6/29社団戦1日目 結果


まえがき

 社会人になって初の社団戦に参加してきました。社会人になると時間が本当に無いので、貴重な機会でした。

昼休憩に散策した西参道

 就職にあたり地元新潟に戻ってきたので、朝5時起床6時発の新幹線で現地入りというハードなスケジュールを組み、強行突破で臨みました。

 実のところは部室にご挨拶に伺おうかとも思っていたのですが、土曜日は都合があるらしく断念。土日で行っても何もやることがないので当日の朝出発という運びになりました。

チームの現状

 私がお世話になるチームは社団戦2部で戦っています。2部というと棋力的には将棋ウォーズ4段~5段が多いでしょうか。私のように3段クラスは最下層ということになります。

 チーム的にはここ数年成績が低迷しており、何度も降級の憂き目にあってきました。今年こそは復権を果たしたいところです。

 今回はありがたいことに人数が超過していたので、私は1、3試合に出させていただきました。

社団戦と大学将棋の違い※主観100%

 社団戦は今年から持ち時間25分1手30秒のルールに変更になりました。従って大学将棋(15分30秒)とは全く異なる戦略が必要になります。

 また社団戦では年齢層が高めなので、最新型が殆ど登場しないというのが特徴です。5年以上前に流行ったような戦型が普通に出てきます。時間の使い方も特徴的で、序中盤に時間を使いがちです。

社団戦 :中終盤のねじり合い>序盤でリードを奪う

大学将棋:序盤でリードを奪う>中終盤のねじり合い

 という構図があります。棋力としてはそれほど変わらないですが、どこに重きを置いているかという部分が大きく異なるように見受けられます。

1局目:ゴキゲン中飛車 相穴熊

先手の▲3八飛に△6五歩から反発する将棋

 銀対抗の形を作ってから6筋で反発する将棋はあまり好まない形なので、対局中は「嫌な戦型になったなぁ」と内心ボヤいていました。とはいえ昔に勉強した将棋であることには違いないので、遠い記憶をたどりながらの将棋になりました。

 上図は▲3八飛に合わせて△6五歩から1歩交換をしに行きます。前回この戦型になった際、早くに6筋交換を入れたせいで金に盛り上がられて作戦負けに陥ったことを思い出し、このタイミングなら飛車の位置が悪いので▲6六歩と弾くしかないだろうと見てのことです。

上図以下の指し手
▲同歩△同飛▲6六歩△6一飛▲1六歩△1四歩▲3五歩△同歩▲同銀△4五銀(下図)

今見ると微妙な手順だった

 部分的に▲3五同銀△4五銀とすれ違うのは形ですが、それは飛車が5筋にいるときの話。今回は以下▲2四歩~▲2二歩が痛打になってしまいました。

 ▲3五同銀△同銀▲同飛は後に△6五飛と走れなくなってしまうのかなと考えていたのですが、見返してみると▲同飛に△6四飛と浮いておくくらいでもまずまずのように見えます。

 上図では▲2四歩△同歩▲2二歩に△同角と取ろうと思っていました、▲4六銀が痛打になることをうっかり。ここでまずそうだということに気づきました。

上図以下の指し手
▲2四歩△同歩▲2二歩△5六歩▲同歩△6五歩▲同歩△7七角成▲同金寄△5六銀▲2一歩成△6六歩▲2三角(下図)

感想戦では「まだまだ大変。振飛車もやれそう」とされていた

 直前の△6六歩が苦心の手順。▲同金なら△6五銀とぶつけて飛車が捌ける形になります。単に△6五飛だと銀の活用が難しいと見ての勝負手でした。しかし▲2三角と打たれてみるとなかなか思わしい手がありません。

 △5五歩と支えるのは底歩が打てなくなるので自信なし。△4五角と合わせるのも銀の働きという主張を失うので自信ありません。

 ここでは△6五銀と引くのが我慢の1手でした。以下△7四歩~△7五歩と争点を求めて居飛車も大変に見えます。本譜は「△6五銀と引くようでは」と思い△4七銀成としましたが、▲3六飛と浮かれてみると一気に負けになっています。

 この将棋は勉強不足の面が大きく、次回に向けての課題と言えるでしょう。

2局目:VS向飛車

初手からの指し手
 ▲5六歩△5四歩▲4八銀△6二銀▲5七銀△5三銀▲7八銀△3二銀▲6六歩△4四歩▲6七銀△3四歩▲7六歩△4三銀▲7八金△3三桂▲7七角△1四歩▲6九玉△3一角▲7九玉△2二飛▲8八玉(下図)

序盤の駆け引きの末、向飛車VS雁木へ

 可能な限り振飛車を指したいと思っていましたが、△3三桂を見て相居飛車を決断しました。3三桂の形は通常の相雁木と比べて損な形になっています。

 初手▲5六歩に△5四歩だったので、相中飛車を志向されているのかと察知。避けるために▲4八銀~▲5七銀で雁木を目指しました。

雁木穴熊が完成する前に開戦

 この△6四歩がどの程度の手なのかというのが本局最大のポイントでした。仮に△2五歩まで突いてあれば▲同歩△同角▲1八飛に△2六歩と突かれて不利になりますが、それがないので▲6五歩から角を追い払う手が間に合います。

上図以下の指し手
▲同歩△同角▲1八飛△8二玉▲3五歩△5三角▲3四歩△同銀▲7八金寄△7二金▲6六銀右△6一飛(下図)

3筋を取り込むことができたので、対局中は勝勢だと考えていた。

 途中▲3五歩に△同銀は▲3三角成、△同歩は▲3四歩があるのでこの歩を取ることはできません。が、この歩が手持ちにできるというのは穴熊にとって非常に大きいです。対局中は「この将棋を負けるわけがない」と思っていました。

 この歩が交換できれば、後はタイミングを見て▲5五歩と突けば堅さが活きる展開になります。

上図以下の指し手
▲6五歩△4三銀▲7五歩△6三金左▲7六銀△3一飛▲3八飛△3五歩▲6八飛△3六歩▲5五歩(下図)

これ以上ない好型。先手勝勢。

 穴熊+玉頭位取りで先手が必勝態勢です。今にして思えばわざわざ▲5五歩から行って銀2枚を相手するより、▲8六角~▲7四歩のようにして大駒交換を狙う方がわかりやすかったかもしれません。

上図以下の指し手
△3七歩成▲同桂△3六歩▲3四歩△3七歩成▲3三歩成△同飛▲6四歩△6二金引▲7四歩△8四桂▲8五銀△7四歩▲8六桂(下図)

あとはどう決めるか

 途中▲6四歩が当然とはいえ大事な一手。これを逃すと攻めあぐねてしまいます。▲7四歩~▲8六桂も筋で、いま見れば▲7三歩成をいれた方が良かったような気もしますが、優勢な時ほど自然な手を積み重ねていけば間違いが無いと考えました。

 このあとは無事に穴熊の堅さを活かして押し切ることができました。

次回に向けて


 降級の不安もなんのその。結果を見ればチーム2-2個人1-1でまずまずでした。

 今回は自分の欠点である「美濃囲いの崩し方」を補う勉強が功を奏したように思います。次回に向けて美濃崩し200を全て解ききるのは勿論、今回一緒に参加した諸先輩方とオンライン対局等の練習を通じて、モチベーションと実力を高めていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?