玉頭位取りの中盤戦①(対4四銀型四間飛車)

 今回は具体的な中盤戦について見ていきたいと思います。

参考棋譜

米長邦雄 vs. 桐山清澄 十段戦 - 無料の棋譜サービス 将棋DB2 (shogidb2.com)

参考文献 「泥沼流振り飛車破り」米長邦雄著

▲米長△桐山戦

39手目▲3七桂と指した所

 まず前提条件として、居飛車側は中央の位を確保するために陣形整備をしていません。従って振り飛車側の捌きをどれだけ抑えられるか、という部分に注力しなければなりません。
 この直前に▲2四歩△同歩を入れることで△3五歩に対して▲2六飛の受けを見せています。この「5六銀+3七桂+2筋の突き捨て」というのがよくある形で、さらに5五の地点を制圧してしまえば局面を抑えられるようです。

62手目△5三歩まで

 この△5三歩は凄い手で、いぶし銀の二つ名を持つ桐山先生の棋風が存分に表れている一着です。この手を米長先生は解説にて「先程は私の方が5筋での激しい戦いを避けていたのに、たかだか20手進むと立場が逆になっている。」と書かれています。本譜を見るに、後手は2筋からの逆襲が間に合わないので、△1五角~△4八角成として飛車を圧迫するルートへ切り替えたようです。
 本譜は以下▲5四歩と勢いよく攻めていったのですが、個人的には単に▲7八金と固める方が良かったように感じます。仮に△2六歩と飛車先を伸ばしてくれば、すかさず▲7四歩というコビン攻めがあります。

見た目以上に厳しい▲7四歩

 △同歩には▲7五歩と合わせ、△同歩▲7四桂△9二玉(△7三玉は▲7五銀と抑え、▲4四飛と銀を取っての▲8二銀で詰み)▲9五歩△同歩▲同香△9四歩▲9三歩△同桂(△同玉は▲4四飛△同金▲8二銀△8四玉▲7五銀△同玉▲7六金で詰み。途中△9五玉も一手一手。)▲9四香で先手第優勢になります。

陣形が大差。反動が怖いところだが、先手玉に攻めは無い。

 中央から突破したい!という場合には本譜のように5筋から歩を合わせて攻めていくのが基本になります。

71手目▲5四歩まで。

 上図から仮に△5四同金と取ると▲5五銀左とし、後の▲7四桂+▲5五角で美濃囲いの急所を突かれる形になり、居飛車優勢になります。

84手目▲6四歩

 上図は84手目▲6四歩の局面です。飛車取りを放置して凄い手ですが、仮に▲同金とすると△5九飛がものすごく厳しい手のようです。8九地点に龍が来れば自玉の安全を確認しながらの攻めになりますし、5六地点に龍が来れば5筋へ龍の利きが絶大です。米長先生曰く「その一手を攻めに使った方が良い」とのこと。
 とにかく、美濃囲いに対しては6筋から攻めて行けば中央突破しやすいようです。

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