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バント毒性について


バント毒性


私は、2023年の11月に行われたプレイヤーズコンベンション名古屋のスタンダードオープンでベスト8に入賞することができました。

使用したデッキは『バント毒性』

一発屋感のあるデッキで、誰も興味ないと思っていましたが、最近このデッキを使用して、MO競技リーグや草の根大会で結果を残している方がいらっしゃるようなので、少しこのデッキについてまとめてみる事にしました。

まずこれは私が1から組んだオリジナルデッキです。
もしかしたら「バント毒性なんてファイレクシア完全なる統一が出た時からあるよ」なんて言われてしまいそうですが、正確にはこのデッキ、

『青白毒性タッチ敬慕される腐敗僧』
なのです。

緑のカードはメインサイド合わせても、腐敗僧しか入っていません。
通常の白緑タッチ青のバント毒性とはそもそもの考え方や構造が異なっているのです。

ではこの一風変わったバント毒性を使用するに至った経緯を説明していきます。

バント毒性ができるまで

後述する理由により、スタンダードオープン直前に毒性デッキの調整を始めました。
様々な組み合わせの毒デッキを試してみて、1番しっくりきたのが白青でした。

プロトタイプ


次点で白黒。対抗色はファストランドが無い分、テンポデッキを組むにはマナ基盤がやや弱いと感じました。


まず最初に思いついたのが侵入者の放逐との組み合わせでした。

はい勝ち!

誰も存在を知らないであろうこの最強カード。
デッキの全てのクリーチャーのパワーを1で縛る事により、打つと相手の盤面だけが壊滅します。

パワー1ながら実質2打点の毒性クリーチャーとは、とても相性が良いのです。

初期遊戯王のような雑なパワーカード
(このふざけた回答もその名残りです。)

序盤から軽いクリーチャーを並べて殴り、中盤を打ち消しやバウンスで凌ぎ、終盤に侵入者の放逐で相手の盤面をどかして一気に大量の毒を叩き込む最強デッキ!

…のはずでしたが。
プレイを繰り返す内にこのサンダーボルト…。
5マナという重さがデッキと噛み合っていない事に気づきました…。

「手札でかさばっているサンダーボルトが他の軽いカードだったら…」と思う事が増え、一枚、また一枚と抜けて行き、最終的にはデッキから姿を消す事となりました…。

反対に、渦巻く霧の行進の評価はうなぎ登りで、全体除去をかわしたり複数のブロッカーを排除したりと、とても器用なカードです。
コストがマナでも手札でも良いので、マナスクリューしてもコストを捻出できるという点が非常に強力だと感じました。

反省を踏まえ、テンポに振り切ったのがこちらのデッキ

NOサンダーボルト!綺麗なレシピになった

使用感は大分良くなりました。
序盤から展開していくテンポデッキなので、軽いカードが多く、マナスクリューに強いデッキでありながら、スクレルヴの巣やミレックス、種子中枢により持久戦にも強いデッキに。
増殖付きの呪文は本体火力であり、膠着した盤面からの勝ち筋になります。特に実験的占いは増殖の連鎖や青行進を探すのにも役立ちます。

インスタントタイミングのアクションが多いのが特徴で、従来の毒性デッキのモッサリした動きとは一線を画します。
構造上、5cランプやコントロールデッキにとても強いです。

スクーナー船も追放できるよ!

このカードがお気に入り。
トークンを消す動きが強く、白徳目や婚礼発表から、放浪皇や太陽降下の残り香にも対応できるので、アグロ以外相手でも無駄になりにくいです。


そして、さらにテストプレイを繰り返す内…。

ここでイカれた新メンバーの加入☆

圧倒的緑色!
理外の1マナクリーチャータッチ!

かつてのトップレアも、今はお財布に優しい価格に。

『敬慕する腐敗僧』
デッキに欲しかった1マナクロック兼フィニッシャーが満を持して登場。
種子中枢と緑白ファストランドに物を言わせ、無理矢理突っ込んでみた結果、思いの他安定してプレイする事ができました。

ご存知の通り、渦巻く霧の行進との組み合わせが強力で、一気にゲームを終わらせる事が可能になりました。
その威力はまさに瞬獄殺。

一瞬千撃!!

