J1 18クラブ×にじさんじのコラボレーション(にじJ1クラブコラボ)に関するアンケート結果とその考察

皆様は「にじJ1クラブコラボ」をご存じでしょうか。2022年の3月から5月下旬にかけて開催されたVTuberグループ「にじさんじ」とJ1全18クラブのコラボレーション企画です。各ライバーの応援ツイートや楽天コレクションを通したグッズの販売、ホームゲームでの応援ライバーとのコラボマッチの開催等が行われました。一部に限られるものの、リスナー・サポーター間で交流も行われ、互いの魅力や情報を積極的に発信。コミュニケーションを取りながら互いのコンテンツを理解しようとする姿勢を垣間見えました。

 今回は「にじJ1クラブコラボ」に興味関心を持っていたリスナー・サポーターを中心にアンケートを実施。本稿では、本アンケートで得られた結果を公開し、その内容について考察していきます。前提として、白雪巴さん・伏見ガクさんのリスナー、湘南ベルマーレ・清水エスパルスのサポーターが多いことを念頭に置いていただけると幸いです。

1.アンケート結果

年齢層

 こちらはアンケートに回答をしてくださった方々の年齢の割合になります。20代がおよそ半分ほどを占めており、30代、40代がそれに続いています。

 この割合はANYCOLOR株式会社が算出した年齢層の割合とほぼ合致しています。

 この比較から、にじJ1クラブコラボに興味・関心を示した年齢層はにじさんじの視聴者で最も多い割合を占める20代を中心とする若年層であると分かります。また、「Jリーグ スタジアム観戦者調査2019 サマリーレポート」によると、Jリーグは観戦者の平均年齢がリーグ全体で42.8歳と中高年とされる年齢層が多いコンテンツであるため、若年層が中心であったというのは興味深いポイントなのではないでしょうか。

 この結果から、にじJ1クラブコラボはJリーグにおいては珍しい若年層の観戦者とにじさんじの視聴者が中心となって盛り上がったイベントであったと推測できます。ただ、それと同時に、Jリーグ本来の観戦者である中高年からはあまり関心を得られなかったということも憂慮すべきでしょう。

男女比

 男女比は男性56.8%、女性41.5%とほぼ6:4の割合となっており、若干男性の方が多いことが分かります。しかし、Jリーグが算出したデータでは男性62.4%、女性37.6%、ANYCOLORが算出したデータでは男性72.7%、女性27.3%と、どちらも本アンケートで得られたデータと比べて、より男性の割合が多く、女性の割合が少なくなっています。

Jリーグ男女比
にじさんじ男女比

 以上の結果から、にじJ1クラブコラボはJリーグ、にじさんじともに割合が少なかった女性が強く反応をしてしたイベントであったと推測できるでしょう。

にじさんじ視聴者・Jリーグ観戦者向けの質問結果 

 本アンケートに回答してくださった方の約半数が元々にじさんじの視聴者で、その人数は本アンケートの回答者の総人数である118名の内61名でした。

コラボ前からにじさんじリスナー

 その中で「Jリーグを見始めた」と回答した方は45名、約7割の方がJリーグに関心を示してくれていたことが分かりました。

はいの人でJリーグを見始めた

 Jリーグの観戦者であった回答した方は84名と回答者の約7割。にじさんじの視聴者よりもJリーグの観戦者からの関心が強かったことが推測できます。

コラボ前からJリーグサポーター

 また、コラボを通してにじさんじを見始めた方は58名と、こちらも約7割の人がにじさんじに関心を示してくれました。

はいの人でにじさんじを見始めた

 もちろん、にじさんじの視聴者でありJリーグの観戦者であった方も多くいたことも事実です。本アンケート結果からもそれは伺い知ることができます。ただ、にじJ1クラブコラボを通じてこれまで見ていなかったライバーやクラブを見始めた方からも、後述する任意記載欄に多くのご意見を頂いたので、一概にその効果がなかったということはできないでしょう。

