【日本とカンボジア】日本での難民申請が国別一位に
例によって、シェムリアップへの長距離移動恒例の執筆です。今日は、日本での難民申請数がなぜか1位となったカンボジアについて、書きながら色々と考えてみたいと思います。
過去
ベトナム戦争の終結やクメールルージュの影響を受けて、日本はいわゆるインドシナ難民の受け入れを迫られました。タイ領内の国境にあったカンボジア難民のキャンプからは、日本としてはそれまでにない規模での難民の受け入れを行いました。その当時にカンボジア国境のタイ領内で発生した多くの日系NGOがその後発展し、カンボジアの復興に携わりました。現在でもそれらのNGOは世界各地で活躍しています。
1980年代当時は当然ながらベトナムやカンボジアが上位にあった訳ですが、日本も積極的にコミットしたことで知られる国連による暫定統治以降、カンボジアは平和にそして豊かになり、難民はほぼ皆無となっていました。それが最近急増してるのは何故なのでしょうか。
現在
まずは最新の数字をご紹介します。ここ数年カンボジア人の難民申請が多くなり懸念されていましたが、ついに昨年度は難民認定の申請で578人、審査請求(不服申し立ての請求)が1470人となり、いずれも国別1位となりました。
法務省のまとめた令和4年度の資料によると、申請者の申請時における在留状況は、正規在留者が3069人、非正規在留者が703人であり、正規在留者が多くを占めています。
正規在留者の在留資格の内訳は、観光等を目的として入国した「短期滞在」が 1516人、「技能実習」が466人、難民認定申請を繰り返す「特定活動 (難民認定申請者用)」が296人、自ら出国する意思を表明し、その準備のための期間として在留の許可を受けた後に難民認定申請を行った「特定活動 (出国準備期間)」が105人、「留学」が47人などとなっています。昨年大きく変化したのは「短期滞在」からの申請者が、前年(2021年)に比べて8倍を超える増加をした点です。
非正規在留者からの申請者は、前年に比べて約29%増加していますが、カンボジアは上位5カ国に含まれてませんので割愛します。
難民の認定をしない処分に対する不服申立ては、平成28年4月1日に施行された改正入管法により、従来の「異議申立て」から「審査請求」に改められました。令和4年の審査請求数は4461人で、前年に比べて415人(約10%)増加しました。審査請求人の国籍は43か国にわたり、前述の通り、こちらも1位はカンボジアとなっています。
カンボジア人の動向についての詳細については明示されていませんが、これらの公開された情報からは、最近では「技能実習」だけでなく、観光などの「短期滞在」で日本に入国後に難民申請を行っていると推察されます。
プノンペンの日本大使館の領事窓口にある掲示板には、難民申請についての誤解を予防する文章が日本語、英語、そしてカンボジアの三カ国語で掲示されていました。
このような状況が続くことによって、今後はカンボジア人が日本に行く際の短期査証申請の審査が厳しくなることが懸念されます。
技能実習生
前述のように「短期滞在」による新たな流れも懸念されますが、ここ数年多発した難民申請の多くは「技能実習」だったと言われています。多くの国から日本に働きに来ている中で、なぜカンボジア人実習生の失踪率が他国に比べて高いのでしょうか。
9月27日に外国人技能実習機構が発表した、「失踪者の発生が著しい送出機関に対する措置について(周知)」においては、これまでの送出し状況や失踪者の発生状況などを考慮し、失踪者の発生が著しいと認められるとしてカンボジア政府に通報し、改善が認められるまでの一定期間、当該機関から送り出される技能実習生の新規受入れを停止する措置を実施すると発表しました。これらの機関では、4人に1人が失踪するところもあるようですが、カンボジアに多く存在するそれ以外の機関でも10%弱と他国に比べて高率だそうです。
この分野に詳しい何人かの方に、移動中の車から質問してみたところ、虚偽の難民申請をし、その間労働するケースがあるそうです。また申請中に(不正に)働いていた人物が帰国後に、今度は特定技能で日本に再度来ることも、現行の制度上は認められているようで、そういった制度上の歪みも情報共有され、多くの実習生が誤った行動を取る要因になっているのではとも言っていました。
なぜ?
昨年あたりから、カンボジア人による日本での犯罪報道も多く目にするようになりました。それらは本当にカンボジア人だけによる犯行なのでしょうか。大量の電線を盗んで捕まる報道が散見されますが、盗品を買い取り、支えている人間までがカンボジア人なのでしょうか?。
誰が知恵をつけているのか。それとも円安の中で自然発生した、実習生の生活の知恵なのか。そもそも月給を比較すると、日本より韓国に働きに行った方が5万円程度高いのが実情です。それでも行き先に日本を選んだ人々が大量に失踪し始めた現実があります。
5年ほど前に日本から帰国した元実習生とお話をした際に、日本での体験を楽しく語っていた姿を、懐かしく思い返しています。
何も結論がありませんが、そろそろシェムリアップに到着しますので、今日はここまで。
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