腐敗僧は、相手の除去に対して、とんずら等で対象を取りながら守る動きが強力です。
しかし、このデッキの基本は貧弱な1/1クリーチャー達によるアグロデッキ。
相手が除去ではなく、ブロッカーで対応して来た場合、とんずらのような回避呪文では攻撃を通す事ができません。
なので『腐敗僧を守る』『ブロッカーをどける』どちらもできて1マナとテンポの良い、消えゆく希望を採用しました。

こうしてアゾリウス毒性の良い所をそのままに、より爆発力の増したデッキが完成しました。

このデッキは、相手がこちらの謎の動きに混乱している間に倒してしまう、いわゆるセクシーコマンドー的な強さもあり、スタンダードオープンで8-1の成績を残し入賞する事ができました。

サイドボードについて

ひたすらアリーナのBO1で調整していた結果、サイドボードがかなりお粗末で、本戦ではあまり使いませんでした。
(こんなに使わないならリストの見栄えの為にサンダーボルトでも添えておいたほうがマシだったと思うほど)

サイドボードは特に大きく見直しが必要だと思いますので、完コピは非推奨です。

入れるのは軽いカード、特に行進のコストに使える青いカードがオススメで、サイド後は青いカードを抜きすぎないように注意したいです。

また、赤単相手に、痛いからという理由でスクレルヴの巣を抜いてはいけません。
唯一の勝ち手段と言っていいほど、このカードの絆魂にかかっています。

入れてなかったカードで個人的おすすめを貼っておきます。

テンポデッキなので、軽い分否認よりオススメ。軽蔑的な一撃は不要!
毒デッキにおける最強カウンター。クリーチャーも消せるのが偉い!ゲーム後半は対抗呪文。
大体別館の歩哨と総入れ替え。
現状不採用ですが、飛行をつけながら打点を上げられるカード。スクレルヴ+顎骨の決闘者+これで一気に毒6個!
一応3点火力はかわせるけど、赤には5点火力もあるしねえ…。これを使うくらいなら素直にとんずらを入れるほうが良いよねきっと。

バント毒性のこれからについて

みんなと同じ事をしていては勝てない…。

全ての大会結果や攻略記事にも言える事ですが、その大会で勝ったデッキが、次もまた勝てるデッキだとは限らないし、誰かの斬新なアイデアも、広まってしまえばそれはみんなの常識になってしまいます。

過去から学ぶ事はとても大切ですが、勝つ為に必要なのは過去から学んだ上で、そこから生まれる常識を裏切っていく事だと思います。

そこで私は常識を打ち破るべく、このデッキに2パターンの進化を試みることにしました。

進化案1 デッキパワーの向上

毒性デッキのロード

具体的には強カード『殺戮の歌い手』の投入です。
2マナとは思えない性能のこのカード。
まず単体の性能だけでも優秀で、毒性2は4ダメージに匹敵します。
全クリーチャーのパワーが上がるので、種子中枢のパンプと併せて使う事で、スクレルヴの巣の絆魂でダメージレースを崩壊させることが可能です。

4/3二段攻撃絆魂でアタック!8点ゲイン!はい勝ち!


2ターン目に歌い手をプレイする事によって、今まで相手の『内なる空の管理人』や『白徳目』構えにモジモジしていた1マナクリーチャーを、攻撃に送り込む事が可能になりました。
又、やっかいな婚礼の発表に対しても、スタッツを武器に強く出る事ができます。

「バントトキシックはクリーチャーサイズが小さいから、序盤からブロッカーを並べていたら勝てる」という常識は完全に過去の物となりました。

1マナタフ2なのやめて?
君、なんでインスタントなん?

殺戮の歌い手を入れてなかった理由は、お察しの通りマナ基盤です。
ただでさえミレックスのせいできついのに、歌い手は緑含むダブルシンボルを要求します。

使ってみた感触、殺戮の歌い手はマーシュ・バイパーの2億倍強く、色事故のリスクを負ってでも入れる価値のあるパワーカードだと感じました。

完成したのがこちらのバントトキシックマッスルボディ2ダッシュプラスだ!