任意記載欄

 本アンケートは118人もの方々にご回答いただきました。最後の「#にじJ1クラブコラボを振り返ってよかったこと、もっとにじさんじ側・Jリーグ側がこうすればよかったなどがあればご自由にお書きください」という任意の記載欄を設置しておりましたので、そちらも一部抜粋してお伝えしたいと思います。

全体

肯定
・今回のコラボをきっかけに素敵な出会いが生まれました。来シーズン以降リーグやクラブとして公式なものは無くなったとしてもここで生まれた繋がりは大事に続けていきたいですね。

・にじさんじリスナー・Jリーグファンお互いに興味を持つきっかけになったと思います。

否定
・ライバーもクラブももっとお互いに発信していくべきだと思いました。

・コラボ期間が終わってバッサリ話が出なくなったのは寂しい点だと思った。

・サッカーが好きな面々が集まったわけではないので仕方がないとは思いますが、ライバー・クラブ両方とも熱量に差があったのが盛り上がりに欠けてしまったような気がして少し勿体ないなと思いました。

提案
・にじさんじリスナー側はコラボをしていたことを知っている人が多い印象だったけど、Jリーグのサポーター側は知らない人が多い印象だったからスタジアムでなにかイベントが出来たら良かったなと思う。

・コラボグッズがネットのガチャみたいなのではなく、スタジアムで誰でも買える環境が欲しかった。

・スタジアムDJをライバーがやったり、公式YouTubeでコラボしたり、クラブとにじさんじそれぞれで違うコラボグッズを出したり、色々やって欲しいです。

Jリーグ

肯定
・Jサポはコラボ始まる前までVtuberを知らない人がほとんどなので、今回は「はじめまして!」くらいの温度感としてはなんやかんや程よいコラボだったのかもなぁなんて感じてます。

・サッカーを代表以外みたことないと言っていた人が推しがコラボすると言う理由でJリーグの試合をみてスタジアムまで訪れていたこと。

否定
・サポーター離れを嘆く一方で新しいファンを獲得する機会に必死にならないのは商売下手だと感じた。(コラボに熱心そうな川崎がほぼノータッチだったのも意外だった)クラブによってはライバーのファンが実際に試合を観る・サポーターが配信を観るなどのシナジーがあったようだが、先述の通りかなりの温度差があったと思う。どのクラブが、ではなく、やるならリーグ全体でちゃんとやってほしかった。

・Jリーグ側からの宣伝があったのかよくわからなかった。

・無理にオタクコンテンツとスポーツをくくりつけなくても良かったのではないかと正直思うが、時代的に仕方ない側面もあるのではないかと感じた。

提案
・シーズン終了までコラボしていて欲しかった。せっかく興味を持ってくれたリスナーさんが増えて来た所だったので残念です。

・J2やJ3のクラブもコラボして欲しかっ

・スタンディの設置くらいは全試合実施してほしかった。

・まず根本的な話になるが、リーグとクラブからの発信が少なすぎる。グッズを売るにしてもファンサポーターを増やすにしてもやる気がなさすぎた。また、ライバーが積極的に応援・反応してくれた時に引用リツイートなどで反応できると、サポーターにもリスナーにもコラボが盛り上がっているという実感を与えられたし、もっとコラボを周知させることができたと思う。盛り上がれば関心を持ったリスナーにクラブ側から観戦に興味を引かせる発信等もできたはずだ。これはにじJ1に限らず、Jリーグが主導で開催したと思われるにじルヴァンでのその傾向が見られた。もし次があるならば、そこはもっと突き詰めていかなければならない。

にじさんじ

肯定
・まったくもって恥ずかしい限りなのですが、サッカーに対して「11人と11人がボールと共に右と左を行き来しているスポーツ」というような認識しか持っていなかったために、コラボ開始当初は果たして自分がサッカー観戦を楽しめるものなのだろうかと不安でした。しかしながら、ライバーとの試合の同時視聴やDAZNの加入 、サポーターさんとの交流を経て今ではツイッターで毎日移籍情報を見守るまでになりました!元々サッカー好きの父親との会話も増えましたし、W杯も決勝まで楽しくアツく応援できました(オフサイドは今日父親に解説してもらいやっと理解しました)!サッカー面白い〜って思えたことがなんだか嬉しかったです。 公式からのコラボ全体に対しての動きはグッズ販売のみで、あとは各クラブ各ライバーのやる気次第になってしまったのは残念でしたが、私自身はとても楽しかったコラボでした。来シーズンも全力で応援します!!

