十文小説その3
「ちょっといいか?」
帰り際校門の前でそう引き留められて僕は振り向く
瞬間、拳が僕の顔面に飛んできた
「ッ...!」
鼻がもげそうな痛みが生じ、下を見れば血がぽたぽたと地面に滴り落ちている
顔を上げると状況が呑み込めない自分に殴ってきた本人がご丁寧に説明してきた
要するに「むしゃくしゃしたからやった」と
彼は上級生だった
どれだけ今日自分が不幸な目に遭ったかを語り自分を正当化してどこかへ行ってしまった
殴られた方の自分は思うのだった「あぁ、明日はいいことがあるだろうか」と
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