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最近聴いていいねと思った曲②

こんにちは葦原です。
今回も前回と引き続き、最近聴いていいねと思った曲を書き連ねるだけの記事です。

前回の記事

ただ、普段私は、J‐POPとボカロ、ごくたまにHIPHOP、くらいしか聴かない典型的な日本人の若造なので、ここで書く曲もそのジャンルだけになると思います。
今回はボカロ曲のお気に入りについて書きます。
面倒なのでボカロと言いますが広義的に合成音声全体のことです。




〇ボカロ


・クリエイトがある/いよわ

人類にはまだ早すぎたっぽい!


いよわさんの新曲です。
個人的には歴代のいよわ曲の中でもトップレベルに好きです。
コンピアルバム「全部俺 創刊号」に収録されている楽曲です(もうすぐ通販で届く!たのしみたのしみたのしみ!!)
ボカニコのDJイベント中にMVが投下されて私は新幹線の中で聴いてました。

単純に色や絵柄もそうなんですが、やっぱりどこかピンクノイズ感というか、初期のいよわの雰囲気を感じますよね。
MVでは「弱虫な私の最強の分身」であるクリエイト・ガール「脳天のぞみ」がデザインされていく過程が描かれます。
誰でも、とまでは言いませんが、多くの人が子供のころにノートやプリントの裏側に自分だけの創作キャラクターを描いて滅茶苦茶に痛い設定考えてた経験があるんじゃないでしょうか?
そういうキャラクターってだいたい自分の好みを詰めに詰めた結果、最終的に設定を盛りすぎて常識はずれな様相を呈してくるものなのですが、今回はそのいよわ版と考えていいでしょう。そういう視点でみるとなんだか親近感が湧く曲でした。
MVの中盤で脳天のぞみの設定、エピソードが表示される場面があるのでぜひ読んでみてください。どこをとっても最強・最高。人類には早すぎる。
私はもうクリエイト・ガールこと脳天のぞみが好きすぎて、どうやったら友達になれるかを四六時中考えているんですが、あのくらいぶっ飛んだ、脳のスケールを破壊するような人物がいたらきっと最高に楽しい人生になりますよね。

あと、いよわ考察界隈では有名な話ですが、いよわさんは曲の中にしばしば暗号を潜ませていて、今回もモールス信号やシーザー暗号みたいなギミックを前面に押し出したMVの構成になっています。もう少し画質何とかならないんですかねあれ。・なのかーなのかわからない。


・嘘ミーム/ピノキオピー



ピノキオピーさんの新曲です。
神っぽいなしかり、ピノキオピーさんの曲全体に言えますが、現代風刺をポップにかわいく描くのにすごく長けていますよね。
嘘ミームもリズミカルと無機質のバランスが絶妙で、「作られた感情」の雰囲気がうまく演出されているように感じました。

SNSが日常に浸透するにつれ、匿名の世界、第二・第三の自分の世界というものが凄く身近に、ややもすると現実の世界よりも卑近な地位を占めつつある現代では、匿名世界の価値観が現実にフィードバックした結果、ネット上の自分のキャラ付けや承認が現実の自分の行動理念に強い影響を与えていると思います。結果、承認合戦が加速して、ネット上のペルソナはいっそう本来の自分の姿から乖離していきます。そうすると、私たちのコミュニケーションや感情にも「嘘の自分」が多分に干渉していることになり、外部だけでなく自分の内部さえも嘘に侵されているような錯覚に陥ります。
嘘に影響された自分からでた嘘の言葉を嘘の自分にのせて嘘の相手に伝えるような、人間の臆病が生んだ嘘の伝染を「嘘ミームとして」表しているのかなと勝手に思っています。

とは言いつつ、この言葉もいろんなものに影響された嘘まみれのものかもしれません。


・凡愚/のすけ


格好いい知声の声と完成度が高すぎる映像。
サブスク配信もしているみたいですが、個人的には絶対に映像と一緒見たほうがいい曲だと思います。

歌詞と完璧にリンクしたアニメーションが、一番気持ちいいテンポで流れてきてクセになります。
あえてシルエットだけを用いることで、ネットの匿名性の比喩と同時に「”我らは”凡愚」とあるように曲の皮肉はだれしもに当てはまるということを表現してるのも上手くできてて良いですよね。
のすけさんの代表曲といったら「バカ通信」ですが、凡愚とバカ通信はどちらもネット社会に関する曲で、立場が対照的になっているので二曲合わせて聴くのがおすすめかもです。

あと、私は知声と聞いたら「ゆめみるうろこ」「かまぼこかまほろかまことか」「網膜は銀幕 人はみなシネマ」みたいな柔らかくて優しい歌声が浮かぶのですが、のすけさんの知声はめちゃくちゃ格好いいんですよね。
「正直陳腐」のところとか気持ちよすぎる。



余談。
、、、、この文章を書くにあたってMV制作をだれがやってるのか調べようとしたのですが、、、、、、もしかしてのすけさんの作品ってMV自作?
バカ通信も、、、自作??
、、、、、、、、、噓でしょ???