・私はこのコラボまでほとんどサッカーを見たことがなく、ルールすらもよく分かっていませんでした。しかし、今回のコラボをきっかけに、サッカー観戦の楽しさ、盛り上がり方を知ることができ、推しクラブや好きな選手までできました!このコラボが無ければ、もしかしたら一生サッカーの魅力に気付けないままだったかもしれません。私のように、今までサッカーに触れてこなかった人達にとって、未知の界隈に足を踏み入れるきっかけを与えてくれる、良い機会だったのではないかと思います。また、そんなにわかを温かく迎え入れてくださったサポーターの方々が多く、嬉しかったです!

否定
・にじ側ですが応援ツイートの差が気になりました。応援の仕方や熱量は人それぞれだと思いつつ、たくさんツイートして応援してくれる方がやっぱり嬉しいし、正直Vを知らないサポーターさんが応援ツイートの多いライバー、少ないライバーを見た時に、多い方が見える形でコラボに対する前向きさを感じられるのではと思いました(個人の感想です)◯◯さんは大会や他のお仕事もあって多忙だからツイート少なくても仕方ない、という人も見かけましたが忙しくてもそれをお仕事として引き受けたのでは?とやる気の差を感じてしまいました。サポーターさんと盛り上がってたチームが羨ましいです。

提案
・ライバーがクラブ公式YouTubeへの出演や、スタジアムビジョンに放映などの露出が欲しかったなと思います。

・コラボしたライバーが最低でも1回は担当クラブの試合を同時視聴とかやってもよかったのかなとは思いました。あとはコラボグッズをもっと出して欲しかったです。

・ライバー全員に最低限の応援ツイートはさせた方がいいと思った。もし余力があれば、同時視聴や雑談内での感想を話すなどのリスナーとサポーターが興味を持てる企画を行えたらなおよし。このコラボが成功したとされる組み合わせは、どこもまず「ライバー側からの発信が多く、内容が濃い」という特徴がある。ライバーが直接発信することで、リスナーはサッカー、サポーターはライバーを好意的に受け取れるからだ。私が推している雪城眞尋も積極的にコンサを応援したことでサポーターに受け入れられた。"ライバーが実際に応援している"という事実がこのコラボにおいては重要である。

清水エスパルス×伏見ガク

肯定
・エスパルスとコラボしていただいた伏見ガクさんはJリーグに興味を持ってスタジアムまで来てくれてコラボ終了後にもサッカーについて配信したりととても素晴らしかった。ただ人によっては殆どコラボ活動をされてない人もいたのでライバーさんによってかなり温度差があったと思う。

・最初はJ1という言葉すら知らないレベルで、サッカークラブとコラボをするらしいと聞いてもピンと来ていませんでした。ただ、コラボが始まってからのガクくんの熱の入りっぷりや、Vtuberとそのファンを煙たがるどころか温かく迎えてくださるサポーターの皆様の熱意に突き動かされ、DAZNへの加入や現地での観戦をするまでに至りました!本当に素敵なコラボだったと思います!

湘南ベルマーレ×白雪巴

肯定
・湘南というクラブはお互いのコミュニティがTwitterで積極的に交流したこともあり、成功したように見えた。今までのコラボは一方通行だったが、今回のコラボは良かったと思う。

・ベルマーレでは有志の雑誌で巴さんの対談記事を真っ先に行ってくれて、それは凄いと思った!来シーズンも巴さんとのコラボ出来たら良いな!

