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"平常心が私を救ってくれた"


はじめに


いつも読んでいただきありがとうございます!

義父がカナダから
はるばる日本に遊びに来てくれて
色々な場所に旅行に行っていたら
あっという間に月日が
流れていました…。

ハロウィン関連の記事を投稿した
かったなぁと思いつつ

今回は
小説風イディオムの内容を投稿します‼︎

この記事では
英語のイディオムの紹介と
そのイディオムを用いた
小説風の短編ストーリーを
楽しめる内容となっています!

英語が苦手な方にも
ぜひ
お気軽に読んでいただけたら嬉しいです。

今回のイディオムは
"put on a brave face"
です!


"put on a brave face"の意味


意味: 平静を装う、何食わぬ顔をする
困難に直面した時に「平常心を装って対応する」
という形で使用するそうです。


"平常心が私を救ってくれた" 小説風短編ストーリー


目標タイムまで
あと2時間。

果たして登りきれるのだろうか。
いや
自問自答している暇はない。

登り切るのだ。
そう自分にいいきかせ
ひたすら
山頂に向かって
一歩また一歩と歩みを進める。

頼れるのは
己だけ。

誰にも代わってもらうことは
できない。

ここで諦めたら
待ち受けているのは
遭難。
最悪の場合は死だ。

七海の心中を察したかのように
マリッサが
"Shall we take a break?"
と声をかけてくれた。

彼女がくれた
ハーブの蜂蜜飴の甘さがしみていく。

順調にいけば
後1時間半ぐらいで頂上にたどり着けるはずだ。

"Nanami, are you ready?"
少し心配そうにマリッサに尋ねられ
あわてて笑顔をつくり
"Yes!"
と答える。

最後のラストスパートだ。

気を引き締めて登ろう。

登りながら
入部した時のことを思い出していた。

七海はもともと
登山には興味がなかった。

むしろ
登山なんて
絶対にしたくないと思っていたくらいだ。

小学生の時に
林間学校で無理やり
登山をさせられて
どんどん登って
遠ざかっていくクラスメイトに遅れを取る
自分が恥ずかしく
泣きながら登った思い出があったからだ。

それなのに
今こうして
3000mの山の頂上を目指して
黙々と登っている自分に対して
驚いている自分がいる。

きっかけは
一枚の写真だった。

大学の構内を
歩いている時に目に入った
あまりにも美しい山と
雲一つない澄み切った青空の写真に
心を奪われてしまった。

立ち尽くしている七海に対して
"Hi! Are you interested in going hiking?"

と声をかけたのが
一緒に登っている
マリッサだった。

"hiking" という単語に
驚いて思わず
”No, I don't!"
と叫んだ七海に対して
笑いながら
話だけでもきいてくれないかと
引き留められた。

ハイキングの部員が年々少なくなっていて
今年度中に誰も新入生が入らなければ
廃部になる可能性が高く
日本には美しい山がたくさんあるにも関わらず
ハイキング部が廃部になってしまうのは
あまりにも惜しい。

初心者大歓迎なので
ぜひ検討してくれないかと
懇願されてしまった。

マリッサの熱心さと
頼まれたら断れない七海の性格上
承諾せざるを得なくなってしまった。

ひょんなことから
入部してしまった七海だったが
登山部といっても
いきなり山に登るのではなく
装備や登山の心得などのレクチャーから始まり
始めはピクニックと称して
往復3時間弱の簡単なトレッキングから始まり
徐々に登山をするという
活動内容だったおかげで
七海はいつの間にか
登山部の活動にのめり込んでいた。

季節ごとに変化を見せる
木々や生き物たちとの出会いに
魅了されただけでなく
誰と競うわけでもなく
ただひたすら山頂を目指して
前に進んでいくことで
日々の悩みや不安を忘れることができるのが
七海にとっては
心安らぐ時間だった。

今この瞬間
目の前に続く道に向かって
一歩ずつ足を踏み出していく。

山小屋がうっすらと見え始めてきた。
早く山小屋に入りたいと
はやる気持ちを押しとどめ
慎重に進んでいく。

すると
”Oh, wow...!"
とマリッサの驚きの声がきこえた。

目の前にそびえたつ
ごつごつした岩々。

どうやら
この道を進まないことには
山小屋にたどり着けないようだ。

地図を確認すると
もう一つのルートは
通行止めになっているようだった。

疲労がでてきて
正直
登る体力が残っているか不安だったが
マリッサは疲れなど感じさせない
とびきりの笑顔で
"Well, let's do it! Awesome supper will be waiting for us!"

と声をかけてくれた。
そうだ。
私は一人じゃない。
一緒に登る仲間がいるのだ。

大切なバディがいる。
そう思ったら
頑張れるきがした。

気が付けば
山小屋の
玄関にたどり着いていた。

"Yes! we did!"
と拳を突き上げるマリッサの姿は
とてもかっこよかった。

マリッサの笑顔に励まされたと
お礼を伝えると
"To be honest, I felt very exhausted to see the rocky path. But, I was able to succeed to put on a brave face! haha!"

と言われた。
そうだったのか。

いつの間にか
七海の中で
マリッサはどんな時も
負けない
タフなメンタルの持ち主だと
思っていたけれど
それは七海を
勇気づけるためだったと気が付いた。

"put on a brave face"
なんてマリッサにぴったりなイディオムだろう。

そんなことを思って
ふと空を見上げると
まるで夜空が二人の登頂を祝福するかのように
満点の星空がでていた。

ー終ー

*このお話はフィクションです。登場人物の名前は実在の人物と一切関係がありません。


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