よく考えたら今紹介した三曲全部MV自作勢じゃん。
昨今のボカロ界隈ってもはや、曲動画両方自作できることがステータスと言えなくなってきてる。才能人多すぎて怖い。ほんとに。


・レトロフューチャー・ビーイング/稲むり

素敵、素敵ね!


あだちせってなかなか見ない組み合わせですよね。

稲むりさんという方の一年前くらいの曲です。
私はつい最近この曲の存在を知りました。朝ごはん食べながらYouTubeMusic聴いてたら突然オススメに流れてきた曲です。後から調べたら「うらみ交信」の方の過去曲でした。YouTubeくん有能すぎます。

どんな曲かというとなかなか言語化できないですが、タイトルが曲の雰囲気を一番うまく表現できている気がします。
音も歌詞も、まさにレトロフューチャー・ビーイングって感じがします。

過去の人たちが描いていた希望に満ち満ちた未来像と、現代とでは、あまりにかけ離れていて、過去の人々と同じように、私たちは未来はおろか今すら把握しきれていない。
まさに日進月歩に遭難しているような人類。
人類ではない足立・知声は、その現状を否定したり反対に肯定したりするのではなく、同じように遭難する視点に身を置いて、馬鹿馬鹿しいとわかっていても、それでも夢物語が「叶うといいよね」と歌ってくれる。良い。
無責任な希望やエールを歌う曲よりも、こういう半分諦観まじきの希望の曲のほうが好感持てます。

あと、この曲は最初と最後にそれぞれ生活音?のようなものが入ってるんですよね。サイレンの音と子供の声?、それと中年くらいの女の人の声が聴こえます。女の声は「過去、未来」あるいは「ゴミだ」と言っているように私には聴こえたのですが。どうなんでしょう。



あとこれは余談なのですが、、、稲むりさんもMV自作勢です。
絵うますぎ。この界隈才能飽和してる。



・monster/misa esan

消えるのが世界でも私でも同じさ


かっっっこいいいいい!!!!

かっっっっっっっこいいいいい!!!!!

misaさんという方の新曲です。ここ最近で一番ハマっているボカロPです。
去年の暮に「talk」という曲を見つけて以来、あまりに好きすぎてリリースされた過去曲を辿り、yanagamiyukiという名義で活動していることを知り、その名義の曲も片端から聴き漁っています。

今回の曲に限らず、本当にmisaさんはワードセンスが絶妙なんですよね。ポエティカルな表現というよりは、普段自分が抽象的に心の中で抱いているものをきれいに具現化してくれる感じ。(しかも韻踏んでくれている。気持ちいい韻が大好きなのでうれしい。韻は踏めるだけ踏んでほしい。踏んで損になることひとつもない。)

自分とは異なるもの、対立するものを受容できずに拒絶してしまったがために、排他の対象になってしまった「monster」を歌った曲でしょうか。
世の中には多種多様な考えがあるので、自分を保ちながらそれら全部を受容するというのは簡単なことじゃないですよね。そうやって思想が共存できなくなると、多数決や武力や地位で優先順位をつけるしかなくなって、軋轢や争いが生まれてしまいます。





・㋰責任集合体/マサラダ

いや最高か!
いやーもうほんと
最高だ!だ!だ!だ!だ!
イエッサー!!


