【弟のお嫁さんの話】ぜひ、そのままでいて
弟は自分の奥さんのことを「せつこ」とか「せっちゃん」と呼んでいる
本名は全く違う
私とは一回り歳が離れていて、住んでいる所も違うから頻回に会う機会もじっくり話す機会もないけれど、会うと内心ワクワクしている
生粋の関西人である彼女は、服装はそうでもないが髪の色は実に華やかで、会うたびに違っている
まずそれがちょっとうらやましい
ある時は、帰ってきたうちの息子に「あぁ、お帰り~、おつかれさ~ん!」と一番に声をかけ、弟が「まだそんな慣れてへんのに」と爆笑していた
またある時は、一気に頭髪がさみしくなっていった当時まだ30代の弟に「しゃーないな、歳やからな」と、ストライクゾーンが甲子園球場くらい広く受け止めていた
甥っ子が野球を始めると、練習の付き添いはもちろん、帰りにバッティングセンターに寄って一緒にバットを振っている
子どもたちと巨大トランポリンで遊んだときは誰よりも滑って転んで楽しんでいて、息が止まるかと思うほど笑った
飼っていたザリガニが死んでしまった時は、土に埋めてやり毎朝仕事に行く前に手を合わせていたせっちゃん
私たちと会うときは必ず甥っ子に送った洋服を着せて来てくれるせっちゃん
ドラマ「相棒」が大好きなせっちゃん
家族が順番にコロナになっても無傷だったせっちゃん
そんな明るくて人情味のあるせっちゃんに育てられ、甥っ子は会ったことのない仏壇の中のばあちゃんに「今日、ヒット打たせてね」と声をかけて行く、優しい男子になっている
野球のことはよく知らないであろうおばあちゃんだけど、腕の見せ所である
40代はもちろん、50代…60代、その先になってもいろんな髪の色で元気でいてね、せっちゃん
「せっちゃんちゃうわ!」とつっこまれるかな、知らんけど
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