッコイイところが好きです。

個人的にはこのシナリオをプレイしたらモチーフ元の馬主さんのインタビュー記事(https://nakayama-racehorseowners.or.jp/main/salon/item/1719/1)を読んでほしいです。私はこれ読んで泣きました。

最後に

というわけでトレーナーキャラが良いウマ娘シナリオと印象的だったセリフを紹介しました。あと実はトレーナーを男女どちらにするかで微妙にセリフ回しが違ったりするので、それを比べるのも面白いです。

以上、感想文ですが☆3交換券とかの参考になれば幸いです。
まあ、ゲームなので性能で選んでもいいですが、せっかくなのでシナリオの良さ、面白さで選んでみるのも一興ではないでしょうか。

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