マサラダさんの新曲。やばい。
楽しすぎる。
公序良俗を剝いで脱いで叫べ!のとこ語感良すぎます。声に出して読みたい日本語ですね。Cメロの代表演説みたいなとこの発音もすごい好き。サビへの盛り上がり方が気持ちよすぎて、もう、最高だ!だ!だ!だ!だ!って感じです。

マサラダさん、この記事を読んでる人はおそらく知っているでしょうが、まさに超新星って感じのボカロPで、現時点で投稿作品は「ライアーダンサー」、「ちっちゃな私」「ウルトラトレーラー」、そして「㋰責任集合体」の四曲のみで、そのすべてに重音テトを使用しており、そしてすべてがニコ動殿堂入りを果たしています。強い。

今回の㋰責任集合体は今までの三作とは作風が違、、、いや違いますね。
今までの三作もそれぞれまったく違う作風なんですよ。ライアーダンサーとウルトラトレーラーは近いような気がしなくもないですが。
どれもが全く別のベクトルなのに「マサラダ作品」として共存しているんですよね。もちろんマサラダ色の個性があまりに強烈すぎるのが理由でしょうが、ボーカルがテト統一なのも一役買ってそうですよね。
テトは偉大。

「㋰責任集合体」は今あるマサラダ作品の中では一番闇深い、社会風刺的側面を強く持った作品です。やっぱりこの曲も私にはネット風刺に思えました。ネット風刺の曲ばかり取り上げてますねこの記事。
三日月の陰のように、見えない上に、光っている部分に注目が集まることで意識されづらい部分、そこに住む黒いウサギたちを匿名アカウントの比喩として描いているのでしょう。月の陰の発想がすでに天才的です。
黒いウサギたちは、光に照らされた場所で起きる不幸を見て見ぬ振りし、自分本位な快楽のためだけに行動します。都合の悪いことは「無知無視無意味無意義」と言い訳を並べ立てて責任を有耶無耶にします。そうやってその場の楽しさだけを追求して責任をなかったことにし続ける集団こそが「㋰責任集合体」と象徴されているのだと思いました。身バレするような凡ミスをしなければ、どんな言動をとってもネット上ではその多くを有耶無耶にできますからね。
Cメロであるウサギが昨今叫ばれる多様性を笠に着るような発言をしていて痛いところを突くなと思いました。ネットは文化多様性の場としてはこの上ないものですし、様々な異文化を包括して認められる社会というのは素晴らしいものだと思います。ゆえにそれを身勝手の言い訳にされるとなかなか厳しいですよね。
いろいろと考えさせられる内容でした。


ああそういえばマサラダさんも曲動画自作勢です。
こわいよボカロ界。



・劣生学/イナナキ


ボカコレ冬の曲です。
ボカコレの曲をボカコレ期間以降に発見した時私はすごい絶望感を覚えます。今何周もリピートしているのがボカコレ期間中だったらもっと作者に貢献できたのに、、、という気分になります。
この曲もその一つでYouTubeで見つけてハマって辿って行ったらボカコレ投稿曲でした。もうちょっと早くに知りたかった。

三分間ずっと気持ちいい音しか鳴りません。リズムも気持ちいい。
音楽に疎いので楽器はわからないですが、間奏のピアノと、キラキラした感じの金属音とか、サビのジャズっぽい管楽器系の音もすごくいいですよね。管楽器は突然音圧がぶち上がったりするので好きです。
あと花隈さんのコーラスがもう最高でした。
「愚痴口移しで押し付けられてく感じ」のとこ好きすぎる。

さらにこの曲は動画も秀逸です。
ひとつ前に挙げた記事で取り上げた「ずうっといっしょ!」と同じで、画面の縁取りで切り取られた部分が映ることで意味がガラリと変わる演出です。
文字フォントも絶妙なレトロ感があり、ジャズっぽい曲の雰囲気によくマッチしてます。
そして何より、曲のクライマックスに合わせて画面が赤く変わるとこがいいですよね。今までモノクロで彩りのなかった分の対比で、一色ドカンと置かれた鮮やかなレッドが驚きとともに良く映えます。
クライマックスの歌詞に「クライマックス」をもってくるのも良いですよね。

この曲、タイトルは「劣生学」となっています。
はじめは優生学、優生思想の反対という意味の造語だと思っていましたが、調べてみると劣生学という学問分野が実際にあるみたいです。おおよそ優生学の対義語ととらえて問題なさそうですが、ウィキ知識ですし、そもそも優生学にもさして詳しくないので自分で調べてみることをおすすめします。
あくまで個人的な解釈としては、優生学の思想を集団の中の個人に当てはめると(例えば、陽キャと陰キャ=優と劣、のような形で)、「いじめ」というのは劣性の人間を集団攻撃して排斥し、集団をより優れたものにする行為と言えるかもしれません。
この曲はそのような社会構造の裏返し、またその構造に虐げられた人たちの反発を描いたものだと思います。
遺伝子学における優生思想は倫理的観点からタブーになっています。しかし、同じように倫理的にタブーであるはずのいじめは現実問題なくなっていません。それが「倫理なんて意味ないわ」という歌詞の意味でしょう。歌詞では反感を感じながらも「優」の側の人間が優先され、「劣」である自分は虐げられるのは仕方ないことなのだ、という諦観めいた考えがうかがえます。
そのような諦めと反発がないまぜになった結果、ラスサビ前の「あたしが苦しむのは構わないけど、お前が幸せなのは許せない」という状態になり、これこそがまさに、優生学の裏返し、集団全体をより劣った側に合わせる「劣生学」ということのなのだと思いました。

