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不自由中の自由

去年に引き続き、今年もコロナになってしまいました。発熱、喉の痛み、そして頭痛。
小さな職場では一人抜けるだけでも大変なのですが、私を含め3人が同時期に感染してしまいました。現場はもはや、クラスター並みの混乱をきたしたに違いないのです。

多大なご迷惑をおかけしまして、申し訳ございません。

私は自宅で、玄関から一番近い一室で隔離されていました。一方、妻は私のせいで濃厚接触者扱いにより出勤禁止になりました。妻のように医療現場に勤めている人は特に、世の中の「コロナは終わった」的な雰囲気に違和感を感じているのです。

と、勝手に思っています。

ともかく、5日間の家事、育児、看病のワンオペは、妻にも大きな負担となるのです。

本当に、申し訳ありません。

今の私に出来ることは、ただただ隔離されると言うことだけなのです。「家族に感染させてはいけない。命に関わる病気である事に、変わりはないのですから」と。
申し訳なさで職場や利用者様、そして家族には頭が上がらない思いでいたのです。

しかし、3日目からは症状はほぼなくなったため、ただの引きこもっている40代のおっさんになったのです。スマホでドラマを見たり、本を読んだり、音楽を聞いたり、自分のためにやりたいことをやって過ごし、ドアの前に用意された食事をする。寝たいときに寝て、起きたい時に起きる。トイレ等がちょっと不便でしたが、それを除けば、何と自由気ままな生活。最高です。

5日目、そんな生活もいよいよ終わります。名残惜しさの中、隔離生活と言う一見不自由な生活の中で見いだした自由な時間を過ごします。この時私は、「軽く、熱、ぶり返さないかな」と思ってはいけないことを思っていました。一応体温を測ると、しっかり平熱、体調も万全です。ちょっとがっかりしている自分。。。

5日前の「頭が上がらない」「申し訳ない」と言う気持ちは、一体どこに行ってしまったのでしょうか?私はたった5日間で謙虚さのような、人として必要な何かを失ったのです。

いよいよこの部屋から出る時が来ました。

下の娘は、「とーたん(おとうさん)」と連呼してくれるようになったのです。近付いてきます。何と歩き方が安定しています。上の娘はまだコロナを警戒して近づいてきませんが、お母さんをよく手伝っていたそうです。妻も変わらず優しく接してくれます。

私が何かを失ったせいなのか、家族のたくましさ、子供達の成長を感じました。

皆、大きく見えたのです。

すっかり取り残されてしまいました。
せめて、謙虚に、謙虚に、頑張って生きていこうと思います。

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