忘れられなかった人
頭の片隅に三角座りを続ける人がいて。
なんだかんだで5年ほど、厄介ですね。
駅のホームで、遠くからその人を見つけて
急いで駆け寄ってみても
車両は途端にその人を攫って全速力で駆け抜け
私は1人ホームで、どうしようもない寂しさを抱えて立ち尽くしている。そんな感覚。
恐ろしいほどの執着心が自分にあることに怖くなった。
私はその人を好きじゃなくても
その人には私のことを好きでいてほしかった
傘をささずに盗んだイチゴを差し出す君
一度実った恋よりも、実らなかった恋の方が長い長い尾を引いて、それがゆるやかに首を絞めていく
忘れられない人がいることは珍しくないと知った
多くの人の頭の片隅に誰かが張り付いてこびりついていることを知った
そんなもんか、そんなもんだと心が軽くなる
そんな道端のガムみたいなもんが、ある日簡単に剥がれていくことは知っていた
知っていたという祈り
キミの気持ちが毎日 1ミリとちょっとだけ
近づくのなら 何千年でも待てる わけはない
と、Perfumeが言って
私は5年前に通った改札を出ることができる
すみません、間違えて入っちゃって
5年もですか
そうですね
お疲れ様でした
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