曲とMVもすごいのに、加えて歌詞まで考えつくされてて、どこをとってもクオリティが高い作品でした。


・生活についての考察/ヒロモトヒライシン

優しい人でいたいあんたが優しくあるために傷つけた
優しいあんたの心の隙間


ノスタルジックな雰囲気を一番卑近に形容するとこんな感じになるのかも、と思いました。
「はんぶんこ」って単語、すごい郷愁と生活感ありますよね。

イントロの儚げなギターとか、サビ前の余白、テトさんの声とかは、なんだか静かで儚げな雰囲気なんですけど、その静けさゆえか、盛り上がるところの高揚感が凄い。曲全体の緩急も局所的なリズムの緩急も本当にいい塩梅で、最高に気持ちのいいバランスでした。
個人的には「やさしいあんたーのこーころーのすーきまー」のリズムが好きです。

「生活についての考察」は、タイトル通りですが、被験者No.41ことテトさんに人間の生活を再現させて感情の変化を観察する実験の報告書、という背景ストーリーがあります。
生活の中での不安や苦しみで摩耗していき、それでも確かな祈りや優しさを知ることで、最終的に被験者No.41には愛が芽生えます。
愛の芽生えが状態異常として表現されているのがなんだかすごくよかったです。

それと、、、ヒロモトヒライシンさんもMV自作勢なので、このテトさんもすべてご自身で描いています。
かわいすぎます。
まじで。
私のお気に入りはポテチ箸でもぐもぐしてるテトです。
かわいーね。
可不のポスター貼ってるのもかわいい。


なんかこういう、不幸だなんてとてもじゃないけれど言えない当たり前の生活の中で、それでも疲弊や苦悩していくような、「普通だけど苦しい」の作品良いですよね。
自分の周りで気丈にふるまっている人間もどこかで自分と同じように頭抱えてんだろうな、と思うと他人に少し優しくなれる気がします。



・伊っ達さ/マキシウキョウ

伊達さん!


この曲聴いたことないって人は本当に全員聴いてほしいです。
絶対に損はしません。そして必ず得をします!まじで!!
聴くだけで元気出るんです!本当に!聴いてみて!
かわいいがすぎるんですよ!!!


作者のマキシウキョウさんはこないだのボカコレ冬で「重音テトのフェルタゴーン」というクセ強重音解釈曲を出していた方です。こちらも激良いのでぜひ聴いてみてください。

あと、、、この方もMV自作できるPです。別にMV自作勢をピックアップしたつもりはないのに、、、やっぱりこの界隈才能が飽和してますよね。


さて、本題の曲の内容についてはもう「かわいい」以外の言葉がほとんど見つからないです。とにかくかわいいんですよ。かわいい。
途中で入るらららら~のコーラスが気持ちいいし管楽器でサビの音圧ぶちあがるので聴くだけで元気になれます。あとかわいい。ゲームのピコピコ音みたいなやつもウクレレみたいな弦の音も好きです。そういう主張強めの音がたくさんあるのに、全部がいい感じにまとまってて気持ちいいです。そしてかわいい。

本当に伊達さん良すぎる。
私も伊達さんみたいな友達ほしいし伊達さんみたいになりたい。
阿野ちゃんもかわいい。友達思いだしね。

もうほんとに。
あの二人の関係最高ですよね。すごく理想的な人間関係。
それなのに悲しいかな、二人は卒業なのか分かりませんが、しばらくお別れみたいです。でもいつかまた会えそうですし、その時はたくさん話をして一緒に遊びに行ってほしいです。

今後私は思い詰めてる人には「まーまーまずはちょっと力抜いて茶でもしばきなさいな」って言うことにします。そしていつの日か伊達さんになります。



おわりです。
不定期ですが、好きなものが溜まったら、また映画とか漫画でもこういう記事書くと思います。

最近一人の時間が長いのでよく音楽を聴くのですが、掘れば掘るだけいい曲が見つかるのでほんとに幸せです。
もっとほかのジャンルも聴きたいのに今あるだけで十分楽しめちゃう。




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