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日本の夏、涼を取る、趣き
暑い、こんな暑い夏は以前はなかった気
もう夏が楽しい年齢ではないのでバテて行く
この時期には小津の「東京物語」が観たくなる
暑さがモノクロの画面から溢れ出す、とにかく暑い、汗が止まらない、そんな熱が吹き出している
小津の「浮草」も然り、真夏の四国、旅芸人、とにかく暑い、観ていてこちらも暑くなる
成瀬の「流れる」も然り、「稲妻」も然り、暑くて、怠くなる、出掛けるのも辛い、そんな倦怠感が漂っている
ただ、日本の夏は涼を取る
団扇に、扇子に、打ち水に、浴衣に、風鈴、氷、其処彼処に涼がある
エアコンも勿論、扇風機さへない時代だから、涼をとることには、涼しさだけではなく、趣と風情がある、そういう心持ちで涼しさを感じる
山田五十鈴、若尾文子の浴衣姿に
杉村春子の団扇に、窓にかかる風鈴に
高峰秀子の麻の白ブラウスに
京マチ子の日傘姿に
一方で
ハリウッド映画では「欲望と言う名の電車」もニューオリンズの夏が一番に思い出す、夏の茹る暑さ
街に降り立つ主人公のブランチ、乗り込んだ欲望と言う名の電車、街の暑さが蒸せ返るように満員の路面電車に広がる
辿り着いた妹の狭い家、マーロンブランドの汗だくのタンクトップ、とにかく暑い、そして誰も彼もがイライラしている
「12人の怒れる男」の密室の陪審員たちも、真夏に止まってしまっている扇風機を叩きながら、どんどん上がる密室の温度にイライラしている、蒸せ返る熱と暑さ、陪審で少年が死刑になろうがどうでもいい、それくらい苛立っている
ここに涼の世界観はない
ひたすら暑い、暑さの中でドラマが展開される
暑さは、言わば苛立つ登場人物たちの心情だ
そこにアメリカ人と日本人の違いを感じる
涼を取ること、日本人はやはり繊細であり、心の機微がある
夏の映画に見えてくる日本人の心
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