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現場が望む働き方改革~教職を魅力ある職業へ~

 「教員は、教育のプロフェッショナルである。」

 教職が魅力ある職業になることを願う。


 現在、学校現場においても「働き方改革」が進められ、各自治体で力を入れて取り組んでいるところです。

 しかし、実際はどうでしょう?

 学習指導要領の改訂による「学習内容」や「授業時数」の増加や想定外の「コロナ対応」、勤務時間外の登校指導や電話対応など、退勤時間を超過した「残業時間」は逆に増加しているのではないでしょうか?


 近年、教員は「ライフ・ワーク・バランス」や「定時退勤」などを呼びかけられてきました。

 しかし、教員は与えられた仕事を精一杯行っているはずです。

 誰も残りたくて残っているわけではありません。

 そもそも定時で終わるような労働内容ではないことが長時間労働の「真の原因」ではないかと考えます。


「働き方改革は誰が取り組むのか。」

 現場の教員が日々の授業準備や事務作業に追われる中、自分の働き方を変える努力までしなくてはいけないのでしょうか。

 真の「働き方改革」は、現場の教員ではなく、その「働き」の内容を管理してる機関や人たちが行っていくものでは?。

 私は、教員の労働環境を変えるためには「働き方改革」ではなく、「働きの改革」に取り組んでいく必要があるのではないかと考えています。


 そこで。私が考える「現場が望む働き方改革」についてお話をしましょう。

 キーワードは「学習内容の精選」と「一般企業との提携」です。



<学習内容の精選>

 小学校でも施行された新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」の視点での授業改善や「道徳」「外国語」の教科化、「プログラミング教育」の追加などが目玉となっています。

 また、このコロナ禍で一人一台タブレットを支給する「GIGAスクール構想」が急ピッチで進められています。


 それに伴い、学校現場では授業時数の増加による土曜授業の開始やプログラミングやタブレット端末の仕様に関する研修など、様々な業務を日々こなしています。

 もちろん、これまでの既存の学習や行事の準備なども同時並行で行っています。

 さらに、現在は「コロナ対応」として放課後の消毒作業や感染のリスクを減らすための学習環境の工夫など、前例のない対応にも取り組んでいかなくてはなりません。


 緊急事態に対する対応については仕方ありません。


 しかし、ここで問題なのが普段の業務だけでも、すでに「仕事の余裕がない」ということです。

 この「仕事の余裕」こそが、労働時間を減らす鍵だと考えています。


 私たち教員は、「子どもを育てる」という人材育成に「魅力」を感じ、教職に就いています。

 よって、最も労力と時間を注いで取り組みたいのは「授業」や「学級経営」なのです。 

 「教員は、教育のプロフェッショナル」です。

 プロスポーツ選手が試合のために練習に専念するのと同じように、私たち教員は、「授業」や「学級経営」という「試合」に向けて、その練習や準備に専念したいのです。

 しかし、実際その練習や準備は退勤時間を過ぎてから行うことが多いです。

 それは、新しいシステムや機器についての研修会や学校運営や行事の運営に関する会議などで定時の業務が埋め尽くされているからです。

 「やりたいことはそれじゃないんだよ。」

 教員の心の叫びだと思います。


 もちろん、時代の流れて共に教育も変わっていかなくてはなりません。そのため、新しことが追加されることは当然です。

 しかし、追加と同時に「精選」も行っていかなくては、労働内容は蓄積する一方で、一教員の努力だけでは労働時間の削減は不可能です。

 本当に「働き方改革」を進めていくのであれば、「学習内容の精選」についても取り組んでいただきたいと切に願います。


<一般企業との提携>

 私が思う「働きの改革」のもう一つのキーワードは「一般企業との提携」です。

 これは、本当に学校現場にいる人にしか分からないような悩みや苦労を絶対に解決してくれるはずです。


 先ほども述べたように、私たちは日々数多くの業務をこなしています。

 その中でも最も苦労するのが「専門外の業務」です。

 簡単に例を挙げると、

 ・パソコンのシステムトラブルや故障に伴う対応や修理。

 ・学校の破損箇所の修理。

 ・集金の会計と支払い。(口座振り込みのところもあります。)

 ・学校外でのトラブルの対応、地域のパトロールなど。

 外側から見えにくいですが、教育以外にも様々な「専門外の業務」を行っています。


 例えば「パソコンのシステムトラブルや故障」は誰でも対応できるわけではありません。その学校にたまたま詳しい人がいると毎回のようにその人が対応し、その人の業務が増加していくのです。

 しかし、それは任せている他の人が悪いのでしょうか?

 そもそも私たちは「パソコンのプロフェッショナル」ではありません。

 パソコンのプロフェッショナルなら「システムエンジニア」という職業があるわけですから、民間の企業と提携して、各学校に1名ずつシステムエンジニアを配置すれば良いのではと思うわけです。

 また、会計についても「会計士」というプロフェッショナルがいるわけなので、それもまた各学校に1名ずつ配置すれば良いのではないかと。


 現在、業務削減のために学校現場への人員の追加が進められてはいますが、いずれにしても教育関係者です。

 授業を進める上では、大変助かっていますが、仮に授業以外の業務をお願いするとなると、その人にパソコンを修理するスキルや会計をするスキルがなければ、一から勉強しなくてもらわなくてはなりません。

 「業務改善」や「業務改善」の名目で人員を追加するのであれば、その道のプロフェッショナルを配置してもらうことができれば、現場の業務は飛躍的に削減されると確信しています。


 現在、学校の目標として「地域に開かれた学校づくり」や「地域と共に歩む学校づくり」などが進めらているところもあります。

 それをより発展させて、「社会に開かれた学校づくり」「社会と共に歩む学校づくり」を目指すことができれば、「働き方改革」も一歩一歩確実に歩み始めるのではないでしょうか。


 「教員は、教育のプロフェッショナルである。」

 「子どもを育てたい」と人材育成に心を燃やし、「授業」や「学級経営」のスキル向上のために心血注いでいる教職を目指す若者たちのためにも、プロフェッショナルとしての仕事が十分にできる環境づくりを「働き方改革」に望みたい。











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