デッキパワーが上がり、勝ちパターンが増えて強力になったと思う反面、マナベースにやや無理があるので事故率が上がり、青いカードを減らした事により青行進のコストに困る事も増えました。
そしてここまでくると、もはやただのセレズニア毒性であり、使用感がしっくりきませんでした。
主に青いカードの枚数調整が必要だと感じました。

(対戦動画をいくつか撮ったので上げておきます。※低画質で見にくいです)

進化案2 安定性の向上

進化案1とは真逆にデッキの安定を図りました。
この手のアグロデッキは、テンポ良くカードをプレイして行く事が勝利への近道です。
それを実現する為に、不適切なマナ供給源を、もっと信頼できる確固とした基本地形と入れ替えました。



そう、18枚の<山>だ。



さらにミシュラの鋳造所を4枚加えてマナ・ソースの総数を22枚としました。

もはやプレイする事が叶わなくなった離反ダニ、スクレルヴや這い回る合唱者などに替えて、序盤の攻撃手段として熊野と渇苛斬の対峙と僧院の速槍を4枚ずつ追加し、また私は血に飢えた敵対者4枚とロノムの発掘家フェルドン2枚、魅力的な悪漢2枚を加えた。これらの呪文も序盤の戦いに多いに役立つだろう。この時点で私は中盤以降に有効な攻撃手段が欠けている事に気づいた。この問題は擬態する歓楽者ゴドリックを3枚入れる事により簡単に解決する。さらに元のレシピには場持ちするエンチャント呪文としてスクレルヴの巣などが含まれていたが、残念ながらもう白マナの供給源がないので、私は怪しげな統治者スクイーを3枚入れる事にした(以下略)

これが完成した赤単バントトキシックだ!

多少無理があるが、デッキ名など飾りであり、使っている本人がシーストンピィだと言うのであれば、それはシーストンピィなのである。

もちろんこれは半分冗談なのですが、
まぁ何が言いたいかと言うと、赤単とバント毒性は、神様とピッコロのような関係で、私のバント毒性は遡ると赤単から産み出されたデッキだという事です。

色こそ違えど「テンポ良くクリーチャーを並べ、軽いインスタントで道を開け、特殊地形でマナフラットを受けて持久力を補い、本体火力で速やかにゲームを終わらせる。」
バント毒性と赤単は根っこの考えが同じデッキなのです。

元々毒デッキをコンベンションで使用した理由は、使おうと思っていた赤単が、環境にある雑にライフゲインが付いている強力なカード達の存在により、立ち位置が悪いと感じていたからでした。

デニック、黒徳目、コウモリ、墓地の侵入者、ファイレクシアの肉体喰らい、シェオル、放浪皇、怒りの大天使、アトラクサ、月皇の古参兵etc

加えて、環境の軽い単体除去も強力で、
「赤単?除去してライフゲインしてたら何もできないでしょ?」
と言われたら、黙って頷くしかありません。

さらに赤単は、アリーナのBO1で当たりまくるのでみんな目が慣れきっています。
期待の新エキスパンションであったイクサラン失われし洞窟からは、赤単は何も得られ無かった所か、2マナ3/4のスタッツお化けである地底のスクーナー船の登場が、さらなる追い討ちとなりました。

以上の理由から赤単での参加を中止し、

・回復できないダメージである毒
・トークン戦略やアーティファクトクリーチャーによる喉首狙いや他の除去呪文への耐性
・地底のスクーナー船への回答

これらを兼ね備えた毒アグロデッキを調整し、使用する事にしました。
苦手な赤単については、私と同様の理由からプレイする人が少ないだろうという考えでした。

そしてメタゲームが回った今、同じ紫の血が流れる赤単に回帰するのは当然の流れと言えます。

赤単

散々赤単のデメリットを書き連ねましたが、赤単は非常に良いデッキだと思っています。
熊野を絡めたブン回りパターンは分かっていても止めるのが難しく、少しでも手札の噛み合わない相手からあっと言う間にライフを削りきってしまいます。
プレイヤーの目線が変わってマークが外れると、圧倒的に勝ち込んでしまうだけのパワーがあります。

