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カミの助けなくば

記憶の残骸

 70を過ぎ、大抵のことは忘れてしまった。
 それでもいくらかは遠い記憶の残骸がノ〜ミソの中に残っていて、森の毒キノコのようなのが突然ニョキッと出現する。大抵、そういうのは醜悪、軽薄、不潔、不道徳の類いのものだ。
 
 そうではあるが、思い出すから仕方が無い。
 今日は突然、大学の男便所の落書きが蘇ってきた。
 半分は ヌ〜ド、アイアイ傘、
政治スローガンなど で 飽き飽きする内容だが 中には 
 ほう  と思うのもあったりした。

落書き


以下、そんな落書きの一部
その一)
 仰々しく枠で囲んで
「助けて! 紙がない。」 の後に 小さくエレガントな解答を求む
と書いてあり
その答えに
紙(神)の助け無くば自らの手でウン(運)をつかめ。」
さらにその後に  もっとエレガントな解答を求む  とある

そういうのを見ると なんかいい解答はないかと 考え込んだ。

 その二)
 又、ドイツ語風に
イッヒ フンバッテ ダス ウンチ⁉
(Ich funbatte dass unch!)などと 書いた バカバカしいのやら

その三)
詰将棋の〈自作 11手詰問題〉と それへの 解答と日付 があって
ナルホド と 思わせるのやら

その四)

小便器の前には
「急ぐとも 横に 漏らすな 松茸の露」などと 風流を気取ったのもある。

その五)
 中には消されない様に?ほってあったりする。(○○損壊の罪?)
・・・ どれだけ ココニ イタンダ? と想像して (^o^)

 

盗作であったり、独自のものであったり いろいろだったんだろうが
ちょっとした文化?の香りが
狭い孤独の空間に、自らの香りと共に漂う。

そして
 場所毎に 文化?の違いがあったりして、くだらん と きりすてられないところがあった。


エネルギーを吐き出す

 当時は少しばかり無法地帯みたいなところがあった。55年たった今はどうなんだろうか。
 落書きはあるのだろうか。
 いや、そんなものはもうないだろう。
 何故なら
 囲碁も、将棋も名人がAIで勉強し、スマホの中には何でもそろっていて、ウォシュレットで清潔感満載の現代のトイレ(いつの間にか 便所 とは呼ばなくなった)に腰掛ける時代に、薄汚れた壁はない。
 第一、そういうところの壁はツヤツヤで、人々は時間を惜しんでスマホの虜だ。若者の指先はすでにスマホ用に進化してしまっている。
 
 そんな時代錯誤な事は流行らないと思う。

 それでも私達は生身の人間だ。
 もともとは ホモサピエンスという 猿なのだ。
 何もかにも計算しつくされ環境の中で暮らし続けられない。身体の奥底に閉じ込められた野生が耐えられないのだ。時々は野生を開放しないと狂気の人となってしまうだろう。


だから
 生きづらい時は
 大声で 叫び、歌い、 踊り
そして 
巨大な 落書きを書こう

オレは今ここにいるぞ



 

 

 

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