中飛車左穴熊vs四間飛車



お久しぶりです。タンポポです。

私事ですが先日、大学を卒業しました。最後に部員と指した将棋は負けてしまいましたが、それだけ皆が強くなったということでもあるので来年からの部の躍進に期待して自分も頑張ろうと思います。

最後に指した戦型というのは先手中飛車(自分)vs四間飛車(後輩)だったのですが、見事に作戦負けになってしまいました。そこで今回はvs四間飛車に絞って考えていこうかと思います。

 中飛車左穴熊の棋書では対四間飛車は全く出てきません。これは「ただの相振飛車にして中飛車悪くない」と考えられているからだと思っているのですが、もしくは「四間飛車では打開が難しいから穴熊に組まれて不満」という漠然としたイメージに依るものかもしれません。理由はどうあれ専門書には対三間、対向飛車についてのみ述べられるのが常であり、対四間飛車は考える必要がありませんでした。しかしアマチュア間では十分指され得る戦法で、対策とまではいかずとも方針は知っておく必要があります。

①中飛車左穴熊vs四間飛車の相性は?

 結論から言えば三間飛車や向飛車よりも相性はいいと言えます。四間飛車からは積極的な攻めが難しいので、じっくりとした展開になりやすいからです。

4筋をどう受けるかが課題だが

 四間飛車に対しては4四銀型をどのように受けるかが課題です。以前後輩から「3枚穴熊に組めないと穴熊を採用する意味がない」と言われたので、なるべく3枚に組んで主張のある展開にしたいところです。

無難に組み合って十分に主張のある展開

 上図から△3五銀が気になるところですが、▲3六歩△4六歩▲3五歩の攻め合いに突入します。穴熊としては攻め合い歓迎と言いたいところですが、と金を作られているのでわかりにくいと言えばわかりにくいかもしれません。

▲3六歩△4六歩の攻め合いが気になるのであれば、5八金・4八銀の形を組んでおけば問題ない。

 上図のような5八金・4八銀型のまま駒組みすれば△3五銀には▲3六歩と追い返すことができるので急な攻めはありません。その間に先手は穴熊に潜ることができます。

②後手の理想形:△5二飛からの抑え込み

後手は△6五歩から銀を追い返そうとする。

 △7三桂には否が応でも▲7五歩と突きます。悠長に金を寄っていると△6五歩と突かれて銀が引かされるので作戦負け。後に△5四歩あたりから抑え込まれます。

▲7五歩以下
①△6五歩▲7四歩△6六歩には▲7三歩成△同金▲6六飛△5五銀に▲6一飛成とぶった切ります。△同銀に▲6五銀(or▲4三金)が暴れる手順で穴熊ペースになります。6九金で飛車を打たれる分には▲5九歩で何でもないですし、7九金型ならそもそも飛車打ちは怖くありません。

②△6五歩▲7四歩△同金と収めてくるのが面倒くさいですが冷静に▲5七銀と引いておき、△6四金▲7九金寄△5四歩▲同歩△5五歩▲2六飛△2四歩▲8六角として△6三銀なら角を切って▲7四歩、△5四飛ならやはり角を切って▲7五金△5四飛▲7四歩。金を持って桂頭を攻めるのが良いようです。

③1歩交換に成功すれば▲8六銀と引いておき、堅くするイメージです。

堅めきったところで角切りから強襲を仕掛ける。

③金と銀どちらを先に寄せるべきか


 ▲5七銀~▲6六銀と上がる手と▲6八金~▲7八金とする手、どちらを優先すべきでしょうか?結論から言えば銀を上がる手が実戦的に勝ちやすい手だと思います。

銀が上がってさえいれば抑え込みを打破することができる。

 仮に金寄りを優先していると、銀の進路が▲5九銀~▲6八銀に限定されてしまい、2筋の歩が伸びていないので打開に苦労することになります。具体的には5筋の位が咎められる展開になりやすいこと、▲6八角と引いても打開しずらいことが原因です。銀を上がっていれば上記②のような手順で勝負形に持ち込むことができます。

④飛車を浮かずに右銀で抑えるのはどうか?

4三銀型であれば△6五歩と突かれないので▲4六歩と突けそうに見える

 四間飛車に対して右銀で抑えるのはあまりうまくいきません。例えば上図では△3五歩▲4八銀△3四銀▲4七銀△4五歩と突かれてしまうので失敗です。

⑤△4四銀を保留して駒組み優先

△4五歩と突かれていないので▲5六飛と上がる必要がない

 4筋の歩交換がないので先手は▲5六飛の1手を入れる必要がありません。純粋に1手得のような換算になるので先手十分と言えます。

 

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