かつての振り飛車党が『早石田流三間飛車』と『ゴキゲン中飛車』の2つの武器を、先後で使い分けたように、環境に応じて赤単と毒性をオシャレに使い分けるのが、現環境を生きるアグロ使いのニュースタイルと言えるかも知れません。

メタゲームが回り環境が変われば、どちらのデッキにも必ずチャンスが訪れるはずです。

カードの取捨選択

火遊びとフェニックスの雛ついて

赤単のリストにおいて、しれっとレギュラー面しているこの2枚。
個人的に、カードパワーが低いと感じており、デッキに入れたくありません。

しかしながら火遊びは、環境に白徳目やコウモリが増えた事を受けて4枚投入しました。
(1マナインスタントである事の価値が高い。以前はデニックやファイレクシアの肉体喰らいなどを除去できる絞殺のほうが強い場面が多かった)

フェニックスの雛は、やはりパワー不足と感じた為、全て熊パンチこと巨怪の怒りに変更しました。
デッキのクリーチャーとスペルの割合もこちらの方が良いと感じています。

絞殺について

除去できる範囲が広く、テンポ得しやすい1マナ除去。
『魔女跡追いの激情』が、さらに範囲が広く強力なので不採用としました。

魔女跡追い同様、プレイヤーに飛ばない火力なので、手札にかさばるとランプやコントロール戦での負け筋になります。

赤単はデッキの基本サイズが2/2なので、今後環境に、突破できないタフ3が増えるようなら1~2枚の採用は検討したいです。
ミラーマッチを後手から捲りにいけるカードでもあります。

ナヒリの戦争術について

黒系ミッドレンジ対策。具体的には分派の説教者と黙示録シェオルドレッドが増えるようなら、追加の魔女跡追いとして、サイドボードへの採用を検討したいカードです。

魔女跡追いと違い3マナであり、オマケ効果で土地を伸ばせる可能性から、血に飢えた敵対者と相性が良いです。



他のカードについても書きたかったですが、長くなりすぎるので割愛!

以上。現スタンダードにおける赤単について、私個人の主観のお話でした。

最後に

あ、最後に一つだけ…。

私は『この世に絶対的に正しい事などない。』
と考えています。

将棋の世界で例えるなら、谷川永世名人がまだ若手だった頃に、相手をわずか36手で投了させた事で知られる『横歩取り4五角戦法』
その最強戦法は研究が進むにつれ無理筋だと分かり、誰も指さなくなりました。
逆に古えのマイナー戦法であった『雁木』。こちらは近年、AIの研究によってバランスの良い陣形である事が分かり、プロ間でも指されるようになりました。

このように時代が進めば、正しさや常識が大きく変わってしまう事もあります。
これは日常生活や社会、はたまたMTGの世界においても起こる事で、さらに時が経てばこれの逆も起こり得ると言うことです。

回りくどいですよね。まぁ…その…。
つまり何が言いたいかと言うと…。

デデーン!帰ってきたサンダーボルトデッキ!

この間YouTubeで観た、強い人が使っていた白単の毒デッキ。
そのアイデアを参考にして考えを180度転換。デッキをテンポからコントロールに振り切る事によって、あの令和のサンダーボルトが輝ける可能性を見出しました!

さらに白の太陽の頂点4枚を加え、サンダーボルト8枚体制となっての対戦相手のお出迎えです!

つよい ポケモン
よわい ポケモン
そんなの ひとの かって
ほんとうに つよい トレーナーなら
すきな ポケモンで
かてるように がんばるべき

つまりそういう事!(かてるとは いっていない)

※理論上最強のデッキではありますが、テストプレイなどは一切しておりませんので、ご使用は自己責任でお願いします。

以上、ここまで読んでくれてありがとうございました。

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