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夫にも検査を受けてもらう、不妊治療に夫の協力・理解は不可欠

流産を経験し、「もう2度とこのような経験は嫌だ」と思い、不育症の検査もし、次の妊娠に向けて前に進んだ私ですが、再び流産をする結果となりました。この結果を受けて、「自分は不育症だ」との思いを強くしたのと同時に、夫側にも原因があるのではないか、と疑うことになります。本日は夫の検査について、そして男性不妊について私の経験を中心にお話をさせて頂きたいと思います。これは、2022年5月頃の話になります。


男性側の不妊原因について

不妊原因の男女比

  • 不妊治療というと、女性が不妊クリニックに通うイメージが多いと思いますが、実際は不妊の原因の半分は男性側にあるとされます。そして、その事実があまり認識されておらず、然るべき検査や対応が行われていないことが、日本が不妊大国になっている一つの要因だと私は感じています。

  • 以下のように、WHOが不妊カップルを対象に行った検査でも、不妊原因の半分は男性が関係するデータが示されています。

WHOの調査より

男性の不妊原因

  • 男性不妊の原因にも様々なものがありますが、男性不妊の原因として、約80%は良好な運動精子を多く造ることができない造精機能障害、精子の通路がつまってしまっている精路通過障害だとされます。国(厚労省)が全国のクリニックに通う男性不妊患者7,253名を対象とした調査を行っており、下の円グラフがその結果になります。

  • 造成機能障害が82.4%と、男性不妊の多くの原因を占めました。その中でも、無精子症患者が約18%を占めており、高度乏精子症も約20%確認されている点は、日本人の認知度が低い点が調査報告書で指摘されています。

  • また、性機能障害の患者数(EDや膣内射精障害)の比率が大きく増加しており、この事実を広く把握する必要性も指摘されています。

厚生労働省子ども・子育て支援推進調査研究事業 我が国における男性不妊に対する
検査・治療に関する調査研究 平成27年度総括

夫の検査について

検査結果について

  • 不妊原因の半分は男性側にあると一般に言われていることに加え、夫婦で強く赤ちゃんを望んでいたことから、夫にも検査に協力してもらいました。私が普段通っているクリニックでも精液検査を行っていましたが、夫は自分で病院を探して検査をしてくれました。(私が通っていた不妊クリニックは、何度か一緒に行っており、看護婦さんと顔見知りのため、同じクリニックでの検査は恥ずかしかったのだと思います。

  • 夫は精液検査のために新しい病院に2回行くことになります。1回目は今までの不妊治療全般について話をするために私も同席し、検査キットをもらいました。そして、2回目は夫1人が精液を持ち込み、約1時間後に検査結果を聞く流れでした。

  • 結果的には、夫の精液検査の結果は良好で、異常はありませんでした。初めての精液検査ということで、クリニックで勧められた基本的な項目を検査しましたが、異常がなかったことからそれ以上の詳しい検査は行いませんでした。男性の精子の動き・状態は、体調に左右されやすいそうですが、今回の結果が良好だったことから、男性不妊が原因ではないと判断し、私側の原因を探ることになりました。

男性が検査を嫌がることについて

  • ところで、男性が不妊検査をしたがらないことがよくあると言われます。私が不妊治療を頑張っていたことを夫も分かっていたため、私の夫は検査に協力してくれましたが、やはり気は進まない様子でした。1回目の流産の時に、夫の検査も検討したのですが、クリニックの先生から、「(結果は流産だったものの)強い精子しか生き残れない。だから、精液検査は必要ない」と言われたことから見送っていました。

  • 私が通っていたクリニックの先生は研究者気質で、普段から言葉数が少なく、私はこの件に限らず、治療方針に半信半疑の気持ちがありました。先生の意見とは異なりましたが、夫に「検査を受けてみてもいいのではないか」と何度か相談しましたが、やはり夫は乗り気ではありませんでした。

  • 男性側が気が進まない理由としては、「何となく恥ずかしい」、「結果を見るのが怖い」、「検査自体に抵抗がある」、「(そもそも潜在的に)自分(男性側)に原因はないと思っている」などの気持ちがあるようです。

  • これに関しては、私は男性の気持ちが分からなくもないですが、客観的に考えると、こうした考え方が浸透していること自体に、日本の性教育の歪み男性優位社会の名残りがあるのではないかと感じられます。

男性不妊治療の課題について

  • 先ほども触れましたが、国(厚労省)が男性不妊患者7,253名を対象とした調査では、男性不妊患者が増えている傾向について指摘されています。男性側に原因があった場合でも専門に診察できる施設が非常に少ない点や、患者もなかなか受診しないというが現状が問題視されています。

厚生労働省子ども・子育て支援推進調査研究事業 我が国における男性不妊に対する 検査・治療に関する調査研究 平成27年度総括
http://www.j-andrology.org/news/web2017118.pdf

  • この背景にも、日本の性教育の遅れ、後進生があるのではないかと疑われます。思い返せば、私も、どのように人の新しい命が誕生するのか、その身体のメカニズムや生活習慣で気をつけるべきこと等、教育課程できちんと習った記憶があまりありません。エビデンスに基づいたちゃんとした情報が圧倒的に不足しているように感じます。

  • 男性不妊が増えている背景としては、女性不妊の原因と同様、様々なことが指摘されています。例えば、結婚年齢の上昇に伴う男性の加齢、過度のアルコール摂取、肥満、ストレス、高温環境等が挙げられています。

  • 「不妊の原因は女性」という一方的な偏った情報が広まっている状態が少しでも解消されれば、子供が授かれる人が増え、より豊かな社会、明るい未来につながるのではないかと私には感じられます。

まとめ

皆さんと一緒に考えたいこと

  • 今回は、夫の検査に関わる経験について読んでいただき、ありがとうございました。私と同じような経験をした人のお役に少しでも立てれば良いなと願っています。「私もこんな経験したよ」とか、「こんなこと思ったよ」なんてことがあれば、教えて頂けると嬉しいです。


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