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自己表現の新たな形:デジタルストーリーテリング制作の実践


はじめに

デジタル時代において、情報の伝達方法は大きく変化しています。その中で、デジタルストーリーテリングは、視覚と聴覚を駆使して効果的にメッセージを伝える手法として注目されています。

今学期、法政大学キャリアデザイン学部の坂本ゼミでは、3年生たちがデジタルストーリーテリングを学び、その制作に取り組むことになりました。ゼミの3年生たちの中には動画制作経験がない学生も多く、挑戦と成長の機会となりました。

自分にとって、デジタルストーリーテリングの制作は今回で3回目ですが、作るたびに自分の成長と変化を感じ、その過程や成果について振り返り、共有したいと思います。

デジタルストーリーテリングの魅力

デジタルストーリーテリングは、映像、音声、テキストを組み合わせ、自分の思いや経験を視覚的に表現し、コンテンツを伝える「自己」の物語です。素材の運用や編集・表現技法により、従来の文章だけでは伝えきれない感情やニュアンスを表現可能で、視聴者に強い印象を与えることができます。

大学のキャンパスに集まった学生たちが、一つの教室でデジタルストーリーテリングの授業を受ける場面を想像してみてください。各々が自分の背景や経験を元にストーリーを作り、それを他の学生と共有することで異文化交流が自然と生まれます。例えば、中国からの留学生が、自国の伝統的な祭りについてのストーリーを発表すると、日本や他の国の学生たちは、その文化に触れる貴重な機会を得るのです。

著者が最初に制作したデジタルストーリーテリング動画の画面一部
『孤独のペンギン』

日常的なダイエット

通常にいうと、体重管理の目的は健康を維持することにあります。しかし、メディアや社会の影響で、写真を撮るたびに理想的な体型に対するプレッシャーが強まり、過度のダイエットは栄養不足や体調不良を招きます。

さらに、体型に対するその過剰なこだわりは、自己評価の低下やメンタルヘルスの問題を引き起こすことになりかねません。自分をありのままに受け入れること、そして外見だけでなく内面の充実を重視することが大切だと思います。今回はそれを踏まえて、「オーバーダイエット」をテーマにした動画を制作しました。

制作過程と工夫

今回の制作過程では、以前よりも表現力が向上し、文字や画像、音声との連携もスムーズに行うことができました。私は『新世紀エヴァンゲリオン』がかなり好きで、構成を考える際にその「意識の流れ」や「カオス感」を作品に取り入れようと考えました。視聴者に健康管理や自己肯定感の重要性を訴えるために、ナレーションと写真の対照、色彩の変化などを用い、特に編集に力を入れました。

今回制作した『オーバーダイエット』の画面の一部

視覚的な要素や音声を組み合わせることで、単なる文章よりも強いインパクトを与えることができます。動画の流れと共に視聴者の共感を引き出し、メッセージがより強く伝わるようになりました。

進学の準備で忙しい中、限られた時間をやりくりして動画を完成させました。初めてデジタルストーリーテリングに挑戦したときは全くの初心者でしたが、回を重ねるごとにスキルが向上していくのを実感しました。

ゼミ生たちの反応を見る限り、動画の出来上がりは好評だったようです。ただし、制作時間が限られていたため、さらにクオリティーを向上させる余地があったと反省しています。

デジタルストーリーテリングの教育的価値

デジタルストーリーテリングは、教育現場や企業研修などで広く活用されており、情報を効果的に伝える手段として注目されています。坂本旬教授は、メディアリテラシー実習の授業やゼミの授業にも、学生たちのクリエイティビティと情報発信力を高めるために、デジタルストーリーテリングを取り入れました。

動画制作を通じて、学生たちは動画編集ソフトの使い方や音声編集の技術、視覚的な効果の取り入れ方など、実践的なスキルを身につけます。こうしたことで、デジタル社会において必要とされる素質が自然と向上します。

このようにみると、デジタルストーリーテリングは、学生にとって自己表現力を高める絶好の機会となります。文字や音声、画像を用いて自分の考えや感情を視覚的に伝えることで、従来の文章だけの表現とは異なる深みと幅を持たせることができます。

加えて、デジタルストーリーテリングの制作には、テーマ選びやストーリー構成、表現方法など、多くの意思決定が伴います。これらの過程で学生たちは、自分の考えを深く掘り下げ、他者の視点を考慮しながら批判的に物事を考える力を養います。例えば、今回の作品では、ダイエットに対する社会的なプレッシャーや美の基準に対する批判的な視点が求められました。

まとめ

初めての経験者が多い中で、各々が工夫しながら制作に取り組み、質の高い作品を完成させました。私自身も、三回目の挑戦として、テーマ選定から制作過程、完成作品まで多くの成長を感じました。そして、その過程で得た経験や技術は、今後のキャリアや生活においても大いに役立つことでしょう。

また、デジタルストーリーテリングを通じて、自分の思いを他者に伝える喜びを感じ、情報発信の一つの方法として、今後ますます重要性を増していくと考えられます。坂本ゼミの取り組みが、他の学生や一般市民にとっても参考になることを願っています。これからも、この経験を活かしてさらなるクリエイティブな活動を続けていきたいと思います。

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