・白雪巴様が積極的に参加してくれたので、湘南にとっては素晴らしい影響がありました、とてもチカラになりました⚽来年も巴様や小人達と共にベルマーレを応援したいです💚💙👠⛓

・正直に言ってVtuberとそのリスナーをサポーターの方が受け入れてくださるか不安があったので、ベルサポさんがウェルカムの姿勢でしかも色々と教えてくださることが、良い意味で衝撃でした。本当に嬉しかったです!

提案
・こうしてほしかったなと思うことは、ベルマーレと巴さんのコラボグッズをもっと出して欲しかったということです。例えば巴さんと各選手(イラストでも実写でもどちらでも良いですが)の2ショットアクリルキーホルダーとか、何か、コラボしたよ!というようなグッズが現地で気軽に買えたら記念になって良かったのになぁと思いました。

全体の総括

以上が本アンケートの結果になります。

評価点として、

双方の新規層を獲得でき、ファン・サポーターの相互交流関係が構築できた

スタジアムに実際足を運んでスポーツ観戦の楽しさを体感できた

一部ライバーがツイートや配信でJリーグを話題に出してくれるようになった

改善点として、

コラボ期間が明確でなく、かなり短かった

グッズ展開が不満(楽天主導)

クラブやライバーごとに温度差があった

Jリーグ側からの発信も少なくライバーも反応しづらかった?

J2やJ3ともコラボをしてほしい

などがあげることができると思います。

最後に

 今回はここまでお読みいただきありがとうございました。

 今となっては「はかちぇ~はかちぇ~」と葉加瀬冬雪さんのことをよくツイートしているのですが、私自身にじJ1クラブコラボでは、にじさんじに興味を持つことのなかったサポーターなのです。興味を持たなかった理由は単純で、私の応援しているクラブの柏レイソルとコラボ相手の星川サラさんの交流が無く、コラボをしていることを忘れ去っていたからなのです。

 柏レイソルと星川サラさんのコラボで期待していた形とは違う結果で終わってしまいましたが、他のクラブやライバーさんのコラボはどのような結果で終わったのか気になったため、このようなアンケートをとらせていただきました。

 今回の結果を見る限り、特に湘南ベルマーレ・白雪巴さん、清水エスパルス・伏見ガクさんをはじめ、サンフレッチェ広島・静凛さん、北海道コンサドーレ札幌・雪城眞尋さんなどのコラボは期待以上の結果だったと思います。その反面、柏レイソル・星川サラさんやサガン鳥栖・月ノ美兎さんなどのコラボは交流が無かったため、残念ながら期待していた形とは違う結果で終わってしまったのではないかと思います。

 このようにコラボ全体で期待通りの結果とは言えなくても、一部のクラブとライバーが期待通りまたは期待以上の結果で終わっていることを見ると、すべてのクラブとライバーが出来たのではないかと思ってしまいます。今夏に予定されているラブライブコラボもそうですが、これからもあるであろうJリーグとコラボが成功できるように皆さんで盛り上げていきましょう!
2月27日12時に#にじJ1クラブコラボ 🌈🕒⚽️
『2023 J1全18クラブ』×『にじさんじ』の開催決定が告知されましたね。こちらも盛り上げていきましょう!

 私自身このようなものを書くことが始めてなので、読みずらいところや足りない部分があると思いますが楽しんでもらえたのであれば幸いです。

 最後におまけで任意質問である「あなたの好きなライバー、クラブはどこですか?」の回答をまとめておきましたので載せておきます。

 ここまで拝読してくださり、本当にありがとうございました。

おまけ

コラボライバーのリスナー数
コラボ外ライバーのリスナー数
コラボ当時のJ1クラブのサポーター数
コラボ当時のJ1以外のサポーター数

参考文献

Jリーグ( 2019 )J.LEAGUE™ FAN SURVEY 2019 SUMMARY REPORT J.LEAGUE™ FAN SURVEY 2019 SUMMARY REPORT Jリーグ スタジアム観戦者調査2019 サマリーレポート . https://www.jleague.jp/docs/aboutj/funsurvey-2019.pdf


著者

・みずレイ

協力者

・鶏つくね

・ゆゆ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?